【R-15】鈴音編 第2章

第123話 穏やかな時間

 ☆鈴音編 第2章☆


 真理江さん。鈴音さん。稀子との共同生活が始まって早数週間……

 時は……本当に静かに流れていた。

 俺は何時の間にか稀子をで呼ばなく成っていた。

 稀子も特に気にしてないし、お互いがわかり合える親友に、変化したのだと思う事した。


(アルバイトも前と比べれば…、体力的にはキツいが、社内の雰囲気も悪くないし、続けられそうだな……)


 俺は今、物流倉庫でアルバイトをしている。

 平日を中心に働いて、時間は午前9時から午後5時まで有る。

 一応、フォークリフトの資格は保有しているが、リフトに乗る事は無く、手作業ばかりで有った。


 時給は以前の長居鉄工所と比べれば良いが、その分体力の消耗も激しかった。

 そのため……アルバイトと言う特権を使って、週の後半で休暇を取る日も有った。

 アルバイトの身分だから事前に上司にお願いすれば、ほぼ確実に休暇は取れる。


 鈴音さんや稀子は新しい学園にも馴染めた様だが、俺達が住んでいる地区周辺に同級生はいないらしく、今まで通り、基本は二人一緒での行動で有った。

 波津音市はずねしに居た時と比べれば、恐ろしい位静かに時は流れていた。

 何と言うべきか……余計な緊張をしなくて良いと言うべきか、鈴音さんも稀子も生き生きしていた!


 俺も今は共同生活をしているので、役割分担は有る程度は有るが、1人暮らしの時と比べれば遙かに気楽で有った……


 ☆


 晩ご飯後の夜の時間……


 今日も自室で、保育士資格取得に向けて勉強をしているが……、緊張感が薄れてしまった所為か勉強にも力が入らない。


 みんな各自部屋を持っており、2階には俺と稀子の部屋が有る。

 何故、俺と鈴音さんが関係を持って居るのに、同じ階の部屋では無いかと言うと……


りんちゃんと比叡君を同じ階にしたら、絶対に目を盗んでエッチな事をする!!』


 その様に稀子が言い、真理江さんも『出来れば、鈴音さんが近くに居た方が安心出来る』と、言われてしまったので、この様に成ってしまった……

 部屋の間取りの関係上、俺と稀子は隣室では無いが今の所、稀子が俺を襲いに来る事は無い!?


「う~ん……」

「社会的養護なんて……テキストを読んだだけでは、さっぱりだぞ!!」


 正直言って……今の状態では、とてもじゃないけど保育士試験には合格出来ない。

 学科試験ですら…、合格するのが厳しい状態で有った。


 俺は将来の稀子に頼ろうと思い、稀子に今後の進路の事を聞いてみたら『あの時はそう言ったけど……今は、鈴ちゃんが比叡君の担当だからごめんね♪』と、何故か笑顔で言われてしまった!!

 稀子は俺に対する、熱が冷めてしまった様で有る。


「鈴音さんも、応援するとは言ってくれて居るけど…、鈴音さん自身が遂数ヶ月前までは、山本鞄店の後を継いで、ランドセル職人に成るのが前提だったからな……」


 鈴音さんも普通の女の子に成ってしまったので、鈴音さんのコネクションは、無いに等しくて、真理江さんも波津音市では顔は有ったが、九尾きゅうお市では鈴音さんと同じで有った。更に本家の力も、この地では無力も良い所だった……


「ネットで調べても……余り有効的では無いし、一通りテキストを読んで、確認問題を解いていくしか無いな……」


 俺の中では無意味に感じ始めているが、此処で『俺、保育士に成るのを辞めます』とは言えなかった……


 それをしたら、俺が此処で共同生活を出来る権利を、自ら放棄してしまうからだ。

 折角……鈴音さんとの交際が本当にスタートしたのに、そんな事をしたら勿体なさ過ぎる!!


 今晩も、流れ作業に見たいにテキストを読む時間が続いた……

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