第二戦終了

 第二戦が終了し40人のバトルプレイヤーがボードに掲載された。

 ミハルやフヨウはもちろん、ハルミやマキナ、クリントやノア、さらにノアとの戦いで助けてくれたチームの三人もクリアしていた。


「ねぇ、ミハル。レイランがいないよ」

「えっ」


 ボードに掲載された40人のプレイヤーを何度見返してもレイランの姿がない。


「――みんなはクリアしたみたいだね」

「レイラン、もしかして」

「うん。負けちゃった。いや~惜しいとこまでいったんだけどねえ」


 気丈に振舞おうとするレイランであったが、その表情には陰りが見えていた。

 

 レイランは友人と共に第二戦に参加し三人とも中近距離のタイプで戦闘を行っていた。アイテムに恵まれないまま会敵する機会が全チームで一番多かったがそれでもチームワークで乗り切っていた。


「誰にやられたの?」

「ノアっていう第一戦トップのプレイヤーだ。東京に似た市街地フィールドに入った時に出会っちゃってね。私たちも相手もボロボロだったからスルーしようと思ったんだけど、急に攻撃を仕掛けてきたの」


 ミハルたちがノアを逃したあと、市街地フィールドへ逃げたノアはその腹いせにレイランのチームを攻撃したのだ。


「みんなの活躍応援してるね」


 そういうとレイランは声をかける間もなくすぐにゲームから出て行ってしまった。

 

 モニターが切り替わり第三戦の概要が紹介される。


「第三戦のルールはストーリーバトル。二人のプレイヤーが分かれヒーローとヴィランとしてバトルを行います。ヒーローは目的達成をすることでクリア。ヴィランはヒーローの目的を阻止することでクリアとなり第四戦への参加することができます」


 次の戦いは一対一だが、フィールドに用意されているイベントやギミックを用いて相手を倒す。純粋な戦闘力でなく状況に応じた素早い判断能力が今まで以上に試されるだろう。


「そうだ、フヨウ。さっきのチーム――」


 ノアとの戦いで助けてくれたチームのことを聞こうとしたがすでにフヨウは姿をけしていた。


「あの子って神出鬼没だね」

「ほんと、肝心な時にいないんだから」


 椿たちと分かれたミハルはいつものように師範代の道場へやってきた。


「こんばんは」

「おう、美春。稽古か?」

「それもありますけどゲームで気になることがあって」

「おいおい、ゲームとかそういうの俺は詳しくないぞ」

「――桜に似てる人に会ったんです」


 それを聞き師範代は一瞬表情が変わるがすぐにいつも通りに戻り美春へ稽古着へ着替えるように言った。

 

 木刀を構え二人は位置につく。


「桜に似た人に会ったと言ったな」

「はい。立ち振る舞いや所作がとても似ていて、正直別人だとは思えなかった」

「戦いっぷりはどうだ」

「わかりません。ゲームのシステムに応じた技を使っていたので本来の桜の剣術と比べることができませんでした。でも、プレイヤーネームはサクラだった。こんな偶然……」

「偶然は起こるさ。出会いや分かれ、今の境遇なんかもすべては偶然の連続。いつもいっているだろう。どれだけ答えに近いものをもっていようと、自分の目で確認するまでは信じすぎるなとな」

「わかってます。わかってますけど……。いなくなった桜がそこにいると思うとどうしても」

「なら、勝ち上ればいい。桜ならどんな戦いでもトップを狙える。それを止めるやつがいるとするならそれはお前だ」


 かつていなくなった最愛の友。双子のようにいつもここで過ごした思い出がフラッシュバックのように駆け巡る。厳しい稽古と楽しい時間。何が原因かわからず離れて行ってしまった桜と再び相まみえるため、美春は稽古を続けた。


 

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