第二部 パージ作戦

抵抗者

「少しの不手際で死に直結するようなやり方は、あまり感心しない」

 ノア・テクノロジーズの社長からは、説教めいた警告文を貰ったアビスだった。

「パージされた元幹部、ジレットが抵抗していますね」

 マルドという幹部――性別は女性らしい――がその場に割り込んでそう言う。

 マルドは以前アビスに巨額の賭けを持ちかけた幹部であり、パージされたジレットの宇宙ステーションをアビスと共同で管理する予定の人物だった。

 社長は問題なさげに応じる。

「ああ、把握している。

 マルド・ステーションと協力し、ジレット・ステーションを陥落かんらくさせろ。

 情報を示す。アビスが情報管理と戦力の補佐を行い、主力の部隊はマルドだ」

 幾つかの条件が指定されていく。

 大きいものはこの2つだろう。

・特別な危険性がない場合、ジレット・ステーションは無血開城させること。

・ジレットは周辺の海賊やならず者ローグを多数雇って徹底抗戦の構えであること。戦闘・戦争には注意されたし。

「事態は急を要する。

 大規模艦隊フリートを組み、アビス、マルドの両名が直接現地で指揮をせよ」

『了解』

 二名の幹部が、こともなげに応じた。

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