美化委員のお仕事!

広茂実理

オレゴンの渦

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 私立、鳥ノ森学園高等部。

 この学校には、関わってはならないと言われている生徒が、二人いる。

 両名共が、学内外問わず大変有名な人たちで。いつだって、どこでだって彼らは、それぞれがいつも騒ぎの中心にいた。

 そんな人たちと同じ学校に通うことは、それだけで相当なリスクを負っていると言っても、過言ではない。

 とはいえ、学年は違うし、部活も異なるために、私には袖が振れる縁すらない人たちだと、本気で思っていた。

 入学してから一週間と経っていないが、既に新入生の間でも、毎日噂の絶えない二人。いつも彼らの話を人づてに聞きながら、それでも私はどこかスクリーンの向こう側の、リアリティーのあるフィクションのようだとさえ感じていた。

「昨日、白瀬しらせさんが美化委員に決まりました。そういうことですので、今日からよろしくお願いしますね」

 白瀬小鳩こばと、十五歳。高校一年生。

 平凡な私が平穏に過ごす予定で始まった高校生活は、この瞬間、ガラガラと音を立てて崩れていった。

 それは入学したての、まだ桜が花を咲かせている四月のことだった。

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