第60話 中学生小説について

 中学生のときに書いた小説を読み返しています。

 私はソフトテニス部に所属して真面目に練習していたし、勉強もきちんとやっていたのですが、いつのまにこんなに書いたのだろう、と驚くぐらいたくさんの短編小説が残っていました。軽く50作を超えます。

 その大半は読むに堪えないものですが、中には興味を惹くものがありました。少し推敲すれば、読めそうです。そんな少しはマシな小説に手を入れて、発表しています。

 それが令和3年9月、10月の私の文芸活動です。

 いまと中学時代とでは、小説のスタイルが異なっています。

 いまでは核心から書きますが、当時は周辺から書いていました。

 いまでは必要最小限のことしか書きませんが、当時は余分なことも書いていました。装飾語も多いです。

 いまでは失ってしまったみずみずしい感性をまだ持っていました。

 たとえば「音の消えた時」という小説では、宇宙からの攻撃で、すべての人間が聴覚を失ってしまいます。

 いまなら「宇宙からの攻撃で、人類は音を失った」と書き出します。

 中学生のときに書いた原稿では「夜、僕は読んでいた本をとじ電灯を消す」と書き出していました。音や聴覚については何も触れていません。主人公は本を読んでいて、音楽すら聴いていません。

 どちらが優れているというものではないでしょう。周辺から書いた方が味わい深い小説になるかもしれません。スピード感がないので、スマホ小説には向いていないと思いますが。

 私は「音の消えた時」に手を入れ、いまと中学時代の中間的な書き出しにあらためました。近いうちに発表する予定です。

 なお、令和3年10月7日現在、7作の中学生小説の推敲を終えました。その内訳は、宇宙テーマ3作、時間テーマ2作、妖精もの1作、記憶喪失もの1作です。

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