就寝前の一仕事! それと女神様ゴメンなさいっ‼︎

「もう、疲れたぁ〜!」


そう言いながら、ベッドに倒れ込んでしまう。何でこうなっているって?

お風呂で身体の隅々まで洗われた後は、洋服に着替えさせられたんだけど、あのメイド達は身体の色んな個所を触って来た。これが男だったら、 「痴漢ッ‼︎」 って言ってたもしれない。

そして、バルグ達と共に夕食を食べたのはいいがぁ〜……西洋式の貴族みたいな食卓だったから、あんまり食べられなかったし、色々と質問攻めをされて夜になってしまった。


「キャンッ! キャンッ!」


ルルが俺に甘えたそうにしていたので、ベッドに持ち上げてあげた。


「人ん家のベッドだから、爪を立てないような。分かっていると思うけど、粗相もダメだからな」


「キャンッ!」


はぁ〜いっ! と言いたそうな鳴き声を出し、はしゃいでいるルルを放って俺はベッドの上で仰向けになる。


森で歩いていた時に、拾ったアイテムの確認でもしようかなぁ?


アイテムボックスを開くと、先ほどまではしゃいでいたルルも興味ありそうな顔でスクリーンの方に顔を向ける……って、ん?


「ルル。もしかして、これ見えてる?」


「キャンッ!」


見えてるよ! と言いたそうな鳴き方をした気がする。


「ルルに見えてるって事は、他の人にも見られるかもしれないって事だよなぁ。今後は注意をした方がいいかもな……ん?」


アイテム一覧の中に手紙があったので、首を捻ってしまう。


手紙? 川を出る前はこんなの入ってなかったよなぁ。移動している時に、薬草と一緒に拾ったか?


手紙が気になったので、取り出して確認して見る。


「普通の便箋だ……ん? 差出人がサクラ様?」


どうしてサクラ様からの手紙が、俺のアイテムボックスに入っているんだ?


封を開き、手紙を内容を確認する。


「えっとぉ……馬鹿者! ステータスを見せる時は、自分の名前と年齢と種族に性別。それに職業。それだけでよかったんじゃ! って、え? ステータスの表示って、自分で指定出来るの?」


教えて、チュートリアルさん!


説明。

結論から説明しますと可能です。

ステータス表示を他人に見せる時に、指定したものだけ表示をすることが可能です。一般的には、名前、年齢、種族、性別、職業を見せます。それ以外の能力値や称号は、住民票や各ギルドの入会の時に提示、又は相手が望んだ時に提示します。しかし、後者の方は義務がないので、拒否が可能です。


へぇ〜、そうなんだぁ〜。


「キャンッ!」


「おっと、そうだ。続きを読まないと……今回は我の方で称号だけは見えないようにしておいた。もし、称号を見られていたら、お主はとんでもない事になっておったぞ! 分かっておるのか? 反省をしろぉっ‼︎」


うん。本当にそうかもね。


「ゴメンなさい。サクラ様。えっとぉ……それと、マジック・マグナムの中に入っている弾なんじゃが、使わない時は抜いておけ。空薬莢の方はアイテムボックス内から捨てる事が出来る。それを活用して捨てるんじゃ。いいな? だって。早速やってみようか」


「キャンッ!」


え? まだ続き……あっ⁉︎ 本当だ! 続きがあった!


「それと、手紙の他に水が入った瓶を入れておいたから、森で摘んだ薬草を使ってポーションを作ってみるんじゃな……水?」


そういえば、瓶のマークがあったな。


「誰も見てないから、今ここで作ってみようか?」


「キャンッ!」


そうだね! と言いたそうな鳴き声を上げたので、早速準備に取り掛かる。無論、指輪にしていたマジック・マグナムの中に入っている弾を抜き取る事も忘れない。


「水と薬草。これを……どうすればいいんだ?」


教えてチュートリアル先生!


説明

錬成に使うアイテムを近付けて、手をかざしてから錬成と唱えればポーションの製作が可能です。ただし、一回の使用ごとに魔力を消費するので、残りの魔力量を考えて使用した方がいいです。


ふむふむ。手をかざして、錬成ね。


「錬成!」


そう言った瞬間、目の前に置いてあるアイテムが光り出したので、眩しさに目を瞑ってしまった。


「……終わった?」


恐る恐る目を見開いて見てみると、緑色の液体が入った瓶があった。


「これが、ポーション?」


念の為に、鑑定スキルを使って見てみる。


ーーーーーーーーーー


ポーション

飲む、もしくは傷口などに掛けると体力を回復する薬。


ーーーーーーーーーー


「やった! 錬成大成功!」


「キャンッ!」


ルルも俺と同じく、喜びの声を上げてベッドの上でピョンピョン飛び回っている。

ところで、このポーションは、どれぐらい回復するんだ? 教えて、チュートリアル!


説明

手持ちのポーションではステータスHP表示の30%ほど回復します。補足説明として、ハイポーションになると回復が50%に増え、メガポーションは70%ほどに回復します。


「メガ70%……完全回復する薬は何? チュートリアル?」


説明。

エリクサー。世界樹の秘薬。又は古龍の血などです。


最早伝説級のアイテムじゃないか、それ。


「レベル自体もそうだけど、材料もそれなりにいいのを使いそうだから、今の俺には作れそうにないなぁ〜」


そう言いながらルルの頭を撫でてあげたら、嬉しそうな顔をしていた。。


まぁこの先、冒険者として頑張っていくんだから、その内……ん?


ルルが眠たそうに欠伸をしている。


「ああ〜、眠たそうだな」


「クゥ〜……」


目をトロォ〜ンとさせたまま俺を見つめて来るので、これはこれでちょっと可愛い。と思ってしまう。そんな中、ドアをガチャリと開ける音がしたので、そちらに顔を向ける。


「サシャさん?」


ドアを開けて入って来たのは、俺をお風呂場で辱めにしたサシャさんだった。


「もうお休みになられていたと思っていましたが、起きていらっしゃいましたか」


起きていらっしゃいましたか。じゃなくて!


「どうしてサシャさんが、部屋に入って来るんですか?」


客人の部屋に無断に入るなんて、プライバシーの侵害じゃないの?


「……申し訳ありません。お屋敷の警備の為、我々使用人は交代で屋敷を見回りしているのです」


まぁこの人暗殺者だから、夜の警備も仕事の内だよな……うん!


「へぇ〜、そうなんですかぁ。なんか体調不良になりそうですね」


「ご安心ください。夜の晩を務める者もいるので、そちらの者に任せています。ですが、その内の1人が休暇を取っている為、やむ無く私が夜の警備をしているのです」


あ、そういうことなんですね。


「ところで、カイリ様の前にあるポーションは、どうなされたものなのですか?」


「え? あっ⁉︎」


ヤバッ⁉︎ これを隠すのを忘れていた!


「これはそのぉ〜……そう! アイテムボックスに入れていたのを、取り出したんです!」


「アイテムボックスですか……そちらのポーションを見せて頂いても、よろしいですか?」


「あ、はい。どうぞ」


サシャさんは俺からポーションを受け取ると、色んな角度から見つめる。


もしかして、ネルマ商会の商品を盗んだ! って疑われている?


背中に嫌な汗を感じながら、サシャさんを見つめる。


「……なるほど、分かりました。こちらのポーションを、こちらで預かってもよろしいでしょうか?」


「預かる?」


「はい、預かりたいです」


今ここで作ったポーションを? う〜ん……別に預けも問題なさそうな気がするから、預けちゃおうか。

それにサシャさんから断れない雰囲気を醸し出しているしね。


「どうぞ。持ってって下さい」


「ありがとうございます。カイリ様。それでは」


ペコリと頭を下げた後、俺のポーションを持ったまま、部屋を出て行ってしまった。


「ああ〜……俺の資金源がぁ〜!」


でも、薬草と水がまだあるから、1個ぐらい取られたって大丈夫か。でもMPを3消費するのは、ちょっと痛いなぁ。

まぁ、その点はレベルが上がっていけば解消される事だから、気にしなくていっか。


「ルルも寝ちゃったし、俺も寝る事にしよう。お休み、ルル」


眠っているルルにそう言ってから、布団を被るのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る