心理学・哲学的観点におけるラブコメの法則
とろ
第1話 恋愛とは哲学だ
俺は高3の大学受験で私立青春大学の心理学部に合格した。長かった受験勉強も終わり、大学生活が始まるわけだが、俺は何より恋愛がしたい。心理学部を専攻したのは、
俺、
一人暮らしをすることになった俺は片道10分の電車に乗り、電車を降りたら徒歩20分の道を歩く。桜舞う並木道、春の訪れを感じる中、俺の視界に移るものは女子だ。
「ようやく大学生になった感じがするな。絶対彼女作ってやるからな!」
高校時代はサッカーばかり打ち込んでいたため、
クラスに入ると、女子は学校が始まってまだ日が浅いというのに、すでにグループができていて、席は自由なのだが、どの席に座っても、いずれかの女子のグループ付近の席に座ることになり、非常に気まずい。授業中は女子大ならではの香りというか、清楚な雰囲気が生まれる。とてもじゃないが、緊張して授業の内容が頭に入らない。
授業が終わり、食堂へと向かいオムライスの食券を買い、ぼっち席に座る。そして俺は俺の彼女を作りたいという願望を現実のものにすべく、自己啓発の一つの法則、引き寄せの法則について、思考を巡らせる。思考は現実化する。
女子に話しかけるのは気まずい、彼女なんて出来ないというイメージを捨て去り、最高の恋人と付き合う自分をイメージし、彼女とラブラブにテーブルで「あーん」とイチャイチャする自分をぼっち席に座りながら、宇宙に発信するように
ただ、恋愛に置ける引き寄せの法則だけでなく、ビジネスに置ける哲学的法則でも言われていることだが、結果は基本的にすぐにはでない。そりゃ、当たって砕けろ的なノリで「付き合ってください」と言って、恋人関係になれる奴もいるだろう。ただ、それは稀なケースであって、本質的には結果には選択肢を考え直すために必要な時間を神様が与えてくれるという認識がある。根本的に将来、その恋人と長く付き合うには、物理的な問題もあるが、それ以上に精神的なプロセスを踏むことが大事になるだろう。一時的な青春を
食堂ではグループで固まっているものもいるが、必ず1人はグループに属していない子もいるはずだ。「おっ」茶髪にさらっとした髪に綺麗な顔立ちの子が一人。よし、あの子に話してみるか。勇気を振り絞れ俺!革命は勇気ある1歩から始まるんだ。
「あ、あの」
「は、はい、なんでしょう?」
おどおどした様子でこちらを見た女子の容姿を見て、近くで見ると、より可愛くて俺はおどおどした素振りをするが、深呼吸して一旦、気持ちを落ち着かせる。「あの、となり座ってもいいですか?ちょっと話相手が欲しくて」と緊張していう俺に彼女は「いいですよ」と言って席を横にずらす。
さて、ここからが本番だ。何も1日で彼女と親密な仲になる必要はない。今は平静を装って、「この人とまた話したいなー」という意識を顕在意識ではなく、潜在意識に埋め込むのだ。
「こんにちは、俺、三国圭一といいます。あなたの名前を聞いてもよろしいですか?」
「は、はい、
なんと謙虚な子だろう。ここからさらに、話を広げられたいいが、今までの俺なら女性と話すことすらままならなかったが、いつか女性と話せる日が来た時のために、いろんなアーティストの曲を聴いていたのだ。共通の音楽の趣味を持っているというのは非常に共感を持てる。
ただ、、、
「すみません、私、あまり音楽聞かなくて」と彼女は返す。
まあ、人生にはこういうこともある。引き寄せの法則は必ずしもいい結果だけを引き寄せるものではない。当然、いいイメージではなく、悪いイメージもあらゆる形で現実化してしまうのだ。音楽の趣味は話題にはできなかったが、逆に言えば、彼女は「音楽の趣味を話題にするのが苦手」という事実も分かったのだ。ここで逆転の発想だ。
興味がないなら興味を持ちたくなるような話題にすればいいのだ。「今、俺このアーティストのこの曲よく聞くんだけど、聞いてみる?」と加奈さんに提供し、彼女はうんとうなずく。
サビが終わるところで、彼女は「これ、いい曲ですね」と感心を持ってくれたようだ。飯を終えて、加奈さんは「また、話そうね」と丁寧語からため口になり、変化を感じた。理論は分かっていても、結局は最初の1歩を踏み出さなければ、引き寄せの法則は働かない。イメージをするのは大切だ。毎日、「どうせ、俺、彼女なんてできないだろうな」と思いながら、登校していれば、それはおのずと表情にも現れている。これを哲学の分野で言えば、宇宙の波動として表現される。
努力は必ず結果を生みだすという意見には賛否両道あるが、根本的に見れば、それは恋愛でも当てはまり、多面的に見れば、その理論は哲学的に間違っていない。俺が話しかけた女性が加奈さんの場合はたまたまうまくいったが、他の女子ではうまくいかないかもしれない。それは結果は出ないというかもしれないが、よく考えてほしい。例えば、うまくいかなかった女性をAさんとしよう。加奈さんとはこのきっかけで仲良くなれたが、Aさんとはうまくいかなかった。ほら、うまくいかないという結果がちゃんと出ただろう。つまり、先ほども述べたが、引き寄せの法則は必ずしもよい結果を引き寄せるわけではないということだ。さて、この展開から俺と加奈さんはお付き合いする流れになるのだが、その過程には当然いろんな事象があるだろう。それらも含めて恋愛はラブコメと呼べるのだ。
心理学・哲学的観点におけるラブコメの法則 とろ @toro515
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます