第162話 お正月の準備! その1

 波津音市はずねしから旅行に戻って来た、真理江さんご一行様だが、のんびりと休息を取る暇も無く、翌日からは年末年始の準備をしている。


 真理江さんと鈴音さんは、お正月料理の定番で有る、おせち料理を作っており、俺と稀子は大掃除をしている。

 真理江さんは市販品を殆ど使わず、黒豆や昆布巻き等を手作りしている。

 デパート等で買えば、そんな手間も要らないのに……


 大掃除と言っても部屋全体の床掃除や、窓拭きが中心で有った。

 普段から、真理江さんが家の掃除をしてくれているので、普段掃除をしない場所が中心と成る。


 今日は大掃除が中心と成る日だが、明日は真理江さん妹宅で、餅つきが行われるそうだ。

 俺達が、お正月に食べるお餅を別けて貰うのと、そのお手伝いに俺と鈴音さんと稀子は行く。

 真理江さんは引き続き、おせち料理の準備をするそうだ。


 俺は餅をつく場面をテレビ等では見た事が有るが、実物を見るのは恐らく初めてだろう……

 俺は餅つきを、少し楽しみにしていた……


 翌日……


 風は比較的有るが、天気は良くて、餅つき日和で有った。

 指定された時間に俺と鈴音さん、稀子と共に餅つき会場で有る、真理江さんの妹宅に向かう。

 真理江さんの話では、餅米を8升ついて、その内、約3升分は真理江さん達の分らしい。

 お昼の分も含めて、4回(8升)餅米をつくことに成りそうだ。


「いや~~。この町に来て、つきたてのお餅と、そのお餅でお雑煮が食べられるとは思って無かったよ~~♪」


 稀子はやけに嬉しそうに言う。そんなにが旨いのか?


「ねぇ。比叡君は、餅つきしたこと有る?」


「俺?」

「俺は、一度も無いな……」


「あ~~、今時の子だね!」


 稀子はそう言うが、稀子だって今時の子だろ!?


りんちゃんは、当たり前だけど……無いよね!」


「はい!」

「お餅は、お米屋さんで買っていましたから!!」


(鈴音さんの所は、餅を米屋で買うのか!)

(俺の家での餅と言えば、スーパーで売っている、袋に入った切り餅なのに……)


「…そう言う稀子は、餅をついたこと有るの!?」

「稀子は、女の子なのに…?」


 稀子に少し小馬鹿にされたので、俺は思わず言ってしまう。

 どうせ……ついたこと何て、無いだろうと思っていたら……


「比叡君! 有るよ!!」

「私の家、年末に成ると、お餅をつくんだよ!!」

「お父さんが中心だけど、私も少しはきねでつくよ♪」

「知らなかった? 比叡君!!♪」


「あっ……そうなんだ。知らなかった」


(稀子は餅つきまで経験者か…)


「今年の餅つきは、私が家に戻った時には終わっていたけど、そのお餅で作ったお雑煮が美味しかったこと~~♪」

「何だかんだで、6個も食べちゃった!!///」


 稀子は本当に嬉しそうに言う。餅が大好きか!!

 稀子と話をしている間に、真理江さん妹宅に到着する。

 家の敷地に入り、庭の方に目を向けると、餅をつく準備をしている、真理江さん妹夫婦が其処にはいた。


「お早うございます」


 俺と鈴音さん、稀子は、準備している妹夫婦に挨拶をする。

 挨拶をすると、男性側が声を掛けてきた。山本さん見たいに、張りの有る声で言ってくる。


「おぉ~~、おはよう!」

「鈴音ちゃんとが、真理江さんと同居している子達か!!」


「餅をつくのは俺が中心だが、もしかしたら、手伝って貰うからな!!」

「その時は頼むよ!!」


 男性はそう言う。

 俺と稀子は、真理江さん妹夫婦に合うのは初めてで有った。


「おばさま」

「何か、手伝えることは有りますか?」


 妹夫婦と面識が有る鈴音さんは、早速手伝いを申し出ている。


「今は……大丈夫だよ。鈴音ちゃん」


 妹夫婦は、鈴音さんを付けで呼んでいる。

 庭には石臼いしうすと杵。そして、小型のプロパンガスのボンベとコンロも有って、コンロの上では餅米が蒸されている感じで有った。

 後、長机も幾つか有って、餅を伸ばす作業台や、昼食の会場も兼ねている様で有った。


(本格的だな…。やはり地方だから、こう言う行事を大事にするのかな?)


「さて、ギャラリーも揃ったし、そろそろ始めるか!」

「母ちゃん!!」


「やりますか! お前さん!!」


 真理江さん妹宅で、餅つきが行われようとしていた……

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