カクヨムを始めてからこれまで
きょんきょん
カクヨムを始めてからこれまで
私は二年ほど前に作品の投稿を始めた。
理由は単純に小説を書きたくなったから。他にはなにもなかった。
一読者としては、周囲の人間より圧倒的に読書量は多かったと思う。それでも、自らが書き手になろうとするなんて考えには一切及ばなかったのだが、気が付いたら右手の親指はカクヨムの登録を完了させていた。
あまりにもあっけないスタートだった。
どんな作品を書き始めたか、それはここでは割愛しておく。なんせ思い返すと恥ずかしいものばかりで――今も思い付くまま書いてるので、成長してるのかといわれるとなんとも言えないのだが――ひっそりと消えていった作品達は少なからず存在する。
今でもよく覚えている――初投稿を終えたときの緊張感に、ワンクリックで大勢の人に読まれてしまうという羞恥心。どんな感想が寄せられるか考えるだけで顔が熱を帯びていた。
正直、一話分を書き終えただけで気分は清々しかったし、そこそこの欲求も満たされていた。その日は気持ちよく眠りについたはずなのだが――翌朝にPV0という数字を目にして地獄に叩き落された気分になり、前日までの高揚感は霧散してしまった。
――なんだ、誰も見てくれてないんだろう。読んでくれたら面白さに気がつくのに。
そんな暗い気分で何作か書いて、徐々に更新の間隔は開いていき、ちょうど登録してから一ヶ月後だっただろうか――小説を書きたい欲は蝋燭の火を吹き消したようにきれいさっぱりと消えてしまった。
残るのはほとんど陽の目を見ることなく葬られていった作品達と、どうせ書いても見てももらえないと
それからは一文字も書くことなく、以前とかわらず小説を読み耽る生活に戻っていった。仕事も忙しかったし、他にも趣味もあったので自然とカクヨムの存在も忘れていたのだが、去年の十一月――スマホに一通のメールが届いた。
〈あたらしい応援コメントが一件あります〉
一瞬なんのことだがわからなかったが、送り主はカクヨム。あの、忌まわしきカクヨムだった。
二年越しに思い出した存在に、そういえばそんなものに手を出していた時期もあったなぁ、としみじみ思いつつページを開くと、そこには思いがけない一文が書かれていた。
「こんな物語初めてで、大変面白かったです」
まさかのコメントが書かれていたことに驚くばかりで、更新もとうの昔に止まっている作品に見知らぬ誰かが感想を記してくれらなんて思いもしなかった。
たったそれだけと言えばそれだけのコメントではあるが、体の奥底から二年前には感じることのなかった感情が沸き上がって、気づいたらまた書き始めていた。
それは詩のようなもので、ほんの数分でかいたような作品だったけど、昔より書き終わったときの充実感は大きかったと記憶している。
幾つも作品を書き上げて、今では幸いなことに定期的に読んでくれる読者も少しずつついてくれている。以前と比べて、書きたい欲は一層強くなっていた。
それまで敬遠していたツイッターも始め、同じように楽しんでる人や苦しんでる人もいるのだと知った。
趣味ではなく本気で作家を目指してる人もいれば、自分の思いを形にしたいという熱量を作品にぶつける人もいた。
二年前では知ることのなかった物書き達の世界に、片足の、それも
カクヨムを始めてからこれまで きょんきょん @kyosuke11920212
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