第3話召喚理由~鷹臣~

「すみません。アナタは何処からこの場所に来ましたか?」




背後から声をかけられてびっくりして飛び上がったのは・・・仕方ないと思う。


そろりと背後を窺ってみると、側頭部に蝙蝠の羽みたいなものが生えた人?が居た。コスプレイヤーという人なのかな?と思ったんだけれどそのさらに背後にパタパタと飛んでる一つ目のまあるい生き物らしきものがいた。




あれ?これって異世界来ちゃった☆って感じ?魔法陣の落とし穴に落ちたのって実は夢じゃないのかとか思ったんだけれど寝てるわけでもないだろうし・・・とりあえずは答えた方が良いかな?この世界が何なのか分からないし。


それにここにいるのは僕一人だし、雅と七緒を探さないといけないもんね。よし!!




「こんにちは。僕は伊月鷹臣って言います。突然足元に出てきた魔法陣らしきものが光って・・・落とし穴みたいになって落ちたんです・・・そして気が付いたらここにいたんです。その時僕のほかにもあと2人いたんですが・・・ここには僕しかいなくて・・・あの・・・それで「セ、成功した!!皆に知らせよ!!」・・・え?あの?」




突然遮られたんだけど?成功って・・・あの魔法陣ってこの人たちが?


え?普通って人間が何かの脅威に晒されて苦渋の決断みたいな感じで異世界から人間を召喚するって感じじゃないの?普通にラノベとかファンタジー系の創作物ってそんな展開とかだよね?


あれ?この人たちって実は人間なの?亜人とか獣人言うやつなの?ファンタジーとかと違うような???




「んんん?ドユコト??」


「あぁすみません。貴方様をお待ちしておりました!私はこれからタカオミ様を補佐いたしますライドと申します。タカオミ様。ここでは何ですので移動しましょう。こちらにどうぞ」


「え?あの?」




よく分からないんだけど?恭しく手を取られて移動を促されて・・・城の中に連れてこられたんだけど・・・その移動中に見たのはどうもココって魔界とかそんなところなんじゃ?って思うような人?魔物?亜人?がたくさんいるっていうのが分かった。


ミノタウロスみたいなのがドアとか門の番をしてたり、グリフォンみたいなのとかコカトリスみたいなのが気持ちよさそうに外で空飛んでたりゴブリンみたいなのとオークみたいなのが追いかけっこしてたりコボルト?ウェアウルフ?ウェアキャット?みたいなのが日向ぼっこしてたりというのを見かけた・・・あ、なんかこの風景ファンタジーっぽいとか現実逃避しつつ移動したのはアニメとかでよく見る応接室みたいな場所。


ソファに座らされたんだけどこのソファすっごい高級そうでフカフカで座り心地が最高にいい。このままおとなしく座ってたら眠っちゃいそう。話聞かないといけないから寝ないけど。




「あの・・・それでここは何処なんでしょう?それと僕以外の人を見ませんでしたか?似てないけど双子の兄と幼馴染なんですけど・・・」


「いいえ。この地に現れたのはタカオミ様お一人です。我々を救ってくださる方を召喚の儀で召喚したのですが・・・何が悪かったのか召喚陣には現れず、なぜか城の外へ召喚されてしまったようで・・・何か起こる前に見つかってよろしかったです。貴方は我々にとっての希望となる方ですから」


「え?僕はそんな大層な人間じゃないですよ?っていうか普通の・・・ちょっと身体弱い人間ですよ?」


「いえ、種族は関係ないのです。この世界の人間たちとは数十年前から関係が悪化してしまい今では我々魔族や魔物、亜人と言われる者たちは一方的に追いたてられてしまっています」




ん?数十年前から悪化ってそれって・・・




「あのもしかして関係が悪化する前って普通に仲が良かったって事?」


「はい。うまく共存していましたが・・・人間側のとある国の王が代替わりしたときに突然我々の存在は悪であるとし攻撃してきたのです。」




うん?それって話し合いもなく突然お前たちは悪だーって言って攻撃されたって事?




「えーと、それって仲良く共存してたのに突然お前たちは悪だって決めつけて攻撃してきたって事でいいの?周りの人間はどうしたの?ずっと仲良くしてたならその王様?がいくらあいつらは悪いって言っても攻撃したりしないんじゃないの?周りの人間も君たちが悪いって言ってるの?」


「・・・初めの頃は私たちの味方をしてくれる人間もいたのですがあの力や見た目は我々とは相いれぬものだと代替わりした王が切々と言いつのり次第に我々に恐怖を覚えてしまい・・・」


「あぁ。人とは違う見た目とか強すぎる力に危機感を覚えて王様に倣って危険だから排除しようって事?」


「はい・・・我々も話し合いを持とうとしたんですが悉く突っ撥ねられてしまい・・・どうする事もできず魔王様も心労や疲労でお倒れになり・・・・・・お亡くなりになってしまったのです。我々を導いてくださる方が居なくなりどうしようもなくなり・・・昔、魔王様の力を継ぎし方を召喚したという話がありそれに縋って・・・」




あーうん。それで僕が召喚されたって事?でも雅も七緒も召喚されたと思うんだけど・・・彼曰く僕だけが召喚されたって言ってるけど・・・まさかねぇ・・・別のところで同じように同じ時間に召喚をしてあの二人は別の場所に召喚されたって事は無いよねぇ?


それでじゃないのかな?


そんな話ありそうだけどどうなんだろう?それは後で考えよう。まず考えなきゃならないのは、これから僕がとらなきゃならない行動だ。






十中八九間違いなく彼らが僕に臨むのって・・・彼らの安全と彼らを導くことだろうね?






でも僕だってすぐにハイソウデスカって単純に納得して協力できるほどお人好しではない。


だってお伺いもなく強制的に連れてこられて召喚されて素直にいう事聞けるほどお人好しでも出来た人間でもないからね。


それに雅と七緒も見つけなきゃならない。今聞いただけで判断付かないけど安全な世界ではないだろうから・・・でもあの二人なら割と何とでもなりそうとか思える。結構図太いし変に柔軟性があるからね・・・でも色んな人に迷惑とか色々かけてそうだけどもそれは召喚と言う迷惑をかけてるんだからしょうがないと諦めてもらうしかないよね。


二人も絶対この世界に召喚されてるって確信があるからウロウロするとすれ違ったりしそうだし僕はあんまり体力無いしサバイバル能力なんて皆無だしね・・・おとなしくここで待ってようと思う。




だから多少できる範囲で彼らに協力する事にして・・・あの二人の情報を集めよう。集める前にいろいろやらかしてると思うからすぐにわかりそうな気もするけどね。


じゃあ交渉するとしてもどうしようかなぁ魔界っぽいし魔法とかあるなら使ってみたいな。


魔法についてとか聞いちゃおう!




そして僕は交渉に入った。














その頃の雅臣と七緒はー




「おい下僕!それは持っていくから仕舞っておけ」


「お、七緒これ鷹臣によさそうじゃね?」


「あ?それよりそっちの薄い青の方が良くね?」


「んー?あ、マジ・・・そうだなじゃあこれも持ってくか」




従者として連れて行くことになった青年をこき使っていた。

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