女神様と一応女神様が降臨!
教会の扉をコンコンッ⁉︎ と叩いたら、中にいたお年寄りの男性が少し開いて顔を覗かせた。
格好からして牧師さんかな?
「こんにちわ」
「こ、こんにちわ」
「お祈りでしょうか?」
「えっとぉ〜……そんなところです」
「キャンッ⁉︎」
ルル……「女神様に会いに来た」なんて言ったら、怪しまれるだろう。
まぁルルは狼だから、この人に伝わらないだろうけど。
「そうですか。わざわざお越しくださり、ありがとうございます。私がお祈りをする場所へご案内致します」
「ありがとうございます。…あ、でもぉ〜……」
ルル達の方に顔を向けると、牧師さんが言いたいことを察したのかニッコリ笑顔で答える。
「従魔達も入れるので、ご心配入りませんよ」
「よかったぁ〜」
ブンゼの件でルル達が希少性を認知してたから、目を離している隙に奪われるんじゃないか? 何てことも頭を過ぎったりもしてる。
「行こうか、みんな」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
「ハ〜イ!」と返事をするルル達と共に教会へと入った。
教会の中はやっぱりゲーム世界と同じような感じの作りで、女神の像が並んでいる前で2人のシスターが両手を組んで祈りのポーズをとっている。
多分あれが日課なんだろうな。
「あちらが女神様達の像になります。お祈りをする際は彼女達のように手を組み祈りを捧げて下さい」
「わかりました」
まぁ曲がりなりにも使徒のようなものだし、やっておこうか。
俺はそう思いながら女神像の前に行き、祈りを捧げる。
サクラ様の言う通り教会にやって来ました。手紙の内容の詳細をお教えして頂けないでしょうか?
「カイリさん! どうして私に頼らないんですかああああああああああああっ‼︎⁉︎」
…………何か聞こえて来た気がするけど。
「…うん、気のせいだろう。俺の祈りが足りなかったんだきっと……うん!」
「カイリさんの為に私目の前に来ましたよ! 無視しないで下さい‼︎」
……おや? 身体がグワングワン揺れているような気がする。地震でも起きているのだろうか?
「私がカイリさんの身体を揺らしているだけですよぉ! 無視しないで下さい! あのときのことは謝りますからぁ‼︎」
「サクラ様、目の前にいる人を天界に帰す方法をお教え頂けないでしょうか?」
「私が邪魔って言いたいんですか‼︎」
「うん、邪魔」
「そこは即答するところ! あとカイリさん酷い‼︎」
「酷くはないと思うが? てかお前ここに何しにここに来たんだよ」
「実はですね。カイリさんの従魔についてお話しをしようと思いまして……」
「ああ〜……それならサクラ様から話を聞くから、話さなくていいや」
「うわああああああああああああんっ!⁉︎ カイリさんが私に冷たいよおおおおおお‼︎」
エイリィンがその場に座り込んで泣いてしまった。
「エイリィン……泣いているだけじゃ人は強くなれないんだぞ。どっかの歌手で、涙を流した分だけ強くなれるよ。って歌ってたし」
「カイリさんのせいで泣いているんですよおおおおおおっ‼︎⁉︎」
あ〜…ホントめんどくさい子。
「カイリ、その辺にしておくんじゃ」
おっ⁉︎ この声は!
「サクラ様、お久しぶりです!」
「うむ、久しぶりじゃな」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
プル太郎とファニーちゃんが、「この人達が女神様なの?」と言いたそうにしている。
「そうだよ。和服を着たこの人が恩人のサクラ様で、こっちで泣いているツルペタがエイリィンだ」
「私を呼び捨て! 私女神様ですよ‼︎」
「とんでもねぇ、わたしゃ神様だよ。って言った人をテレビのコントで観たことがあるけど」
「コントじゃなく本当の女神様ですよ!」
はいはい。もうイジったりしないからさ、そんな涙目で訴え掛けてくんなよ。
「あ、ああ……エイリィン様が我々の目の前に現れて下さいました!」
「奇跡です……ああ、エイリィン様ぁああああああああああああ!」
シスター達はそう言ってエイリィンの周りに集まると拝み始めた。
「……お前って、慕われていたんだな」
「信者に慕われない女神が何処にいるんですかぁ⁉︎」
「探せばいるさ」
俺とエイリィンがそんなやり取りをしていると、牧師さんがサクラ様に近付く。
「あの……貴女様は?」
「妾のことか?」
「はい。神々しさからして神様なのは理解出来ますが、何ぶん私の勉強不足の為、貴女様の名前が浮かんで来ないんです」
「知らなくて当然じゃ。妾はこの世界とは別の世界の神様じゃよ」
「この世界とは別の世界……他世界の女神様が降臨なされたってことですかぁ⁉︎」
「そうじゃ。理解が早くて助かるのぉ。因みに目の前にいるカイリが、妾の世界の人間じゃった」
「何とまことですか⁉︎」
「ああ…女神に仕えてよかったぁ……」
「女神様のお姿が見れたら、もう…死んでもいいです」
彼らはそう言うと祈りのポーズを取った。
イヤイヤイヤイヤ……ちょっとちょっとぉ⁉︎
「サクラ様!」
「何じゃカイリ?」
「俺が転生者って言うことをバラしていいんですか⁉︎」
「此奴らは熱心な信者じゃから安心せい。おい、お主達」
「はい、何でしょうか?」
嬉し涙を流しながら言う姿に、ちょっと引いてしまう自分がいた。
「ここで妾達が会ったことと、カイリが転生者なのは秘密にするのじゃよ」
「はい! このことは死ぬまで黙っていることに致します!」
「私も!」
「私もです!」
「はい! 私も女神様に誓ってお約束致します!」
みんな信仰心があるなぁ〜……。
そんなことを思っていたら、服を引っ張られた。
「ん? …どうしたのファニーちゃん?」
「〜〜〜♪」
あの人誰? あの人って……あれ⁉︎
「知らない間に1人増えてない⁉︎」
エメラルド色の髪色の女性が、ルルとプル太郎を抱いてヨシヨシしている!
「あらぁ〜……初めましてカイリさん。私、大地を司る女神アンロネーゼですぅ。以後お見知り置きを」
「はぁ……ご丁寧にどうも。あの、質問よろしいでしょうか?」
「はいぃ…。何でしょうかぁ?」
「いつからそこにいたのですか?」
「う〜んとぉ……カイリさんがエイリィンさんを泣かしているときに来ましたぁ」
ああ…その時からルルとプル太郎と一緒に遊んでいたのか。
「ア、アンロネーゼさん⁉︎ いつからそこに?」
「お話しが進んでないように見えたのでぇ、私が行って説明をすることにしましたぁ」
ああ〜…そう言えばルル達の進化について、何も説明を受けてないかったな。
「話からして察していると思いますがぁ。この子達はある程度レベルが上がると、進化できるようになるのですよぉ。ルルちゃんの場合は…意外と早くあと2レベル上がれば進化出来そうです」
「マジですか⁉︎」
「ホントですよぉ。ただし、一度進化してしまいますと元に戻すことが出来ないので注意して下さいねぇ」
「そうなんですか?」
「はい。従魔は進化が枝分かれしている場合が多いので、ルルちゃんがどのような進化をして行きたいのか、相談しながら選んで下さい」
エイリィン…お前サラッと話に入って来たな。
「ゲームをやったことがあるお主ならわかっていると思うが、従魔が進化すれば強くなる」
まぁそれは当たり前のことだよな。
「ただし! 進化先によってはステータスが大きく変動してステータスの成長の仕方も変わるから、その都度ステータスを確認した方がよいぞ!」
「進化先によってはぁ、もう進化出来なくなるのもあるので注意して下さいねぇ。もちろんそのときは進化先があるのかどうか記載しますよ」
「ああ〜、それは便利だなぁ……ところで」
俺はエイリィンの方に顔を向ける。
「涙で酷いことになってるぞ。ほら、ポーションを飲んで治せ」
飲んで治るかどうかわからないけど。
「カイリさんのせいでこうなったんじゃないですかぁ⁉︎」
その後、何故かエイリィンに理不尽に怒られた。
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