チームバトル
第32話 第二戦開始
すでにゲーム内では全員配置について戦いがはじまるのをまっていた。
ミハルたちは市街地からのスタート。東京を模したフィールドでNPCは存在していない。三人を中心に光の膜が覆っており全員が配置につくまで動けない仕様となっている。
「今回はプレイヤーが40人になるまで戦いが続きます。前回と違って最後までは気は抜けませんよ」
「アイテムとかもあるんでしょ。やっぱ優先的にミハルに渡した方がいいのかな」
「確かに優先すべきはミハルさんが残ることだけどチームバトルである以上俺らもなるべく生き残らないと」
まずはどこかにあるマップアイテムを探すため探索を開始した。
お店に入ってみるとそこにはまるで現実のような商品が細かく揃っている。
「見てみて。これ新発売のラーメンだよ。コンビニ限定だから個数も少なくて中々見つからなかったのにこんなとこで出会えちゃった」
「あ、このスイーツ知ってる。これも買ったことある。――本物がこんなに細かく配置されてるなんてむしろ怖いなぁ」
「大規模なゲームですからね。この大会が終われば世界規模でサーバーを繋ぐらしいですよ」
「そっか。まだ日本にいる人しかいないんだよね」
試合の映像は大手動画サイトで配信されている。
この大会は今となってはひとつのエンターテイメントとして注目がどんどん高まりつつあるのだ。
「虱潰しで探してもキリがない。おとなしく移動するべきか……」
「ぶっちゃけ隠れててもいいんだよね」
「そりゃそうだけど準備をしておかないといざという時に逃げることさえままらなない」
「私も隠れてるってのは性に合わない。できるとこまで試してみたいから」
もう少し市街地を探索し別のエリアに移動をしようと考えていると外で大きな音が鳴り響いた。
「うわぁ! なんか飛んできたよ!」
コンビニから外を見ると道路には人が転がっており仲間らしき人物が二人駆けつけてきた。
「吹き飛んだのはプレイヤーですね。周りはたぶん一般の人です」
ルチャリブレのようなパンツにマスクをかぶった筋肉質な男はゆっくりと立ち上がり自分が飛んできた方向を見ながらチームで警戒している。
「いまなら追い打ちかけられるよ!」
「バカ。今行ったらもう一つのチームに見つかるだろ」
「相手は誰だろう……」
緑色のコートを羽織った男が三人と戦闘を行い後方で二人が援護をしてるのが見える。どれも今まで遭遇したことがないプレイヤーたちであり戦闘力は未知数。
しかし、目の前のコートの男は三対一というのにも関わらず接近し援護を仲間に任せていることからかなりの手練れであることだけはわかる。
「裏口から出て行きましょう」
裏口の路地へ行き逆側の道路へと向かった。
「うわあ!――いてて」
「何やってんだ姉ちゃん」
「ごめんごめん。ゴミ箱にぶつかっちゃった」
倒れたゴミ箱からは黄色い光を放つ球体が転がった。
「ねぇヤマトくん。これってマップだよ」
ゴミ箱にから出てきたのはエリアマップであった。
「市街地のマップですね。移動するとそこのマップに切り替わるみたいです」
「敵の位置はわかんないんだね。使えないなぁ」
「見えるわけないだろ。そんなアイテムあったら強すぎる」
「まぁまぁ。これで移動しやすくなったんだからいいじゃない」
アイテムを収納し現状のプレイヤー数を見ると残り75人となっていた。
「もう5人もやられてる……」
「チーム全員を参加プレイヤーでまとめてたところ同士が戦ったのか。それとも個別でやられてたのかしれません」
「遅かれ早かれ私たちも他チームとぶつかるだろうから覚悟しないとね」
「もう少し探索していきましょう。アイテムの中には使用すると一定時間無敵になったりバフがかかったり、エースストライクの発動条件を無視して発動できるようになるものがあるようなので」
「ヤマトくん頼りにしてるよ」
「ま、まかせてくださいっ。――でも、戦闘に関してはミハルさんのほうが上で姉ちゃんのほうが火力がありますから援護はしますがその時はお願いします」
三人は別のプレイヤーに見つからないようにもう少し探索をすることにした。
――――
「お前……裏切るのかよ!」
ボロボロの男は白いスーツをプレイヤーに言い放った。
もう一人のプレイヤーは地面に倒れており微弱ながら動いている。
「今回の戦いはチームの勝利じゃない。残り40人に残ることだ。これで二人減る」
「そんなことが許されるのかよ……!」
「マナー違反はルール違反ではない。そもそも二対一でボロボロにされてるんだ。僕を恨むんじゃなくて自身の弱さを恨んだらどう?」
そういうと白いスーツの男は大きな岩を浮かせ二人に落とした。
「イマジネーションシステムにおいて僕は最強だ」
このプレイヤーの異常な行動はなぜか配信上で確認されることはなく、男は次の獲物を求めてフィールドを移動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます