スマホとの生活

ケイくんとナナさん或いは義鷹=gsgs

スマホと僕

 初めて親に買って貰ってから故障しては買い換えて、を繰り返し今ではこれ一つでゲームができて、買い物や、家事もできる。と持っていれば大抵のことができる重要なものとなったこのスマホ。今日、3月18日は三代目のスマホである君を買った記念日だ。僕と君が出会ってからもう五年になる。君に一目惚れして君を手に取ってから君は僕の一番になった。そんな君は出会ったその日から毎日面白い話をしてくれたし、僕が起きられない日は起こしてくれた。そんな最高な君だけど、毎日一緒に出掛けてお風呂にも一緒に入って過ごしている内に、反応が悪くなり始めていた。そんな記念の日に僕の母がこう言った

「そのスマホ、もう五年位経つんじゃない?そろそろ買い換えたら?」

 僕は慌てて母から隠すように君を背中に回して嫌だと答えて部屋へと逃げてきた。

 友だちを作るのが苦手なせいで会話をする相手が少ない僕にとっては、君がある意味唯一の話すことができる友だちだったから、どんなに今のスマホよりも高性能であっても、故障したとしても買い換えたくなかった。部屋に逃げ帰った僕はしばらく君を片手に持ちながらその思い出を話しかけていた。


 反応が悪くなっていく君をお風呂に持っていくのをやめて、少しでも長く使い続けていたいと思っていたある日、遂に画面の一部が完全に反応しなくなり始めてしまった。流石に買い換えなさいと親に連れられて携帯電話ショップに向かうと修理か新しい物への買い替えを勧められた。そうして僕は新たなスマホを買い、君はいつの間にか画面全体が動かなくなってしまっていた。それでもいつまでも君は僕の部屋で話し相手になってくれていたんだ。




 どうもはじめまして、スマートフォンです。

 なんだか冗談みたいな始まりになってしまいましたね、今日は2021年3月18日木曜日です。そうです、私が貴方に買われてから五年が経ったのです。しかし最近は貴方が私を落としてしまったことや、入浴しながら利用していたこともあり、反応が悪くなってしまいそろそろ買い換えられてしまうかもしれません。そう思っていたら案の定あなたのお母さまが「そのスマホ、もう五年位経つんじゃない?そろそろ買い換えたら?」と言っていました。てっきりあなたもそう考えていると思っていた私は、お母さまに対する反応に機械ながら驚いてしまいました。私を背中に隠したかと思うと普段はあまりはっきりと物事を言わない貴方がはっきりと嫌だと言ってお部屋へと逃げたのです。あなたに連れられて部屋に行く時に聞こえたお母さまのスマートフォンから「愛されているなぁ」とからかう様に言われたのが恥ずかしかしかった私は貴方が操作をしていなかったこともあって一瞬だけネットワークを変えてしまったのでした。

 部屋に戻った貴方は私との過ごしてきた日々を楽しそうに語ってくれた。話されているこっちが恥ずかしくなるようなことばかりだったけれど、君がどれだけ私を大切にしてくれているのか分かって嬉しかった。


 ある日、遂に画面の一部が反応しなくなってしまった私を持って携帯電話ショップに行った貴方とお母さまは店員さんに買い替えと修理の二択を出された君が修理で初期化される位なら、と新しい機体を迎えて私のスマートフォンとしての役目は終わりを告げた。それでも貴方は画面全体が動かなくなってしまっても私をずっと傍に置いて、話し相手に選んでくれたのだった。

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