サイドストーリー レイラン 2

 敗者復活戦当日。

 すでに60人のプレイヤーはフィールドで戦いが始まるのを待っていた。ランダムで配置されたプレイヤー達はスクエア型のステージの一番端のfirstエリアもしくはsecondエリアに配置されている。

 光の壁は五段階で徐々に迫ってくる。ラストエリアではお互いが肉眼で視認できる距離となり、そこまでに多くのプレイヤーが残っていた場合、激しい混戦が予想される。


 優勝候補として名高いのが第二戦でクリアしていれば上位10名に入るほどの戦績をもっていたウォーカー。さらに注目プレイヤーとして第一戦にて漁夫の利とアイテムの扱いにたけていたジョーカー。好戦的でどんな相手にも挑むロイド。タトゥーを呪文詠唱の代わりとして変化させながら戦うレベッカ。ミハル、サクラに次ぐ刀を扱う少女レナ。

 そして、レイランも注目プレイヤーの一人であった。


「これより敗者復活戦を始めます。なるべく最後まで生き残らなければ失格となり復活することはできません。敗者に用意された最後のチャンス。ぜひものにしてください。――敗者復活戦、スタートです!!」


 レイランはスタートと同時に近くの家へと入りアイテムの物色を開始した。

 住宅街エリアのため物色は容易である反面、室内だと武器の扱いが難しいことが欠点であったが小型の剣を装備し周囲を警戒しつつアイテムを探す。

 そうこうしている間に少し離れたところで戦闘音が鳴り響いた。音の響き方から同じエリアであることを察し慎重に屋根へと上がって周囲を見渡した。


「あっちか」


 フィールド中央方面のエリアで爆発と破壊音が鳴っていた。すると、一人のプレイヤーが大きく跳躍し姿を現す。槍をもつそのプレイヤーは高く飛びあがると一直線に地上へと突撃した。その瞬間、プレイヤーの数が1人減り59人となった。


「早すぎでしょ。あんまりのろのろしているとあれに狙われてるかもしれない」


 わずかに見えたプレイヤーネームロイド。

 二度に渡りミハルと戦った槍使いのロイドは第二戦でひそかにリタイアしていた。最初は市街地フィールドでミハルと会敵したがその後早い段階で仲間を失い戦闘をふっかける性格が災いしたのだ。


 レイランは家屋でロイドから姿を消しつつ攻撃アップ用の強化アイテムを二つ手に入れ別エリアへと移動しようとしていた。同じエリアに降りてきたのが少なかったためアイテム探しは簡単だったが、それよりもロイドとの会敵を避けようと考えた。

 江戸のようなエリアの橋に向かっているとすでに橋の上にプレイヤーが立っていた。


「遅かったじゃねぇか。さっき飛んだ時に見たぜ。俺から逃れようとこそこそしてたみたいだがそうはさせねぇ」

「まだ体力は減らしたくなかったのにな……」

「おいおい何言ってんだ。ここで会った時点で終わり。ゲームオーバーなんだよ。逃げ隠れしてたってことはお前弱いだろ。一瞬で終わらせてやる」


 レイランは小型の剣を地面に刺し袖から二本の中くらいの槍を取り出した。


「悪いけど負けてあげられないよ。こっちだってまだ不完全燃焼なんだから!」


 槍使いロイドと暗器使いレイランの戦いが始まる。

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