次の獲物を探しに行くのだけれども……
ウルフ2匹と戦って勝ったのまではいいが、サシャさん達に俺の武器について正座状態で根掘り葉掘り聞かれた。
「……つまり、その装飾化武装はこの弾ってのを、矢みたいに飛ばしているのね?」
「はい、仰る通りです」
「その弾もカイリ様の【錬成】で作れるのですね」
「あ…………はい、その通りです」
この際そういうことにしておこう。
「……嘘を仰いましたね?」
何でバレたッ⁉︎
「う、嘘は言ってませんよ! 嘘は‼︎」
「カイリ様は気付いていらっしゃないようですが、カイリ様が嘘を言う時は右頬を人差し指で掻きながら話してますよ。
現に今の発言も人差し指で頬を掻きながから話していましたし」
「えっ⁉︎」
俺そんなことをしていたの? ……いや待てよ! 父さんや母さんが俺が嘘を吐いた時に、すぐに見抜いたのはこの癖のせいなのか?
「……まぁいいでしょう。今はカイリ様のレベル上げをしなくてはならないので、詳しい話は後で聞くことにしましょう」
「そうね。カイリ、私の後に付いて来て」
「あ、はい!」
何があってもいいように、空になった薬莢を取り替えながらサニーさんの後に付いて行く。
「……サニーさん」
「ん? どうしたのカイリ?」
「あそこに三日月草がたくさん生えているんですけど、摘んで行きますか?」
「えっ⁉︎ 本当?」
そう言ってサニーさんは俺が指をさした方向に顔を向けると、驚いた顔になる。
「凄いわカイリ! ダンジョンに自生している材料をみつけちゃうなんて!」
「え? それって凄いこと何ですか?」
「ええ! 誰かに取られる前に摘んじゃいましょうっ‼︎」
サニーさんはそう言うと三日月草まで駆け寄っていく。
ああ、説明して欲しかったんだけど……まぁいいや。サニーさんの代わりに教えて、チュートリアルさん!
説明
錬金術に使用する薬草類はダンジョンにも自生しています。そして野外と比べてダンジョンの方が質がいいので、大半の錬金術師と薬師はダンジョン産のものを好んで使います。
追申。
ダンジョンによって薬草類が生えるエリアと生えないエリアがあるので、注意して下さい。
質の問題なのか。てかダンジョンによってと言うことは、ここのような草原みたいなエリアや森のようなフィールドにだけ生えるのか?
「カイリ様。サニー様の代わりに私が説明致します。ダンジョンに自生している薬草や三日月草の方が質がいいので、薬師や錬金術師はそちらを好んで使います」
あ……それもうチュートリアルに聞いた。
「それに、ダンジョンに自生している薬草などの方が高値で取引きされているので、なるべく持ち帰るようにして下さい」
高値? じゃあ俺がキバネズミの討伐次いでに摘んだ薬草よりも、ここで摘んだ薬草の方が高いのか?
「金額どれぐらい差があるんですか?」
「えっとぉ……詳しくは分からないのですが。薬草の場合は50レザほど上乗せしてくれます」
50レザ…………ん? ちょっと待てよ。
「俺がこの間キバネズミを討伐しに行った時に、薬草は5枚で500レザって言われましたよ」
「それは、冒険者ギルドでは薬草の質を気にしていないからよ」
「質を気に……って、サニーさん三日月草を摘み終わったんですか?」
「ええ。それでさっきの話の続きなのだけれども、私達は薬を作るからこういった材料に関して品質を気に掛けるけど、冒険者ギルドでは魔物討伐がメインだから皮や骨や鱗とか魔物から取れる素材の品質を気にするのよ」
ああ、なるほど……要は薬草類を主力で扱っているか、魔物から取れる素材を主力に扱っているかで気に掛けている部分が違うってことね。
「だから冒険者ギルドで薬草が5枚で500レザで買い取る理由は、とりあえず数だけ集めて私や商業ギルドに渡せば、品質の仕分けしてくれるんじゃないの? って考えなのよ」
本当に他人任せ状態だった。でも今の話を聞いて気になるところが出て来たぞ。
「じゃあ、昨日俺が街の近くで摘んで冒険者ギルドに持って行った薬草って……もしかして品質が悪かった?」
RPGの生産系ゲームならでは定番。最初の村や街の近くで取れるアイテムの品質は低く、ストーリーを進めるごとに品質や希少な物が手に入りやすくなる。
「あの街の近く? ……それなら普通に使えるぐらいの品質だから気にしなくてもいいわよ」
「あ、それならよかった」
品質が悪いものを渡したとなると、ちょっと罪悪感を感じてしまうし。
「まぁ……使えないほどの品質となると葉っぱに虫食い穴があったり、一部が枯れたりしたのとかだから」
「ああ〜、そういうのに気を付ければいいんだね」
今度から注意して見ておこう。
「キャンッ⁉︎ キャンッ⁉︎」
「どうしたんだ、ルル?」
ルルが何かに威嚇するように吠えている。しかもプル太郎もルルと同じような感じに緊張感が伝わって来る。
「もしかして、向こうに強い魔物がいるのか?」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
ルルとプル太郎は「うんっ‼︎」と言いたそうな返事をした。
「……サニーさん、サシャさん。ルルが向いている方向に強い魔物がいるみたいです」
「……どうします、サニーさん」
「一応どんな魔物なのか確認したいから、行って見てみましょう。もちろん私達だけで勝てる相手だったら戦うわ」
「分かりました。では私が先行するので後に付いて来て下さい」
「分かったわ」
「りょ、了解です!」
サシャさん先導の元、ルルが吠えていた方向へ進んで行く。因みにサニーさんは俺を何時でも守れるようにしているのか、俺の隣りで歩いている。
一体どんな魔物がいるんだ?
マジックリボルバーを握り締めながらサシャさんに付いて行ってるが、その魔物が出て来る様子が全くない。
…………う〜ん、何処にもいない。
「ルル、本当にこっちの方向にいるのか?」
「キャンッ⁉︎」
「いるよっ‼︎」と抗議するような吠え方をした直後、耳をピーンと立てて真っ直ぐ前を向いた。
「え? もしかして近くに……ってぇ⁉︎ ルル、ちょっと待てっ‼︎」
俺の言葉を無視して走り出してしまった。
「追い掛けるわよ!」
「あ、はい!」
サニーさんに返事をした後、遠くに見えるルルの後を追い掛けて行くと1本の木が見えて来て、ルルがその根本へと行くと何かし始めた。
「もしかして、あそこにその敵が?」
「みたいね。2人共、武器を用意して何時でも応戦出来るようにしといて!」
サニーさんの指示通り走りながらマジック・マグナムを取り出すのだが、ルルが頭を上げてこっちに向かって来る。
「ル、ルルぅ⁉︎」
アイツ一体何を……って、ん? 何か咥えてないか?
サニーさん達も俺と同じことを思っているのか、足を止めてキョトンとした顔でルルを見つめている。
そんな様子を気にしていないルルは笑顔で俺達の元にやって来ると、自慢げに咥えているものを見せて来たので、手を差し伸べて置いて貰う。
「これは……人?」
……いや、背中に蝶のような羽があるから、妖精って言った方が合っているかもしれない。念の為に鑑定しておこう。
ーーーーーーーーーー
テイム不可状態
ステータス
名前 ファニー
種族 フェアリー
性別 女
年齢 2歳
職業
Lv13 ※妖精なので職業は有りません。
基本能力
HP 17
MP 26
攻撃力 12
防御力 10
素早さ 17
器用性 23
魔法攻撃力 20
魔法防御力 18
運 30
取得スキル
風魔法LV4
植物魔法LV6
幻術LV2
魔力回復LV3
気配探知LV4
潜伏LV3
逃げ足LV4
採取LV5
称号
悪意を感知する者
植物と共に生きる者
ーーーーーーーーーー
「やっぱり妖精だった!」
「見れば分かるわよ」
あ、サニーさんにツッコミを入れられた。そんなことよりも!
「プル太郎、彼女の身体を拭いてあげて」
プルンッ!
プル太郎は「分かった!」と言いたそうに震えると、ルルの涎まみれになっているフェアリーの身体を触手で拭き取ってくれた。
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