偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

出会い編

第1話 不幸の始まり……?

 この物語はフィクションです。

 設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。

 登場人物は全員18歳以上です。


 ☆


 当たり前のように流れて行く毎日。

 楽しい日も有れば辛い日も有る……

 生活は楽の方では無いが、まだ毎日食べて行ける……だけど、その生活にも変化が訪れる時が来た。


 ……


 今日の仕事が始まった直後…、個人的には好きで無い、中年女性上司に俺はいきなり呼ばれる。


「はい。どうしましたか……?」


青柳あおやぎ君、今月で辞めて貰えないかな!」


(えっ!? いきなりのクビ!?)


「えっ、どう言う事ですか?」

「全然、理解出来ないのですか…」


「うん…びっくりしただろうけど、君より若い子を入れたくてね…」

「今の仕事を凄く希望している子が居るんだ!」


(それなら…、別にその人を雇えば良いだけでは無いか?)


「あまり人が多いと……シフトのバランスが崩れるし、それに……青柳君。私の言う事聞いてくれないでしょ!」

「他の人達からも、あまり評判良くないから、辞めて欲しいの!」


 上司はさらっと言っているが『何、言ってるのだ。こいつ…』と俺は心の中で思っている。


「上司……それにしては、きゅうすぎませんか?」

「もう少し、事前に言って貰わないと、こちらとしても―――」


「だから、青柳君!」

「直ぐでは無くて今月末だから、まだ時間は有るでしょ!」

「私はきちんとルールに基づいているわよ!!」


「……」


(何で…、俺がクビにされなければ成らないのだ!)

(『俺より若い子入れたい!』ふざけるな!!)


 俺はこの中年女性上司の言う事をずっと聞いてきた…。問題になる事も1つも起こしてはいない。それなのに、なぜだ!?


「青柳君、聞いてる!?」


「はい……。聞いてます」


 上司は俺が無視をしているのだととらえて、語気を荒くして聞いて来る。

 俺はぶっきらぼうにそれを返す。


「まぁ……そう言う事だから。もう、戻って良いよ…」


(何が、戻って良いよだ!!)


 反論はもちろんしたかったが、この職場の支配者は、実質的にこの中年女性上司で有る。

 反論しても水掛け論になる事は、目に見えて居たのでしない事をする。

 腹の中は煮えくり返っていた。しかし、言われた通りに今の仕事に戻る……


 テレビドラマ見たいに、作業着に成っているエプロンを脱ぎ捨てて、颯爽さっそうと職場を出て行きたい気分だったが、気が弱い自分はそれが出来ない。つまらない人間だ……


 ☆


 と言うわけで、今の仕事は今月末で終わりクビになる。

 今の仕事はやり甲斐の有る仕事で、個人的には続けて行きたい仕事だった…。だけど、クビに成ってしまうから終わりである。


 なら『他の職場に転職すれば良いでは?』と思う人も居るだろう。

 正にその通りだが、俺はその職種に必須な資格を持ってはいない。もちろん、正社員では無くパートタイマー(非正規雇用)だ。


 パートだから無資格でも今の仕事に就けた。

その必要な資格を取得すれば問題は無いのだが、時間とお金が掛かる……

 学生の時にきちんと勉強(学歴を積まなかった)をしなかった自分が悪いのだが、それでも今の仕事を天職(幸福)と感じる時も有った。


(あぁ、今の仕事は大変だけど楽しいな)

(頑張れは、正規登用の話も有るらしいし…)


 数日前に思った矢先にこの話で有る。

 昔から良くある言葉だ。


『満ちれば欠ける』


 月が満月になれば、次は絶対に欠けて行くのだ。


(どちらにせよ、次の仕事を探さなくては成らない。自分が望まない仕事でも…)


 理想は夢を仕事にする事だ。

 パイロット、芸人、アイドル、何かを極める職人……、色々有る。


 しかし、夢を仕事に出来る人はほんの僅かだ。

恐らく大半の人が『生活のために仕事をする』だろう。

 自分も、半年と言う短い期間とはいえ、希望する職種に就けたのだから満足するべき何だろうか?

 藻掻もがきたい気持ちも有るが、無理な物を無理しても無駄なので有る。逆に言えば、今の仕事に就けたのが奇跡と言うべきだろう。


 ……

 …

 ・


 あっという間に月日は経ち、俺は無職に成った。

 上司から撤回宣言が有るかなと期待していたが……淡い期待で終わった。

 その職場で働く最終日も淡々と終わり、上司からの『お疲れ様』の一言も無かった。俺はどれだけ嫌われているのか……

 気分はどん底ではないが、不幸や不満を感じる…。怒りや悔しさも有るが、不幸の方が大きい。


「さて…、ずっと夏休みがやって来たか…」

「今の時期は、冬休みだがな……」


 大人の世界だけに有る、年中夏休み……


 やる気(仕事)が無ければ、ずっと休みでいられる。

 もちろん自分から動かない限り『休みは終わらない…』貯金が尽きて、ホームレスに成ってもだ。


 世の中には『起死回生きしかいせい』と言う言葉が有る。絶望的な状態でも物事を立て直す事だ。

 だけど、それが成功する事はあまり無い。実際それが出来るなら、最初からそんな状態には成らないからだ。


「取り敢えず、求人サイトでも見るか…」


 スマートフォンで求人サイトを検索して、検索サイト上位に出てきた求人サイトを眺める。


「……」

「介護や飲食、土木、設備関連ばかりだな」


 興味を持つような職種を出てこず、直ぐに求人サイトを閉じる。


「家に居ても暇だし、外に出るか…」


 気分転換も兼ねて外に出る事にした。

 その日は、冬らしくない暖かい日差しだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る