第11話 MSOにて
「つかぬことをお聞きしますが、名前は
すると・・・
「えっ!?なんで知ってるんですか?」
その言葉で確信した。BLUEというプレイヤーは幼馴染の篠崎碧なのだと。
「やっぱり
「え!?傑?」
画面越しでも動揺していることがわかる。
そうだろう。俺も動揺している。まさかBLUEが碧だったとは思わなかった。お互い様だ。
「まさか碧もこのゲームをしているとは思わなかったよ。」
「わ、私もよ。なんで傑はこのゲームを始めたの?」
理由は前も話したと思うが、俺は中学生のとき怪我で野球をやめた。
いや、やめざるを得なかったというのが正しいか。
そして中学生の頃、暇をしていたところをチームメイトに教えてもらったのだ。
暇を埋めるために始めたのがこのMSOだ。
このMSO(通称:マスタリー・センス・オンライン)はプレイヤー数が世界に4000万人もいるとても有名なゲームだ。
そして、このゲームは暇つぶしにやってみたのだがとても面白かったので今も続けている。
碧にそのことを伝える。
「そうだったのね。傑が野球をやめたのは野球部の練習に出てないから知ってたけど、そんな理由だったのね。」
「ああ。そういう碧はなんでこのゲームを始めたんだ?」
私は転校してからも野球をしていたが、途中でやめてしまった。理由は単に野球が楽しくなくなったからだ。
傑と離れてからの野球は張り合いがないというかライバルという相手が見つからなかった。
だから今は体を動かしたいときはバッティングセンターにかよっている。
そして、ゲームを始めたのは野球をやめて暇を持て余していた時に中学の時の友達に教えてもらった。
そのことを傑に伝える。
「そうなんだ。野球をやめたのは俺と一緒だな。」
「うん。でもゲームが楽しいからいいの。」
「そっか、って話している間に三十分もたってるじゃないか。」
そう、話している間に三十分も経過していた。
今日はポイント二倍イベントがある。それがもうすぐ始まるのだ。
「これからポイント二倍イベントがあるけど一緒に行こうよ。」
「そうだな。でもなんで今になってパーティ組もうと思ったんだ?」
素直に思った疑問だった。
碧はソロプレイヤーで一位なので、パーティをわざわざ組む必要はないのだ。
「そ、それはソロじゃプレイできないクエストがあるからよ。傑も知ってるんじゃないの?」
「そっか、そうだったな。でもなんで俺なんだ?」
「そんなの決まってるじゃない。強いプレイヤーのほうが効率がいいし、傑がソロプレイヤーだからちょうどいいなと思ったのよ。」
やはり、碧も同じなのか。俺も効率優先だが、二位とパーティを組む必要性がわからない。
このゲームは討伐の際、ポイントは公平に分配されるものではない。その討伐への貢献度でポイントが決まる。
また、最終攻撃者により多くのポイントが付くようになっている。
そのため横からポイントをかっさらわれる可能性があるのだ。
だからこそ、普通は抜かされそうな順位の人とは組まないのが鉄則なのだ。つまり、碧は俺に抜かされるわけがないと思っているということになる。
「つまり、横からポイントをかっさらわれても問題ないということだな。」
「うん。相手にポイントを取らせなければいいだけの話でしょ。」
「そうだな。それじゃあやるか。」
―――二時間後
「終わったぁ。今回は俺の勝ちかもな。」
「不覚。。傑にポイントをかっさらわれるなんて。」
そう、今回のポイント二倍イベントで最終攻撃を行いポイントをかっさらったのだ。
そのため碧を抜き現在は俺が一位になっている。
夢にまで見た一位だ。
「やっぱり、強いほうが効率が良いな。」
「そうね。そこは否定しないわ。」
「今日はこれで終わるか。」
「次は負けないから!」
(次もやるのか。相当悔しかったんだろうな。)
その後、二人ともログアウトし、MSOを閉じて、パソコンの電源を落とす。
そして座ったまま体を伸ばす。三時間で相当疲れていたようだ。体をよく伸びているのがわかる。
「今日は、疲れたな。このままいけば一位でイベントを終われる。だから頑張らないとな。」
そして、布団に入る。
「今日は、いい一日だったな。まあ寝不足だったのは最悪だったが。明日も頑張らないとな。」
そんなことを考えながら目を閉じる。
今日はいい夢が見られそうだ。
―――そして、一日が終わる。
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