授業中の小さな貸し借り

よこたん

授業中の小さな貸し借り

「ねね白井さん何読んでるの?」


「勇者は眠るだよ」


「ふーん……貸してもらっていい?」


「いいよ!」


私は彼に本を貸した。そしたら社会の先生が来たみたいだ


「社会始めますね!よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします!」


本を貸した彼は確か……石川 蒼井


石川くんは社会の授業中ずっと本を読んでいる。

まぁ成績そこそこいいっぽいから良いんだろうけど、私は先生の話を聞きながら遅れないように黒板に書かれたことをノートに写した。


「よし終わり!ありがとうございました」


「ありがとうございました」


「ありがとう、これ面白かったよ!」


「うん、ありがとう!」


「あのさ……俺も本持ってるから貸すよ」


「なんのタイトルなの?」


「うわさの勇者は最強でした だよ」


「あれ……?どっかで聞いたことあるけど……」


「以外に読まれてるよ?この本」


「ふーん、わかった読むね」


私は彼から受け取ったあと本を読んでみた。本の内容は、私が読んでいた勇者は眠ると同じ感じでとても読みやすかった。


「では数学始めますよー!」


「よろしくお願いします!」


号令した後石川くんから声がかかった


「ねね……数学の教科書見せてくれない……?」


「あれ?忘れたの?」


「うん」


彼のカバンは意外と大きく膨らんでいてとても重そうなのに無いなんてちょっとおかしいから聞いてみた


「カバンの中に無いの?」


「うん……本ばっか持ってきちゃったから忘れちゃった……」


「ぷっ……くすくす」


「なんで?!笑わないでよ〜」


「だって本を持ってきすぎて忘れる人っている〜?」


「もー」


「そこ!ちょっとうるさいよ!」


「すみませんでした」


2人は同時に言ったからお互いに見あって少し笑ってしまった




「じゃ時間だから終わりだよ!」


「ありがとうございました」


****

今日は冬で雪がしんしんと降っている。

もう冬かーなどを考えながら歩いていたら石川くんがいた。


「昨日は本貸してくれてありがとうね」


「いや、こっちこそ」


「白井さんっていつもこの時間なの?」


「いやこれよりちょっと早いくらいかな……まぁこれからこの時間にするけど」


「じゃ一緒に行こうよ!」


「うん、ありがとう」


私は彼と小説や授業の話をしながら学校に行った。


「あれ?白井さん今日は珍しく遅いね」


「ちょっと遅くしようって話になったから」


「そうなんだー」


「じゃよろしくね」


「うん」


その会話を終えたあと国語の先生が入って来た


「では国語を始めます、よろしくお願いします」


「よろしくお願いします!」


***


「ありがとうございました」


「これ返すね」


「うん、ありがとう」


そう言って彼から本を返してもらった


「あとさ、これの続きない?」


「そう言うと思って持ってきたよ」


「マジ?ありがとう!」


***

今日は終業式私は今日も石川くんと登校している。


「もう終業式だね」


「…そうだね」


「ん?どうしたの?」


「……俺さ…今年で辞めるんだ……この学校」


「え?」


「だから言わせて欲しい」


「付き合ってくれないか?」


「……うん、いいよ」


「ありがとう、俺が行くところはさここから結構離れてるけど俺達の関係はずっとこのままだから……」


「離れても手紙とか本とか交換しよう」


「うん!」


***

今日は白川くんと初デートの日

彼のいる場所は私の住んでるところから相当遠かった。でも私達はずっと手紙を交換していた。


「お!お待たせー!」


「もーー!いつまで待たせてるの?!」


「ごめんごめん!3分遅れただけじゃん」


「3分でも貴重なの!」


「はいはい」


「何その反応?!」


「で、本持ってきたよ」


「お、私も持ってきたよ」


「じゃ、いっせーので出す?」


「お、いいじゃん!」


そしてお互いに出した本は、勇者は眠るの新作だった


(完)

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授業中の小さな貸し借り よこたん @yokotan2050

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