ストーカー入りスマホ
ムネミツ
ストーカー入りスマホ
ストーカーは何処にでも入り込む、奴らはもはや人間じゃねえ!
コンビニ帰りの夜道、俺の身におかしな事が起きた。
「え、バイブ音? 何か勝手に俺のスマホ電源入った!」
俺はさっき電源を切ったはずのスマホをポケットから取り出す。
「こんばんわ、私今あなたのスマホの中にいるの♪」
スマホの画面に映っているのは白いワンピースに黒髪のおかっぱ頭の
メカクレ少女だった。
「ふざけんな、乗っ取りか!」
画面の少女に見覚えはない、何故なら俺は女子にモテるタイプじゃねえからだ。
リアルで出会ったならお茶でも飲んだかもしれないが、他人様のスマホの中に勝手に入って来るな!
いや、そもそもどうやって入ったんだ!
「エッチなゲーム、沢山入れてるんですね♪」
少女はそう言って、俺がダウンロードしたスマホゲームのアイコンを滅多打ちに殴って破壊した。
「ふざけんな! 俺の嫁を返せ、ていうかもうこんなスマホ使ってられるか!」
俺がどんだけスマホゲームにつぎ込んだと思ってやがる畜生めっ!
俺はネトゲにしか嫁がいないんだぞ!
怒りのあまり俺はスマホを地面へと叩きつけた。
きゃあとか聞こえたが知るか、俺は走って逃げだした。
しかし、俺の背後から俺が壊されたスマホゲームのテーマソングを歌いながら奴は追いかけて来た。
「逃がさない~~~~♪」
「ば、ばかな! 変形して実体が出て来ただと!」
後ろを振り向くと、どうやって出したのかはわからんが俺のスマホをアメコミヒーローのリアクターか日本の巨大ヒーローのカラーなタイマーみたいに胸に付けた白ワンピの少女が追いかけて来た。
俺は必死に走った、メロスよりも頑張って走った。
だが、どれだけ走っても家に辿り着けない。
俺が立ち止まると、首の後ろから白い女の手が伸びて来た。
「甘い、どりゃっ!」
俺は素早く身をかがめて相手の腕を掴み、ストーカーに背負い投げを叩き込んだ。
「ぎゃあっ! ひ、ひどすぎるっ!」
俺に反撃されるとは思わなかったのか、地面に倒れてふざけた泣き言を言うストーカー。
「ひどすぎるのはお前だ化け物っ!」
倒れたストーカーに容赦なく腕ひしぎ十字を掛けてその腕を折る。
相手が人間だろうが怪物だろうが構わない、俺のエロゲーを奪った罪を償わせる!
「い、痛い! 痛い! 止めてっ!」
「今度はもう一本だ!」
俺は容赦なく相手の反対側の腕にも腕ひしぎ十字を掛けて破壊した。
相手の理由など知らない、俺はただひたすらに処刑マシーンとなって今度は相手の
足を破壊すべく関節技を掛けた。
「禁じられた力、膝十字固めっ!」
これが止めになったのか、ストーカーは断末魔の叫びを上げて蒸発した。
ストーカーが蒸発すると同時にパリンと何かが割れる音がした。
「は! ここはさっきまでいた道、俺は現実に戻って来たのか?」
気が付くと、逃げ出したはずの夜道に俺は立っていた。
「あれは一体、どういうストーカーだったんだろう? まさかスマホに入り込む怪異になるとは世の中進み過ぎだぜ」
今度こそ家に帰ろうと思った俺が足元を見ると、俺のスマホが木っ端みじんに破壊されていたので俺は泣いた。
次のスマホを買ったら、その時は怪異に侵入されたりしないような魔除けアプリでも入れよう。
ストーカー入りスマホ ムネミツ @yukinosita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます