第177話 待望の卒園!? その1

 時も過ぎて……今日は3月1日。

 遂に鈴音さん、稀子が学園を卒園する日で有る。

 鈴音さん・稀子共に進路は無事に決まって、4月からは今までの学園敷地内に有る、大学に通う事に成る。

 簡単に言えば、鈴音さん達の学園は大学の付属学園で有る。


 真理江さんは鈴音さん、稀子の母親代表として、式に参加するそうだ。

 俺も本当は参加したかったが、俺は親戚関係でも何で無い。

 俺の本当の目的は、他の学園生ウォッチングが目的だったが、当然鈴音さんから断わられる。


 鈴音さん達の卒園式が行われている中、俺はいつも通りアルバイトをして居た。

 鈴音さんとはキスをするが、其処から先の関係は進めていない。


(これで、鈴音さんも卒園するから、大人の関係を持っても問題は無い…)

(後は鈴音さん次第か……)


 俺としても一日でも早く、鈴音さんと性行為をしたかった。

 絶対未経験で有る、鈴音さんの秘部に俺のを挿入させたい。


 しかし、来月の初めに直ぐ、保育士試験の学科試験が有る。

 そんな直前に、俺は鈴音さんと性行為をしてしまったら、猿の様に毎日鈴音さんを求めてしまうだろう!?


(鈴音さんも、それを理解している筈だから、卒園したからと言って同時にはさせてくれないだろうな…)


「おい! 青柳!!」

「手止まっているぞ!!」


「あっ、すいません…」


 鈴音さんの事を考えて居たので、手が止まっていた。


(この仕事も楽な仕事では無いが、何時まで続ければ良いのだ…)


 時給は長居鉄工所の時と比べれば良いが、体力はこっちの方が消耗が激しい。

 今は机での勉強が中心だが、学科試験に合格出来たら、今度は実技の練習が中心に成る。


 音楽・造形・言語。この3つの内、2つを実技試験で選択出来る訳だが、どれもが苦手分野で有る。

 絶望的なのは造形なので、造形を消去すると音楽・言語しか残らない。


(音楽・言語も一朝一夕では出来ないので、かなりの時間を要するし、今のアルバイトを続けながら出来るのだろうか?)


「おい! 青柳!!」


(やべ、また手が止まっていた!)


 俺は一旦考える事を止めて、アルバイトに集中する事にした。


 ……


 その日の晩ご飯の時間……


 今日は真理江さんの家では無く、真理江さん妹宅に居る。

 真理江さん妹夫婦が、鈴音さん達の卒園祝いをしてくれる。

 自分らの祝いを自分らで作るのは変だと言う事で、今晩は鈴音さん・稀子はゲストで有る。


 俺は真理江さん妹宅の台所で真理江さん、その妹、俺の三人で料理を作っていく。

 メインは鯛のお頭が付いた鯛のお刺身だが、すまし汁を作ったり、茶わん蒸しを作ったりと、和食を中心とした料理を作っていく……


『二人共、卒園おめでとう!』


 俺・真理江さん・真理江さん妹夫婦が、鈴音さん・稀子に声を掛ける。

 このかけ声で、卒園ホームパーティーの始まりを告げる。


「みなさん! ありがとうございます!!」

「こんな席を用意して貰って、私は本当に嬉しいです!!」


 鈴音さんは嬉しそうな声で言う。

 けど……少し嬉し泣きをしている様にも見えた。


「卒園はしたけど、通う場所が変わるだけだから、あんまり変わらないけどね♪」

「でも、みんな、ありがとう~~♪」


 稀子は本当にいつも通りで有る。

 真理江さん妹夫婦も居るのに、いつも通りの口調で有る。


「鈴音ちゃんや稀子ちゃんが、いきなりこの町に来た時は、本当に仰天したが無事に卒園出来て良かった!」

「二人共、おめでとう!!」


 真理江さん妹夫婦の男性はそう言いながら、ビールを飲んでいる。

 俺も静かにビールを飲む。

 しばらくの間は、鈴音さんや稀子の話題が中心に、宴の時間は過ぎていったが……


「なぁ、兄ちゃん?」

「来月試験だそうだが、合格は出来そうか?」


 妹夫婦の男性が、俺に保育士試験の事を聞いて来た。

 こんな…、めでたい席で聞かなくても良いのに……


「一発合格は難しいと思いますが、ベストを尽くします…」


「何でぇ、そんなに難しいか!?」


 妹夫婦の男性は、驚きながら聞いてくる。


「はい……。予備知識が乏しいので」


 俺がそう答えると……


「真理江さんや。この兄ちゃんの面倒、何処まで見るつもりだ?」

「元々、この兄ちゃんは関係無いんだろ?」


 妹夫婦の男性は、真理江さんに聞かなくて良い事を聞く。


(余計な事を言うな! この男!!)


「……それは、青柳さん自身が決める事です」


 真理江さんは静かに言い、日本酒を飲む。


「それで良いのか? 真理江さん!?」

「こんな様子だと、来年に成っても真理江さんの家に居着いて居るぞ!?」


「話の感じじゃ、今年で試験に合格出来る見込みは無いだろう!!」


(だから、余計な事を言うなよ!)

(お前には関係無いだろう!?)


 俺は本当に妹夫婦の男性が、苦手に成ってしまった。

 最初は感じの良い人だと感じたが、山本さん見たいに遠慮無しに言ってくる。

 俺は真理江さんの次に言う、言葉を静かに待った……

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