第160話 みなと水族館
旅行の最終日……
午前9時。山本さんの家前(現レストラン)に集合と成っているので、俺は集合場所に向かう。
時間10分前に到着すると、真理江さん、鈴音さんは既に待っていた。
「お早うございます。真理江さん、鈴音さん」
「お早うございます。青柳さん」
「お早うございます。比叡さん」
それぞれが挨拶を返してくれる。
「……稀子は、まだ来ていませんか?」
「比叡さん。時期に来る筈ですわ」
「まだ、時間前ですし!」
「そうですね!」
昨日の涼子さんとの面談は、結果的には失敗で終わっているが、鈴音さんに変化は特に見られなかった……
「鈴音さんは、涼子さんとゆっくり出来ましたか?」
「はい!」
「ゆっくり出来ました!!」
鈴音さんは、和やかな表情で言う。
もう少し……詳しく聞いて見たいなと感じた時に、タイミングが良いのか悪いのか、稀子がやって来た。
「みんな~~、お早う~~♪」
稀子は朝から陽気で、元気な挨拶をする。
そして、みんなが稀子に挨拶を返す。
「では、みなさん。揃いましたし、出発しましょうか?」
『はい!』
電車で、名美崎市に向かって、名美崎駅で乗り換える時に、旅行カバン等はコインロッカーに預けて、荷物を軽くしてから向かう。
……
波津音市から、2時間余りでみなと水族館に到着する。
チケットの料金も、真理江さんが全額出してくれる。本当に申し訳ない……
今回はデートでは無いので、4人での団体行動に成るが、稀子は相変わらず、興味が無い物は先に行ってしまう……
「間隔が短い内に、水族館に来てしまいましたので、少々感激が薄れています…」
鈴音さんはそう呟く……
「でも、鈴音さん!」
「規模で言えば、みなと水族館の方が大きいですよ!!」
「……比叡さんの言う通りですが、前回程の感激が薄いのも事実です…」
(これがせめて、3ヶ月位離れていれば良かったけど、1ヶ月と少しだからな!)
俺と鈴音さん、稀子と先月。
展示物も大体似ているし、作りも大体同じで有る。
みなと水族館はペンギンに力を入れているが、九尾側の水族館にもペンギンは居る。
動物園や水族館は動物を見る楽しみも有るが、本来はデートスポットの色合いが強い……。これは、俺の偏見か!?
俺と鈴音さん、真理江さんの三人で実質見て回っているが、真理江さんも水族館自体は、余り好きそうでは無い感じがした……
それでも、みなと水族館を楽しみ……昼食は、鈴音さん念願のハンバーグをレストランで食べる!
全員が、特製ハンバーグセットを注文する。
……
「うん、うん。この味♪」
「懐かしくて、美味しい~~♪」
「比叡君とのデートを思い出す~~!」
稀子は俺とのデートを思い出しながら、ハンバーグを食べている。
中々、可愛い所も有るでは無いか稀子!
鈴音さんがやきもちを焼かなければ良いが……
「……普通のハンバーグと比べて、良いお肉が使ってあります!」
「ソースも上品の味がして、この味ならこの値段は、仕方無いのかも知れません!」
鈴音さんは評論家見たいに言って、ハンバーグを食べている。
俺も肉が良いとは思うが……俺の中でのベースは、スーパーで売っている挽肉を使って作るハンバーグで有る。
鈴音さんのベースが、稀子のハンバーグをベースにしているのか、美作家のハンバーグをベースにしているのかは不明だ。
「たしかに、美味しいハンバーグだけど、私には少し……脂がキツそうだわ…」
真理江さんはそう言って、フォークを置く。
……確かに、真理江さん位の年代に入りかけると、脂ジューシーなハンバーグは胃にもたれやすいのかも知れない。
真理江さんが作る料理は圧倒的に和食が多いが、山本(孝明)さんが居なくなった今、豚汁や牛丼等の、こってり和食系は作らなくなった。
俺や鈴音さん、稀子の作る料理も普通に食べているが時々、おかずを残す事も有る。
「おばさん♪」
「食べられなかったら、私が食べて上げるよ♪」
稀子は、真理江さんが食べきれないと判断したのだろう。
稀子は大のハンバーグ好きで有る。
「そう! 悪いわね。稀子さん」
「じゃあ、食べかけだけど、半分貰って!!」
真理江さんは稀子に、自分が食べていたハンバーグの半分を、稀子の皿に乗せる。
(あ~~、本当に脂がキツいんだ!)
(俺も年を取ったら、あぁ成るのかな…?)
真理江さんには少々不評で有った、ハンバーグステーキだが、鈴音さんも満足顔で食べていた!
これで…旅行のメインイベントは終わりを迎えた。
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