玄冬を春にして
霧江サネヒサ
玄冬を春にして
青春はなかった。完。
なんてね。
ファンロード。アニメから食まで、幅広く取り扱うカオスな雑誌があった。
私は学生時代、毎月、ファンロードに文章ネタを投稿するのが楽しくて仕方なかった。というのも、「送れば載せてもらえた」からである。
じっくりと考えたネタより、テキトーにパッと書いたネタの方が採用率が高い、というのは、あるあるだと思う。
二次元オタクの私にとって、学生生活は退屈極まりなかった。
これは青春ではない、玄冬だ。いつも、そう思っていた。しかし、常に投稿するためのネタ探しにアンテナを張っておくと、様々なことが色彩を放つようになっていったのである。それは、年中、春であるかのように。
私は、せっせとネタを考え、毎月、ファンロードに自分のペンネームが載ることに快感を覚えた。
人生は、つまらなかったが、他人の創作物の面白さと来たら。それをネタにして雑誌に載ることの楽しさたるや。
私の『春』は、そんなものだった。
玄冬を春にして 霧江サネヒサ @kirie_s
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