転生ペナルティ重すぎて今にもログアウトしたいです
どら
第1話 最高で最悪の終わりと始まり
「よっしゃー! 世界最速クリアだ!」
パソコンの目の前で一人の男性が、ヘッドホンをしながら雄叫びをあげる。
この俺、
俺はこの日の為だけ全てをつぎ込んで来た。
25歳という年齢でありながら、定職に就かず動画投稿サイトでライブ配信やFQのソロ攻略動画などの動画投稿をして広告収入、投げ銭などで生計を立てるいわゆるストリーマーとしてやってきた。
毎日、最低でも12時間以上はログインして、収入も全てこのゲームの為に使ってきたんだ。
《ファイナルクエスト》において俺は現時点で、名実ともにトッププレイヤーとしての称号を得たと同時に達成感に浸っていた――
「配信を見てくれた人、ありがとう! ここまでこれ……」
この偉業達成の瞬間はライブ配信でやっていたので、ライブを見に来てくれた人に感謝のお礼を言おうとした時、突如として視界が歪んだ。
なんだこれ――
「やば……ちょ――――」
とうとう
俺はそのまま倒れるように頭を机に叩きつける。
――きっとこれは過労だ。俺は【神への挑戦】をクリアする為に実装されてから約30時間ほど休憩なしでプレイしていた。
てか、いくらソロとは言えノーコンテニューで30時間かかるのは今思えば難易度高すぎじゃないか?
そんな事を考えるぐらいにはまだ余裕はあったが、すぐに意識も途切れかかってきた。
俺、もしかしてゲームのやりすぎで死ぬのか……
でもまぁ……いいか……楽しかっ………たな
成瀬葵の意識はここで途絶えた
※※※※
「よう…こそ……やっぱり君が来たか」
誰かの声がする――
「うぐっ」
意識が次第に少しずつだが覚醒してくる。
ここは、天国かな?
いや、ろくに働きもせずゲームばかりやっていた俺が天国に来れるのだろうか
「ねぇー 聞こえてるんだろう? 反応ぐらいしてよ」
さっきから煩いな、誰だ? 神様か?
俺はゆっくりと
ただ周りは暗黒だった。
どこが床で天井なのかも分からない。
天国って本当は宇宙のどこかにでもあるのではないかと思えるほどに何もない場所にその少女はこちらを向いて座っていた
見た目は……小学生ぐらいか?
青い目をしていて髪は白髪のロングストレートで身長よりも少し短いぐらいで地面についてもおかしくないほどだ。
そして、見ただけでわかる。
これは美少女という者だ。今までの25年間という俺の人生の中でここまで美しい女性は見たことがない。
「え、えと……君は――」
今起こっている状況が分からない。状況が一切吞み込めずにふと少女に話しかけてしまった。
「僕? 僕はー……うーんと……えーと……神様?」
ははっ――やっぱり神様だったんだ。という事は俺は本当に死んだのか。
死んだという事が、自分の中で確定したことによって少し落ち着けたような気がした。
「って僕のことはどうでもいいんだよ!もうっ――」
「早速だけど本題に入るよ。君には転生してもらう。そして僕を楽しませてくれ」
少女はこっちの様子を伺うこともなく一人で喋り始めた。
「転生って、どういう意味ですか?」
さっき少し落ち着いたのにまた訳がわからなくなった。
「生まれ変わるんだよ。成瀬葵は今をもって死んでもらった。その代わりに君にはアルバート=グランフェルとしての第2の生を歩んでもらうことにした」
その名前って……俺が《ファイナルクエスト》で使っていたキャラの名前…
なんで神様がそんな情報知っているんだ?
そして俺は数秒でとある答えにたどり着いた。
――もしやこれって……ラノベとかアニメでよくある異世界転生ってやつなのか!?
いやそうだよな!
これって現実だよな!?
死んでるけども!
「神様を楽しませるって、一体なにをしたらいいのですか?」
俺が考えるに王道パターンは魔王を討伐しろとかか?
いやまてまずどんな世界に飛ばされるんだ。
戦争中の激戦区に飛ばされるとかごめんだぞ。
正直、俺はこんな展開にウキウキせずにはいられなかった。
「そんなの適当でいいよ。適当で。ただ、つまらない人生歩んだら僕許さないから」
いやなんて理不尽な答え!
「あと、転生にするにあたって……いやこれは転生した後のお楽しみかな?」
気になる言葉が……お楽しみとはなんだろう。
もしかして、何かしらの能力を持って生まれるとかかな?
転生者あるあるだよね! 神様からの
気分はもう最高潮で様々なこれからの展開の妄想が広がっていくが一つ疑問もあった
「あの神様! なんで俺なんですか?」
そう俺は特に前世で人類において偉大な所業はしてこなかったんだけども……
ゲームしかしてなかったし……
「そんなの決まってるよ、君は最初にクリアしたから」
「クリ…ア?」
「そうだよ、君は僕の世界を模したゲーム、ファイナルクエストの最後の試練【神への挑戦】を初めてソロで攻略した人間だ。君が転生するに値する資格だ」
模したゲーム?
僕の世界?
さっきからもう分からない事ばかりだ。
「じゃあーあとの事は転生した後に自分の眼で確認してね。改めてようこそ僕の世界へ」
その言葉のすぐ、また俺は意識がプツンと途絶えた。
※※※※
「ようこそ、アルバート=グランフェル様」
「体を構築しております。それと同時に転生ペナルティの処理を同時に行います」
「体の構築完了。始まりの村、リリーエルの付近までのワープまで残り3……2……1」
「ワープ成功しました。転生ペナルティの処理完了しました。では良い人生を」
機械音声のような声が俺の頭で鳴り響く――
転生ペナルティってなんだ……?
リリーエルって懐かしいなおい。
そろそろ起き上がれそうだな…
瞼を開ければそこには、そう俺が人生をかけてやっていたファイナルクエストの世界が広がっていた。
ってなんだこれ?ログ?
――――――――――
転生ペナルティによりあなたのキャラクターは初期化されました。
それと同時に、新たに『ギフテット:無尽蔵の×◆▲(文字化け)』を獲得しました
――――――――――
は?…いやは?
――――――――――
ステータスを参照しますか?
YES/NO
――――――――――
無言でイエスをタッチする
―――――――――――
ステータス
名前:アルバート=グランフェル ♂ 18歳
Lv1(199↓)
HP:20(19980↓) MP:20(9980↓)
STR:G(A↓) ATK:G(SS↓) DEX:G(A↓)
INT:G(C↓) DEF:G(S↓) AGI:G(SS↓)
スキル
※ペナルティにより全て削除されました。
次のLvまで残り…5EXP
―――――――――――
「ログアウト…」
あまりの出来事にふと言葉が漏れる
―――――――――――
※※エラー※※
以下の理由によりログアウトが却下されました。
理由:早く楽しませてね!
―――――――――――
「いくらなんでもペナルティ重すぎじゃね?」
こうして成瀬葵の第2の人生は転生する代償としてペナルティを科せられ、意味の分からない『ギフテット』なる物を獲得して始まったのである。
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