第2話

俺が上野美咲にふられたその日の帰り道、不思議な猫に絡まれた。

右目が金色、左目がルビーの様な青。

茶トラで、キツネみたいに痩せてる。

前足の背中が天使の羽みたいにモッコリしてる。

「ニッ〜!」とかすれた声を出しながら俺のスネ辺りに擦り寄ってくる。

なんだ?

慰めてくれるのか?

俺はショックで残した弁当の唐揚げとウインナーを足下に置いた。

猫はあっという間にたいらげた。

なんとなく愛おしくなって猫に自己紹介してしまった。

「俺は大谷未来(ミライ)高一で・・・」

「今日、彼女にふられて帰って来たんだ!」

・・・猫に自己紹介してもしょうがないな?

なんて思ってたら・・・

猫が肩に乗ってきて・・・

俺の涙の跡を舐め始めた。

そして、金色の右目をウィンクした!?


「大谷君、待ってたのに先に行っちゃうんだから!」


突然うしろから声をかけられた。

えっ?上野美咲さん?


「私達付き合うって言ったよね?」


「エッ?いや、聞いてないけど・・・」


「あれ?言ってなかったかな?」

「ゴメンね!エヘ!」


あまりにも可愛くて倒れそうだった。


「キツい事、書いてゴメンね。」

「大谷君は優しい人だね。」

「猫ですら懐いて肩に乗ってたし・・・」


帰り道が夢の様な時間になった。

・・・・あれ?さっきまで居た猫は?

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