治安維持

 アビス配下のカプセルド・パイロットたちは、空のコンテナの無人輸送艦をえさに、海賊船を釣る仕事をしていた。

 ノア社やアビス・ステーション周辺は宇宙警察が周辺宙域から消え、今は完全な無法地帯と化している。

 治安は己の手で守らなくてはならないのだった。

 交代制ながら1000名超のカプセルドと多数のダミー艦が、常時アビスステーションから1AU前後を監視していた。

 幸い、輸送艦が襲われるなどしたらすぐさまワープでカプセルドの駆る高性能小型艦が飛んできて、通常弾頭のレールガンや荷電粒子砲で敵海賊船を粉砕する手はずになっている。

 おかげで、来るのは無知な駆け出し海賊くらいなものである。

 安い命が深宇宙に来ては、散っていく。

「退屈だな」

「油断して落とされるなよ」

 そんなやり取りがカプセルド同士で交わされる。

 

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