オレの幼馴染

 ちなみに、オレたちの部活は──恋愛が禁止だ。


 顧問が女性ということも1つの理由かもしれないが、監督が言うには人は2つのことしか一緒にできないらしい。


 そして監督は、バスケと勉強をしろと言う。だからその2つ以外の恋愛は禁止なのだ。


 しかし、そのルールを守っていないのも確かだ。現に先輩に彼女がいるし、隠れてイチャイチャしている。


 そのスリルといえば、経験は少ないが、溜まったもんじゃない。他の異性の人

と話している所を、先生に見られれば機嫌が悪くなるし、そういった部分を気を

つけなければならない。


 ちなみに、オレは2つのうちの勉強を一才していない。


「今日終わったな」


 実は今日、先輩に彼女がいるのをバレた。


 バスケ部ではない他の生徒がポロリと言ってしまったらしいが、オレらにとっ

て、それは死に値する。


 チーム競技のバスケは、必ず連帯責任なのだ。


「1日中外周か、謝りに行くの辛いな」


「キャプテン、メンタル持たないんじゃね」


 教官室という地獄の扉を開ければ、怒りくるった監督がいる。そして毎回謝り

に行くのはキャプテン。 


 皆で謝りに行って、教官室に吸い込まれていくキャプテンを毎回見る。そして

20分くらい待ってから、泣きそうな顔になって出てくる。教官室で1人だけ怒

鳴られているのだろう。毎回外まで響いてくるからだ。


 このように、誰が怒られようと、必ず怒られるのがキャプテンなのである。


 キャプテンに敬礼。


「てか、あいつ彼女いたんだ」


「それな。オレも知らなかった」


 彼女がバレたのは、レギュラーに入っていない3年生。試合のベンチメンバー

じゃなくて少し救われたと思う。


 これでスタメンの人とかがバレたら、どんな理由であれ、ベンチ外に追放され

るのが目に見えて分かる。


 ──オレも気をつけた方がいいかもしれないな。


 あんなギャルと一緒にいる所を見られれば、先生に要らぬ偏見を持たれる。そ

れはゴメンだ。平和にいきたい。


「素朴な疑問なんだけど、お前って女いないの?」


 女、か。


「告白とかされてたりしてるでしょ」


「まあ告白はあるけど、付き合ったりはしねーよ」


 告白は良くある。バスケ部は良くモテる。クラスマッチなどでは、強豪校と知

らされていることもあり、他の競技よりも観客が多い。


 そんな中スリーなど、カッコいいプレーをしていれば、女子に目をつけられるの

は不自然でも何でもない。


「真面目だなぁ。恋愛なんて今のうちだぞ」


「知ってるけど、今はバスケに集中したい」


 大人になってから後悔するのは理解している。


 こんなに若い時になんで恋愛をしなかったと。そう思うようになるだろう。で

も、1人暮らしの条件もあるし、オレはバスケに熱中したいと思っている。 


 まあ、気分で恋愛したいと思うような日が来るかもしれないが。


「アレはどうなんだよ。お前と学校で一緒にいる女の子」


「あぁー、ただの友達だ」


 オレと一緒にいることが多い異性の女子。オレは平凡で、学校でわちゃわちゃ

うるさくするようなタイプの人間ではない。


 なので、元々一緒にいることが多かった異性の幼馴染と良く一緒にいる。


「名前なんだっけ」


「桃栗紫乃」


 桃栗ももくり紫乃しの。オレの幼馴染の女の子だ。1年は違うクラスだったが、今ではクラ

スも一緒で話すことが多い異性の子だ。


 肩口まで伸びた黒髪、目がパチパチしていて可愛らしい容姿。細くもなく、太

くもなくといった体型はオレの好みである。そして──清楚。


「あぁ、あの子大人しいよな」


「急にな」


 中学の頃は、あんな静かではなかった。もっとヤンチャな女の子だった。高校になってからか、急に雰囲気が変わったのである。


 原因はオレにも良く分からない。


「ああいったキャラの女の子は監督にも目をつけられないからいいよな」


「確かにそれは一理あるな」


 監督が嫌うのは、化粧をバリバリしていて、うるさい女子。紫乃みたいな人

は、先生は別に嫌っていない。現に、オレと紫乃が2人で話している所を見られ

ても、その日は機嫌悪くなかったし、許容範囲なのだろう。


「俺も付き合うなら清楚系の人にするか」 


 バレにくいしと言って、ニヤニヤする部活仲間。


 陽キャラな女子は思わず口にしてしまったり、友達に自慢したいのか、いろん

な人に広める傾向がある。バスケ部の人にとって避けたい恋愛ルートではある。


 選ぶなら清楚、か。


「彼女できるといいな」


 そうしてオレは思ってもいないような事を言い、この話題を切った。


 ──紫乃から連絡が来たからだ。


***


「どうした? 急に呼びだして」


「ううん、ただ話したかったから」


 学校の屋上──の扉の前。


 絶対に人が来ることのない場所でオレたちは会っていた。


「寂しがり屋だな」


「ひどくない? ゆうくん」


「合ってるだろ」


「そうだけど」


 紫乃が話せる相手はほとんどオレのみ。他に男友達が1人いるが、その人と2

人で、という所は滅多に見ない。


 まあ、紫乃は他の人に興味がなく、オレと話せればいっかと思っているような

所もある気がする。


「ゆうくん、部活の休みないの?」


「大会近いからほとんどないな。わりぃ」


「最近暇すぎるよ。誰も遊ぶ友達いないから」


「暇な時言うからさ」


「うん……」


 紫乃は変わった。高校に入ってからだ。


 オレの前だけ中学の頃のようにという訳ではない。オレの前でも清楚を演じる

ようになっている。


 謎だ。


「中学の頃が恋しいな」


 オレたちは毎日のように遊んでいた。それも小学生の頃からずっとだ。小学生

の頃の記憶はうる覚えなので、中学生と限定する。


「私、中学に戻りたい。高校つまらない」 


 これはオレのせいだろうな。


「部活辞められないからな」


「知ってるよ……悲しい」


 紫乃は、オレに着いてきた身。


 実はオレが推薦でこの学校に入ると言ったら、私もそこに行くと言い出して着

いてきたのだ。


 だから、オレがバスケで精一杯になることも分かっている。


「私マネージャーなろうかな」


「ドンマイ。マネージャーは募集してない」


 募集しているのは女子だけ。男子にマネージャーは必要ないと監督が言ってい

る。自分の事は自分でやれ、と。


「うぅ……泣きそう」


「今度、空いている時夜とか──」


 そこでオレは口をつぐんだ。


「ん?」


 夜とかうちに来いよ、と言おうとしていた。


 しかし、夜はあのギャルが家にいる。あまり知られたくない現実だ。


「いや、何でもない」


「そこまで言ったら言おうよ」


 ここでオレは話を逸らす。


「そろそろ昼休むも終わる。戻ろう」



「……分かった」


 会ってからずっと悲しく、寂しい顔をしていたが、紫乃の望みを叶えることが

できない。


 少しオレも申し訳ないなという気持ちになりながらも、オレたちは自分たちの

教室に戻った。


 ギャルを追い出して、紫乃を家に入れるか。


 そんな事を悩むのだった。


***


 恋愛って何だ。


 何だと思う。


 あまりオレは恋心を抱かない。あまり女子と関わらないオレは、そういった経

験が少ない。


 話しかけづらいような風格を持っているのかもしれないが、とにかく女子との関わり合いが少ない。


 だから、恋愛なんて考えない。


 だが、オレはある日、紫乃にこんなこと言った。


 “付き合うなら清楚系の人だな”


 アレは中学3年生で、受験も終わり、入学式に向けて準備を進めていた頃。


 ──少し遡ろう。


 これはオレと紫乃が中学3年、高校の入学式を備えていた頃──


「ゆうくんは好きな人いーひんの?」


「いないな、全く」


「へー、モテモテなのに〜」


 この頃の紫乃はボディータッチが多かった。こんな風に、たまあに関西弁を混

ぜて話したり、口調も声音もそんな丁寧ではなかった。


「モテてるのかな、オレ」


 この頃は中学生。心も身体も子供の頃は、そんな今だったら信じないような事


を、嬉しそうに信じてしまう。

 今のオレはかなり成長しているということが分かる。


 ちなみに、この頃はまな板並に胸が小さい。


「知らんの? ゆうくん。めちゃくちゃモテてるんだよ」


「おお……マジか」


「うんうん」


 今思い出すと、本当に純粋無垢だなと思う。やはり高校生と中学生の違いはか

なり大きいものだと言える。


 紫乃の胸も同じように。


「もしだけど、好かれている相手が誰だったら良いなーとかある?」


 少し探るような目つきをして言う。


 つまり、誰から好かれてたら嬉しいかってことだろう。


「んー……。名前分からないけど、あの生徒会長だな。あの人に好かれてたら嬉し

い」


「名前分かんないのにそんなこと言ってるんかい」


「しょうがないだろ、しゃべったこともないんだから」


「ふ〜ん。へ〜」


「何だよその顔」


 わざと興味ありませんよといった感じを出してくる。


 そして、この後、オレはある事を口にすることになる。


「好きな人はいないんでしょ。じゃあ──将来的に付き合うとしたらどんな人が

いいの?」


 将来的に、の部分に少し理解が及ばなかったが、結婚するならと捉えていいの

だろう。


 そして考えさせられた結果、オレは答えを口にした。


「付き合うなら清楚系の人だな」


 ──ここからだ。──紫乃が変わったのは。


 あの、目標を定めたような紫乃の険しそうな顔を、オレはまだ忘れていない。


————————————————————————————————————


SS(ショートストーリー)


 その頃美雨は——


「はぁバイトめんどくさっ」

 

 バイトに出勤していた。

 

 前のバイトをクビになってから次のバイト。現在あたしはコンビニでバイトをしていた。


 裕也の家から近いこともあって、面倒臭いけど我慢できている。おかしな客も、クレームを入れてくる客もたくさんいてうんざりする。


 でも——バイトをして稼がないと、あたしは1人になる。

 

 家を無くし、帰る場所もない、親に捨てられたあたしは、頼りにできる人が裕也しかいない。


 あたしはそんな事を考えながらも、しっかりと仕事をこなしていく。

 

 と、そこで裕也と同じ制服の人が入ってきた。


「いらっしゃいませー」


 今は放課後。おそらく帰宅部の人だろう。ということは、今頃裕也は部活をしている頃だ。

 

 そういえば最近、裕也の部活終わりの運動着の匂いを嗅いでいる。 

 

 良い匂いと汗の男の匂いが混ざった匂いで、クセになるのだ。でも、裕也は全然汗をかかないのか、汗っかきじゃないのか、服は濡れていない。

 

 そのせいで、抵抗心すら湧かずに、嗅いでしまっているのだ。

 

 これは裕也のせい。裕也のせいだ。

 

 ちなみに、あたしが服とか嗅いでいることを、裕也は知っているらしい。

 

 何故かは分からない。


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