どういうこと?
「あの、それって」
「お忙しいアルベルト様のかわりに、魔法で移動が出来るからこそここにいるのです。あと一人、連れてきますから交代で、こちらか、近くで寝泊まりをしながら護衛兼見張りという事で――」
「ん、いいぞ。この家を使ってもらって。部屋はあるし、どうせ、魔法で追いかけてこれるらしいからな。ただ、無理やり連れて帰らない事と、こいつの意見を尊重してくれ」
アルテにそう言われてしまった私は、肩を落とす。少し位、反対して欲しかったと思うのはわがままかな。
この前のレースで、私達はグリードの魔法でマーキングされてしまったらしい。どこにいても魔法で私達のいる場所へ飛べるそうだ。
「私は帰りません。やりたい事があるのと、彼の腕輪を探すまで一緒にいると約束したので」
グリードは心得ていたかのように、頷いた。
「――わかりました。アルベルト様にはそのように伝えます。……一度、戻り、もう一人も連れてきます」
「はい」
「ご両親には――」
「無理やり連れ戻すのならどこまでも逃げますと」
「わかりました」
グリードは立ち上がり、外へと向かう。部屋から部屋に直接魔法で移動しないのは彼なりの節度なのかな。
まあ、部屋に飛んで修羅場とかアレな時とかに出くわしたら大変よね。
「良かったのか? 戻らなくて」
アルテが聞いてきた。
「私、言ったよね? アルテの腕輪が見つかるまで一緒にいます」
今度は、腕輪を見つけてしまうまでと、期限がきられてしまった。一緒にいられる日は――。
「それに、レース。もう一度するってアルベルト様とも約束してませんでした?」
「そうだったな」
かかっといつものように笑ったと思ったら急にアルテが真顔になった。
「エリナ。腕輪は神様に貰ったって言うのは本当か?」
「え……。あ、うん」
何か、おかしかったかな?
「もしかして――、お前は……。この世界の外からきたヤツか?」
…………え? アルテは、今なんて言ったの?
私が戸惑っていると、アルテは片手で目をおおっていた。
「いや、すまない。そんな偶然があるわけがないか。忘れてくれ」
どういうこと? この世界の外? 腕輪は神様から貰ったって事からなんでそんな話が……。私は考えた。なくしてしまったけれどアルテも同じような腕輪を持っていた。その腕輪は、この世界に来た時に神様から貰ったもので……。まって、それじゃあアルテも、乙女ゲーム「空と大地を駆ける~イケメン王子達と甘い恋~」のプレイヤー?! 男の人が? まさか中身が女の子だったり?! え? え? どういうことぉぉぉぉ?!
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