第181話 学科試験 その2
会場受付で、俺は受付を済ませて試験会場に入る。
受験票と同じ受験番号の席に俺は座り、俺は最後の勉強を試験時間までする。
試験対策を纏めたノートを取り出して、苦手分野の最終勉強をする。
……
いよいよ試験時間と成り、試験担当から細かい説明が始まり、俺はそれに真剣に聞く。
試験の流れや、学科試験に合格した時等を聞いていく。
受験生の内訳としては、女性が圧倒的に多かった。
俺の様な学童保育指導員目的で、保育士資格取得を目指す男性は本当に少数だろう?
試験前の説明も終わり、遂に試験本番で有る。
試験問題の解答記入は全てマークシート方式なので、解らない問題が有っても、とにかく埋める事が出来る。
今回の試験でどれだけの成果が出るかは未知数だが、俺は本当にベストを尽くすために学科試験に挑んだ……
☆
初日の学科試験も無事終わり、俺は試験会場から出る。
今日の試験は終わりだが、まだ明日も有る。
回答は全部埋められたが、結果はどうだろうか?
4月の上旬に学科試験が行われたが、試験結果が分かるのは、5月の下旬以降で有る……
(家に帰って、明日に向けての勉強だ!)
(明日の方が、苦手な科目が多いし!!)
俺は心の中で気合いを入れて、家に戻った……
家に戻り、玄関を開けて家に入ると音で気付いたのだろう。
鈴音さんと稀子が、子どもの様に玄関にやってきた!
「お帰りなさい! 比叡さん!!」
「お帰り、比叡君! どうだった?」
2人が挨拶を掛けてくれる。
「ただいま。鈴音さん、稀子!」
「初日は、まずまずだったよ!!」
「そうですか♪ それは良かったです!!」
「今夜のご飯も栄養が良い物を用意しますので、期待していてくださいね♪」
鈴音さんは笑顔で言う。
「今晩も
「期待していてね。比叡君♪」
稀子も笑顔で言う。
「……俺はご飯の時間まで、勉強をしているよ!」
「はい♪」
「頑張れ! 比叡君!!♪」
2人の声援を聞きながら俺は自室に戻り、明日に向けての勉強をした。
その日の晩ご飯は、手羽先と卵をポン酢で煮た煮物と、とん平焼きで有った。
手羽先はさっぱりで食べやすく、卵も栄養満点で有る。
とん平焼きは、豚肉が入っているので疲労回復にも良い。
俺はしっかりと晩ご飯を食べて、晩ご飯後は少しの休憩の後、再び勉強に励んだ……
☆
翌日の学科試験も無事に終わり、後は結果待ちで有るが、結果が判るまで1月半以上も有る。
普通の人なら実技試験の練習を始めるが、俺の場合は殆ど練習する楽器類や絵本等を用意していなかった。
一発合格は非現実的で有るが……それでも、実技試験の練習をしておくべきかと感じた。
絵本に関しては図書館で借りれば良いが、楽器類に関しては本当に困った……
ギターやアコーディオンは本当に無理だし、オルガンのレンタルも出来ない事は無いが、この辺に関しては時期が尚早過ぎる感じがする。
結果待ちとは言え、普通にアルバイトをして後は余暇を過ごすでは、鈴音さんを心配させる気がしたので、俺は図書館で絵本を数冊借りて、絵本を朗読して言語に関する実技試験の練習を始めた。
最終的には、これを素話に発展させなければ成らないので、これはこれで難しいそうだった。
学科試験に合格出来れば、色々な支援も受けられそうな話では有るが、未定の段階では誰も、手を積極的に貸してくれそうでは無かった。
鈴音さんや稀子の大学学部も、児童福祉とは殆ど関係が無い分野なので、2人からの支援も厳しかった……
鈴音さんは俺を応援するとは言っているが、俺が失敗した時の事を考えていて、共倒れに成らない様に、現代社会に役立つ学科を学んでいる。
稀子なんかは鈴音さんと一緒に居たい理由で、鈴音さんと同じ学部に行った……
稀子と関係を持った当初は、俺と共に児童福祉の道を目指すと言っていたのに……
実技試験の練習をしながらでも、俺は万が一の事を考えていた。
今回の試験結果によっては、進路の修正が必要だからだ。
次回の試験で、学科試験が合格出来る見込みが有るなら、俺はそのまま勉強を続けるつもりだが…、これが絶望的な結果で有ったら、本当に諦める必要性も有る。
鈴音さんに以前聞かれた時はサラリーマンに成るとは言ったが、この周辺に大企業の工場は無い。有るのは田畑ばかりで有る。
後有るのは……コンビニや直売所、地元スーパー位で有って大きな店舗は無い。
海も直ぐ近くで有って暮らすには持って来いの町だが、働きながら暮らすには少々不便な町で有った……いっそ、漁師にでも成るか!?
(成れる訳が無いな…。学園も普通科だったし、機械いじりや漁業や水産に関する知識も無い)
仮に漁師に成れるとしたら弟子入りの道しか無いが、この地区で弟子を求めて居るなんて聞いた事が無い。
こちらの道は保育士以上に絶望な道で有った……
俺はそれでも、万が一の事を思いながら絵本の朗読をした……
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