サイドストーリー レイラン 10

 ラストエリアはフランスパリのシャンゼリゼ通り。遠くに凱旋門が見えており広場ではすでに戦いが始まっていた。


「ようやく捕まえたぞ。さぁ、俺と戦え!!」

「……」


 槍使いのロイドと刀を扱う少女レナが凱旋門の前で戦っていた。

 ここまでは戦いを回避しつつ必要とあらば戦ってきたが、LASTエリアとなれば隠れる場所も少ない。

 下手に背後を取られ奇襲にあうよりか、は最前線で戦い状況を理解しながら戦う方がいいと判断した。

 走って凱旋門へと向かおうとすると、停車していた車の陰からゆっくりと男が現れる。身長180cmもある体格のいい男性は、背中や腰に銃火器を装備しており着用している防弾ベストには白いカラースプレーで悪魔のような顔が描かれてある。

 デジタルグラスでプレイヤーを確認するとそれは今回の敗者復活戦で優勝候補と言われたウォーカーだ。

 残りプレイヤー数はさらに激減し現在は27人。各地で戦いが勃発する中、一番あってはいけない相手と対峙することになる。 


「悪いが終わらせるぞ」

「相性最悪……」


 大刀を投げ捨てダガーを構え相手の動きをまった。

 ウォーカーは両手にもったマシンガンを乱射しレイランを襲う。近くの車の陰に隠れ何とかしのぐがこのまま撃ち続けられれば近づくことさえも困難。ラストバトルを確実に制すために残っているアイテムと残り少ない使える武器を使いウォーカーを仕留めることにした。

 マシンガンが玉切れを起こしたタイミングで加速アイテムを使い車から飛び出し一気に距離を詰めるダガーを構えウォーカーに刺そうとした瞬間、手首をつかまれ足首をつかまれ道路へと叩きつけられた。すぐさまもう一度足首をつかむと投げ飛ばされ車のボンネットがへこむ勢いで叩きつけられ驚きで思考が止まってしまう。

 先ほどのネムと違い武器を使わずして近接戦闘を完全に制したウォーカーの戦闘センスにレイランは恐怖を覚える。炎を噴射するわけでもない、氷を使うわけでもない、魔法を使うわけでもない、ただただ己の肉体を強引に動かしただけ。

 ウォーカーは背中のショットガンを構えると容赦なく撃ちまくった。微塵の慈悲もないあまりにも貪欲に勝利に向かって進む。

 

 なんとか起き上がり加速が効いているうちにトラックの後ろへ回ると、路地から通りへと出るプレイヤーが見える。あったことのないプレイヤーで名前はバンドウ。物質を浮かせたりするノアに近い力をもっている。

 ショットガンとマンホールを浮かし防御し一気に近づき半透明のオーラをまとった拳で顔面に一撃を打ち込んだ。誰の目から見てもクリーンヒット。倒せないにしてもひるませ次の攻撃へつながる大事な一撃なのだが、ウォーカーは少し体が沿っただけで拳に手が触れた状態で押し返しバンドウの腹部にアッパーを入れ怯んだところを至近距離でショットガンを連射。

 あまりにも距離が近すぎるものだから物を盾にする暇もまなく現れてものの数秒でリタイアとなった。


 この間にも次々とプレイヤーがリタイアし凱旋門付近ではロイドとレナの戦いが続く。レベッカも後方で別のプレイヤーと戦っており状況はどんどん混沌化していき一歩も引けない状況へ。

 だが、すべてが悪い方向へ進んでいるわけではなかった。バンドウの登場によりショットガンが玉切れとなり遠距離武器が腰のハンドガンのみとなったのだ。

 残り人数は12人。そろそろ決めないといけない山場。それぞれが一人の相手に囚われているうちに目の前の強敵を倒さなければ結果的に挟み撃ちでやられる可能性がある。

 レイランは通りへと姿を現し覚悟をした目でウォーカーをみた。


「目がかわったな」

「覚悟はできてる。隠してる場合じゃない。私のエースストライクであなたを倒す!」


 今まで隠し通してきたエースストライクがついに発動する。

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