エイリィンからの呼び出し
チェシーさんが用意してくれた夕食を食べた後、俺はルル達と共に部屋へと戻った。
「……〜〜〜♪」
ファニーちゃんが「キバネズミばっかり討伐してるから、つまらない」と言いたそうにしている。
「やっぱそうだよなぁ〜……みんなレベルが上がってるから、もの足んないよなぁ〜……」
この間のビッグゴーレム討伐でかなりレベルが上がったから、そこら辺にいるキバネズミが雑魚狩りみたくなってしまっている。
プルンッ⁉︎
今度はプル太郎が「明後日ダンジョンに行くから、いいんじゃないの?」みたいなことをファニーちゃんに言う。
「〜〜〜♪」
ファニーちゃんは「そうだった!」と言いたそうなことを言いながら、空中でクルリと一回転した。
ファニーちゃんもレベルアップしてるから、空中で一回転も出来るようになった。……と言うよりも怖くてやらなかったのかもしれない。
「キャンッ⁉︎」
ルルが「明後日が楽しみだね!」と言いたそうに鳴いた。
「そうだね……ん?」
頭の中で「手紙アイテムボックスに入れたぞ」と聞こえて来た。
「もしかして、サクラ様が手紙を書いてくれたのか?」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達が「え?」と言いたそうなことをいうと、お互いの顔を見合わせている。ルル達がそんなことをしている中、俺はアイテムボックスを開く。
紙だから多分ここに……あった! サクラ様の手紙!
アイテムボックスからサクラ様からの手紙を取り出すと、宛先を確認する。もう1通あった気がするけど……うん、読む意味がないから
無視しよう。
そんなことを思ったら「酷いですよおおおおおおおおおおおおッ‼︎⁉︎」と言う声が聞こえた……ような気がする。
「さーて、サクラ様の手紙を確認しないと」
どっかの誰かさんが「私のも読んで下さいよ! ねぇ聞いてますかぁ? カイリさん⁉︎」とか聞こえてくるけど……やっぱり無視しようか。
そんなことを思いながら手紙を開くと、ルル達が俺の周りに集まって来た。
「みんな手紙の内容が気になるのか?」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達が「うん!」と言いたそうな声を出した。
「じゃあ、読んであげるよ。え〜と…こう手紙を書くのも久しぶりじゃなカイリ。この間のビッグゴーレムは大変じゃったな。お主や従魔達も強くなったじゃろう。
レベルが上がったから、そろそろ従魔達を進化させられるようになるじゃろう……進化?」
ルルが進化する?
「なぁみんな、進化出来る?」
「キャンッ?」
……プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪ ……?」
みんな首を捻ったり唸って悩んだりしているから、わからないっぽい感じだな。
「出来ないんならそれでいいよ」
進化したらそれはそれで嬉しいことだけど、この狭い部屋の中で進化して大きくなってしまったらと考えると、色々と大変なことになりそうだから。
「ファニーちゃんは進化しても大きくなりそうにないから大丈夫。だけどルルとプル太郎は大きくなる気がする。部屋を壊したら最悪な事態になるしなぁ〜」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
ルルとプル太郎が「ああ〜……」と納得した様子を見せる。
「とりあえずルル達の進化に付いては、出来ないんだし保留と言うことにしておこう」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達も「そうだね!」と言いたそうな声を出した。
「さてと、MPもある程度回復したから、弾造りをしておこうかな。サクラ様、手紙ありがとうございました」
……と言って作業に取り掛かったら、「私の手紙も読んで下さいよおおおおおおおおおおおおっ!⁉︎ うわああああああああああああああああああんっ‼︎⁉︎」と泣き声が聴こえて来たような気がする。
「あ〜……仕方ない。エイリィンの手紙読んでやるか」
「ホントですか、やったぁ⁉︎」と言う声を無視しながら、エイリィンが書いたと思わしき手紙を広げる。
「キャンッ?」
ルルが「何て書いてあるの?」と言いたそうな鳴き声を上げたので、手紙を見せながらこう言った。
「明日教会に来て下さい」
それだけ。本当にその一文だけしか書いてない。
「〜〜〜♪」
今度はファニーちゃんが「ええ〜……」と戸惑いの声を上げた。
「来て下さい。かぁ。……断る!」
そう言ったら、「ええええええええええええっ!⁉︎」と叫び声が聞こえて来た。
いやだってさぁ、俺にとって教会に行くメリットが1つもないし、何よりもあんだけ読んで欲しいって言っておいて、この一文だけしか書いてないのってイラッて感じない?
「明日は道具を揃えに行こうねぇ〜」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達も「はぁ〜い!」と元気に返事をしてくれた。ホントこの子達はいい子だよ。
そしてエイリィン、お前は泣くな! 錬成に集中出来ないだろ‼︎
そんなことを思いながら弾を作っていると、また「手紙読んで欲くれ」と言う言葉が聞こえて来た。
「……またサクラ様からかな?」
そんなことを思いながらアイテムボックスから手紙を取り出して確認してみると、案の定サクラ様からの手紙だった。
「今度は何だろう?」
そう思いながら封を開けて内容を確認する。
「えっと……妾も教会でお主と会うから、明日来て欲しい。だって」
もしかしてエイリィンに何かされた? そうだったら俺許さないんだけど。
そう思ったら「何もしてませんよ! カイリさんが酷いだけですぅ‼︎」と聞こえたような気がした。
「サクラ様と会えるのなら明日教会に行こう。楽しみだね、みんな」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達も「そうだね!」と言いたそうな感じの返答をしてくれる。
「〜〜〜♪」
「え? エイリィンの方はどうなの? だって。俺からしてみれば、居てもいなくても同じだから気にしない」
そう言ったら「カイリさんが酷いことを言いますううううううっ⁉︎」と言う声が……いい加減音量OFFにしろや。
「じゃあ明日に備えて今日はもう寝ようか」
話している間にも弾は完成させたし、強化弾とか作るのは明日でいっか。
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「〜〜〜♪」
ルル達は「はぁ〜い!」と返事をすると、ルルとプル太郎がベッドの上に来て、ファニーちゃんが宙に浮いた状態で目を閉じた。
「おやすみ、みんな」
ルル達にそう言うと、明かりを消してルルと抱き枕代わりに眠りついた。
そして次の日の朝。身支度を整えた俺達はダンジョンへ行く準備と、教会でサクラ様と次いでのエイリィンに会う為に宿を出た。
「行ってきます!」
「ん……」
まぁユーダさんは相変わらずの対応だな。それはそうと、確か教会は冒険者ギルドの先だったな。
「プル太郎みたく、おんぶして欲しい?」
「キャンッ⁉︎」
ルルに聞いてみたら「自分で歩く!」と言われてしまった。
うん、気づかいが出来るいい子だよホント。
そんなことを思いながら、教会目指して歩き出した。
「……案外わかりやすい外見をしているなぁ」
教会に着いて第一声がこれ。だって仕方ないじゃないか! 教会がファンタジーゲームとかに出て来るような外装しているんだから。
……しかしあれだな。参拝に来ている人がいないような気がするけど、もしかして今日は休みの日なのか?
「ここにいてもわからないし、行って聞いてみるしかないよな」
休日だったら、「教会が休日なのに呼び出しやがって!」とか言ってエイリィンを怒ってやろうじゃないか!
そんなことを思いながら教会のドアに向かっている最中に「今日は営業中ですよぉっ⁉︎」って声が聞こえて来た。
……いやお前、教会はお店じゃないんだから、営業中って言い方おかしいと思わないか?
そんなことを思いながら教会の扉を叩いた。
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