あなたを愛するために

勝利だギューちゃん

第1話

私は、妖精。

物質的な存在。


普段は見えないが、必要な人の前には現れる。


妖精にはいろいろな種類がある。

エルフが、その代表だろう・・・


私たちは、単独では行動できない。

上からの命によって、活動している。


その上とは、神。

人間界では、精霊と呼ばれている。


精霊は、私たちと違い決まった姿形がない。

その時において変わる。


本来なら、自分たちで動きたいのだが、それが出来ないのが現状。

どういう現状なのかは、わからないが・・・


で、その代わりに私たちが、活動している。


あっ、呼ばれた。


「何ですか?神様」

今回の精霊は、春の精霊。


その姿は、私たちも見えない。

敢えて言うなら気だ。


「あなたに頼みがあります」

「なんなりと」


春の精霊は、下界を指差す。

その先には、病院があり、男性が寝ている。

人間の年齢だと、20歳くらいかな・・・


「彼は長くない」

「運命ですね」

「そこでだ・・・」


言わなくてもわかる。


私は、リャナンシー。

美しい若い女性の妖精。


私に愛された男性は、若くして命を落とす。

その代わり、後世に残る何かを生み出せる。


私は、これまでもそうしてきた。

そして、今回も・・・


でも、勘違いしないでほしい。

私も、物質的な存在。


心から愛せないと、任務は遂行できない。

精霊も、それはお見通しだ。


「じゃあ、行ってきます」


あの男性を、心から愛するために・・・

彼は何を残すだろう・・・


それは、彼の才能と私にかかっている。

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あなたを愛するために 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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