スマホを駅のホームに忘れたら翌日、クラスの清楚系美少女の写真が撮られていた件

和泉秋水

第1話

 『2番線、○○行きがまもなく到着します。黄色い線まで下がってお待ちください』


 俺は一人、ホームのベンチに座って電車を待っていた。今ちょうどスマホでゲームをしているところだ。キリのいいとこまでいったら終わろう。

 とそうこうしているうちに電車が出発していまいそうになる。俺は慌ててスマホをズボンのポケットにしまい席を立ち、電車に乗り込む。


「あ、あの!」

「ん?」


 その時、誰かが誰かを呼び止める。俺は反射的に振り向くとそこには同じクラスの清楚系美少女で知られる委員長が立っていた。その委員長の手には俺のスマホが。

 俺はズボンのポケットに手を入れる。ない、スマホが。落としたのか。

 俺は委員長の元に行こうとするも、扉は無常にも閉じられてしまう。


「委員長! 明日の朝、学校で返してくれ!」

「え、あ、はい!」


 俺は咄嗟に委員長に預かってもらうようにお願いする。委員長ならわざわざ人のスマホで変なことしないだろうし安全だろうと思ってだ。

 俺は徐々に流れていく委員長を目で追いながら、遠ざかっていく。その時委員長がニヤッと笑ったのは気のせいだろうか。


 ◇◇◇


(ラッキー! まさか一谷くんのスマホが手に入るなんて!)


 一谷くんの乗った電車を目で追いながら私は内心幸せな気分に包まれていた。

 私は彼のことが好きだ。高校入学の時に彼に一目惚れしてから彼に振り向いてもらえるようアピールしたが効果はなし。しかし努力は無駄ではなく2年生になった今では時折話すような関係になれた。たったそれだけ、と思うかもしれないが私にとっては大きな進歩だ。まあ付き合えるようになるには程遠いが。

 ともかく偶然にも彼のスマホを拾って預かってと頼まれたのだ。それはもう何をしても許されるのでは!?

 私は彼の乗った電車が去るのを確認して彼のスマホを開く。パスワードはいつも彼を横目に観察しているので間違えることなく打ち込む。


(1……5……5……9…………開いた!)


 私はまず彼の検索履歴でも見てみることにする。……ゲームの攻略だったり、まあ至って普通のことが多かった。しかしそこで私は目当てのものを探し当てた。そう“エ○漫画”だ。清楚な女の子、委員長、などなどが好きなようだ。それはもう私のことを好きってことなのでは!?

 私はニマニマとしながら彼のスマホをさらに観察する。


(そうだ! 恥ずかしくってできなかったけど、今の内に彼とラ○ンを交換しておこう)


 私はこの機に乗じてラ○ンを交換する。 私の友だち欄に彼の名前があるだけで嬉しい。


(あ、でも勝手に交換するのは嫌だったかな。家帰ったら彼のスマホで自撮りしてオカズに使ってもらお)


 私は家に着くまで終始ニマニマし続けていたのだった。


 ◇◇◇


 翌日、俺は朝一に委員長の元に行きスマホを返してもらう。


「いやぁ、本当に委員長が拾ってくれて良かったよ。ありがとな」

「どういたしまして。次からは気をつけてくださいね?」

「おう」


 そして俺は席に戻りスマホを確認する。律儀にも充電されていたようだ。本当に委員長には感謝だ。


ピロン


 ラ○ンの着信を知らせる音が鳴る。相手は……委員長? 交換した記憶がないがだいぶ前にやったけど忘れてただけか?


『写真をお好きなように使ってください』


 委員長からはそれだけが伝えられる。何のことだ? 写真?

 俺はとりあえず写真を確認してみることにする。すると俺は絶句した。なぜならそこには委員長の自撮り写真が何十枚も撮られていたからだ。委員長の笑顔や顔のドアップ、下着姿に下着を脱いで手で隠しただけの写真もある。色々とアウトだった、とかいう以前になんだ、これは。これは本当に委員長? あの清楚で真面目な委員長が、何でこんなことを。

 俺は恐ろしくなって委員長の方を見る。委員長と目が合う。彼女はニマッと笑っていた。


 俺は、スマホを忘れただけなのに。

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スマホを駅のホームに忘れたら翌日、クラスの清楚系美少女の写真が撮られていた件 和泉秋水 @ShutaCarina

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