ボヤッキー! フンばる!

ぺんぺん草のすけ

第1話 トイレットペーパーください!

『KAC2021 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021~』が開催された。

 なになに、お題発表から一週間で、読者の獲得数が多い上位1~5作品が読者賞で、お題発表から一週間で、最も多くの★数を獲得した上位1~5作品がレビュー賞だって。


 むりじゃん!

 絶対無理じゃん!

 俺なんか、参加したところで、可能性0ですわ!


 え! この入り方、どこかで見た?

 それは気のせいでしょう!

 だって、「審査の関係上、次のエピソードにつながっていても続きは審査対象にしません」なので、前回のお話しとは全く関係ございません!


 今回のお題は「私と読者と仲間たち」だそうだ。

 これまた、ボッチには辛いお題だ。

 そもそも、ボッチには、仲間などいない。

 仲間がいないから、空想の世界に逃げてきているのである。

 空想の世界で俺TUEEEE!

 俺の書いた小説、おもろいだろ!

 そう、思ってカクヨムに勇んで投稿するわけだ!


 すると、これまた、いきなりPVついたよ!

 俺すごいんじゃね!

 俺、天才じゃね!


 これで俺の小説、本屋に並んだりするのかな!

 もしかしたら、俺の小説が原作で、アニメになったりするんじゃね!

 そうなったら俺、サイン会だよ。

 俺の前に、女の子たちがキャーキャー言いながら列をなしているんだよ!

 ちょっと、手でも洗ってこよう。


 しかし、新着の効果がなくなると……

 当然、PVは0となり……

 その翌日の、PVも0……

 その翌々日の、PVも0……

 もうね、しばらく0が続くとね、心が折れそうになるんですよ。

 読み専読者……そんな、絶滅危惧種、見たことありませんわ……


 カクヨムの中に逃げ込んでも、結局、ボッチはボッチなんですわ!

 まぁ、単に才能がないだけと言う話ですけどネっ!


 それで、このお題である!

 心の傷にまるで塩を塗り込むかような、この所業!

 これが、俗にいう、無意識のいじめ!

 やっている本人にはいじめの自覚がないのかもしれないが、受けた方は、もうひりひりと心が痛むものなのです。

 便所飯でもと思ってトイレに逃げ込むも、最近の俺の昼飯はカップラーメン。

 さすがにトイレではお湯が出ない。

 えっ、下から出るじゃないですか?

 あれは、36度しかないから、ラーメンはさすがにほぐれません。

 大体、今日の俺、カレーラーメンだし! 色の区別がつかんわ!


 こういう時に、ト●ズラーや、ドロ●ジョ様でもいてくれたらいいのになぁと、トイレで気張りながら頬を濡らすわけですよ。


 あっ! トイレットペーパーがない!

 「誰かスミマセン! トイレットペーパー取ってくれませんか!」

 暗いトイレの中に俺の声が響く。

 

 ゴトゴトという音共に、隣から個室からトイレットペーパーが投げ込まれた。

 隣の人! マジ神様!

 紙だけに!

 いやいや、これぞ、まさに糞系の友! 間違えた刎頸ふんけいの友だ!


 そういえば、PVが付いたことで初めてもらったリワードって嬉しかったな。

 初月についたリワードは11。

 たった、11円である。

 それでも、カクヨムで書いて読者の方に読んでもらった結果の表れなのである。

 今の仕事の給料よりも、この11円の方が輝いて見える。


 それが、あと、一か月で消えようとしている。

 そう、リワードの有効期限が迫っているのだ。

 カクヨム読者とのささやかな思い出。

 このトイレットペーパーと同じく、糞ずまった俺を助けてくれた、数少ない読者の方々との絆。

 それが、消えるのである……

 まるで、トイレに吸い込まれてスポッと消えるかの如く。

 つまらない……

 

 これこそ、本当のいじめではないんですかね……


 あっ……寿限無忘れた……ま、いいかぁ!


 

 

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