笑顔の仮面
樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須
笑顔の仮面
「いらっしゃいませー」
私は接客業をしている。丁寧な接客を心がけているけど、私がお客様よりも年下だと分かると途端に横柄(おうへい)な態度を取るかたや、理不尽な事を言うかたも中にはいる。
そんな時私は、笑顔の仮面を被る。お客様の気分を害さないように。お客様が気分良くお帰りになれるように。
心が荒(すさ)んでいく毎日に疲れていたある日、気が付くと行きつけの喫茶店に足が向かっていた。
とても広いとは言えない店内に、多数のコーヒーカップで壁を埋め尽くしている。
「今日はどのコーヒーカップにしようかな?」
どのコーヒーカップにするか悩みながらも、注文はいつものコーヒーとシナモントーストと決まっていた。
ここのシナモントーストは、サクサクとしたトーストにバターがジュワッとしていて、シナモンがふわっと香ってとっても美味しいのだ。
『いつもお疲れ様ね』と女性マスターから話掛けてくれた。
『お客様がシナモントーストを食べてる時、本当に美味しそうに食べてくれてて嬉しいのよ』と言われ、ここのシナモントーストが大好きという熱意を伝えるのをキッカケに、堰(せき)を切ったように仕事の事やプライベートな事まで話してしまった。
『お客様の笑顔はね、とっても素敵よ?こんな狭いお店だからこそお客様の反応が目の前で見れるのって本当贅沢だと思ってるの。自分の笑顔に自信持ってね』と言われ、涙が頬を伝っていた。
そう言われれば、ここの所吐き出す機会が無かったかも。【居心地が良くて本音を言える存在】に私もなれるといいな。
「明日からも頑張ろう」と元気を貰えた気がした。
笑顔の仮面 樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須 @ituki505
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