第48話 クリスマスデート


 クリスマス当日がやってきた。


 電車に乗って、沙希と移動する。


「わぁー怜太さんっ! 海が見えますよ!」


「ほんとだ。綺麗だね」


「そうですね!」


「うん、冬の海もいいね」


「ですね!」


 沙希が子供のようにはしゃいでいる。


 スマホでパシャパシャと、何枚も写真を撮っていた。


「怜太さん! あの……写真、取りませんか?」


「うん、いいよ」


「やったっ! じゃあ撮りますよ?」


「うん」


 肩を寄せ合い、画角に入るよう調整する。


「もっと私の方に寄ってください」


「わ、分かった」


「……ち、近いですね」


「近い方がいいんでしょ?」


「そうですけど……なんか怜太さん、余裕ありますね?」


「余裕あるように見せてるだけだよ」


 ほんとは、心臓ドキドキしっぱなしだ。


「ドキドキしてます?」


「すごいしてるよ」


「ふふっ、なんか嬉しいです! じゃあ、撮りますよ!」


「うん」


「はい、チーズ」


 パシャリ。


 輝く海をバックに、いいツーショットが撮れた。


「見てください怜太さん! よく撮れてると思いませんか?」


「うん、よく撮れてる。カメラマンになれるくらい」


「そ、それは褒め過ぎですよ! も、もうぅ」


 満更でもない表情を浮かべる沙希。


 全く、なんでこんなに、俺の彼女は可愛いんだろうか。


 デート開始早々、愛が増すばかりである。





    ▽





 有名な寺までの道。


 そこに観光客がごった返す通りがあり、そこを訪れていた。


 ちょっとした腹ごしらえだ。


「あっ、たい焼きです! 美味しそうです……!」


「ほんとだね。食べる?」


「い、いいんですか⁈」


「そ、そりゃいいよ? 許可とか必要なし!」


「むむむ……でも、これ食べたら太るかもしれないです……」


「大丈夫だよ。元から細いし、それにどうせこれからたくさん歩くから、チャラだよ」


「はっ! なるほど! 怜太さんは天才ですか⁈」


「そうかもしれない」


 沙希に煽てられると。気分がいい。


 気分がよかったので、たい焼きは奢った。


 歩きながら、アツアツのたい焼きを頬張る。


「ん~! すっごく美味しいです!」


「ほんとだ。結構味しっかりしてるね」


「ですね! あっ、カスタード味も食べてみたいです!」


「いいよ。じゃあ俺は、つぶあんもらってもいい?」


「ぜひぜひ! あ~ん♡」


「あ、あ~む。……美味い」


 ついでに食べさせてくれるのも、なかなかに上手だ。


「怜太さん! あ~」


「あーん」


「あむっ! もぐもぐ……ん~~~っ! 美味しいです!」


 沙希が美味しそうに頬を押さえる。


 ……沙希なら食べ物のCMに出れそうだ。


「結構外国人多いですね」


「そうだね。まぁここ、神奈川じゃ結構有名な観光スポットだもんね」


「ですね。まぁ、近すぎてあんまり来てなかったですけど」


「分かる。家の近くに清水寺とかあっても、行かない気が……」


「ふふっ、確かに」


 これは結構真理だと思う。


「怜太さんって、外国に行きたかったりします?」


「そうだなー……ヨーロッパとか、行ってみたいかも。でも、先に国内とか行っておきたいなぁ」


「確かに! じゃあいつか、温泉旅行とか行けたらいいですね~」


「温泉旅行か……うん、いいね。卒業旅行みたいな感じで、行くのありかもね」


「わぁぁすごく楽しそうです! すごく行きたいです!」


「じゃあ、行こっか」


「はい! これで卒業まで頑張れちゃいます!」


「ならよかった」


 沙希と温泉旅行……楽しそうだ。


 俺も、そこに向かって日々頑張っていくとしよう。


「……なら、新婚旅行は海外がいいですね! それこそヨーロッパとか!」


「だね……って、新婚旅行? 早くない?」


「はっ……! い、今のはな、なしで!」


「えぇ~どうしようかなぁ?」


「れ、怜太さんのいじわる!」


「ははっ、お返しだよ~」


「も、もうぅ!」


 沙希にぽかぽかと肩を叩かれる。


 正直。


 結婚を当然のことのように思ってくれている沙希が、可愛くて仕方がなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――スイーツみたいに、甘い日々は、

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