第7話 引っ越し

2人が休みの日に

不動産屋へ行った



勤務先の病院への交通の便が良いこと

でも、あまり近すぎるのも嫌だよね

場所、環境、部屋数、値段

いろいろ条件を出し

何件かに絞る


「実際に見ますか?」

「はい、お願いします」


見てまわるのは、ちょっとデートみたいで楽しい

「どうだった?」って聞くと

「う〜ん」と

しょうちゃんはピンと来ない感じ?


とりあえず今日は持ち帰ります。と

その日は不動産屋をあとにする



うちで夕ご飯を食べて

「しょうちゃん、ちょっとだけ飲まない?」と

冷蔵庫から酎ハイの缶を取り出す

「いいの?」

「外じゃないし、もう寝るだけだから」

「ありがと。ゆきはビール?」

「うん」


「「乾杯」」


「何に?」と聞いてみる

「2人の未来に」予想外の答えが返ってきた

いや、嬉しいけど

「しょうちゃん、なんか最近変わったね?」

いや、良い方向にだけど

「そぉ?」

もしかして、もう酔ってるとか?

いや、まだ飲んでない



「あ、で、どうする?部屋」

「うん、私はこだわりないから、ゆきが気に入ればいいよ」

「そうなの?」

「たぶん部屋にいる時間短いだろうし、だいたい寝てるし?」

「それは、今までのことでしょ?これからは私がいるのに・・・」

「あ…」

ちょっと考えてから

「訂正します。私は、ゆきがいればそれでいい」と宣言していた

やっぱ、酔ってるわ





「じゃあさぁ、今のしょうちゃんの部屋に私が引っ越すって、どう?」

「え?」

「敷金礼金とか勿体ないし、しょうちゃん引っ越さなくていいんだよ?」

「そうだけど、嫌じゃないの?」

「ん?あ、綾さんの事?私は気にしないけど。。しょうちゃん気になる?」

「う〜ん」

「私、綾さんのこと好きだよ」

「え?」

「病院で初めて話した時から、口は悪いけど良い人だなぁって思ったもん」

「そう、、なんだ。そっか」

「だから、綾さんと暮らしてた部屋でも大丈夫だよ」

「ん〜なら、それでもいいけど…」

「けど?」

「……あ、今より通勤時間長くなるけど、大丈夫?」

「たぶん」

「じゃ、試してみる?しばらくウチから通ったら?」

「うん、そうする」

「ん」


残っていた酎ハイを飲みながら

ニヤニヤしてる

顔も赤くなってきたし

これは、かなり酔ってきたね


「しょうちゃん、そろそろ眠いんじゃない?先寝てていいよ、後、片付けとくから」

「え〜〜1人で寝るの?」

腕を掴まれる

「あっ」しまった

「なに?」

「酔うと、そういう感じになるんだった」

「わかってて飲ませたんじゃないの?」

「そういうわけじゃ…」

「そっか、じゃ、もう寝るね」

ちょっと拗ねたように寝室へ向かう

「うん、すぐ行くから」




簡単に片付けを済ませてから

ベッドへ潜り込むと

遠慮がちに手を触れてくる

「起きてた?」

と聞きながら指を絡ませる

恋人繋ぎだ

「うん」


「ねぇ、しょうちゃん。何か引っかかってるよね?」

「・・・」

「別に言いたくなかったらいいんだけど…」

しょうちゃんは、なんでわかっちゃうかなぁ。と小さく呟いた


「ゆきが、さっき綾のこと好きって言ったのは、恋愛の意味じゃないよね?」

「え?そこ?違うよ。そういう好きじゃないよ」

「うん、そうだとは思ったんだけど…綾も、ゆきのこと可愛いとか言ってたし」

「それは社交辞令でしょ?」


「うん、でもさぁ…そんなことを気にする自分の小ささが嫌になったっていうか。。例えば、ゆきの恋人だった人が現れたら、私は絶対冷静ではいられないと思うし、ゆきの過去の恋愛話を聞くのも嫌だし。なんだか心が狭いなぁって思って。だから、ただの自己嫌悪」


私は上半身だけ起こし

しょうちゃんを見下ろす

「しょうちゃん、それって独占欲?」

「だね」

「そんなに強かったっけ?」

「ゆき限定で」


「それ、嬉しいんだけど」

堪らずキスを落とす


「嫌じゃないの?」

「大好きだよ」

耳元で囁く


「ずるいな」

「じゃ、しょうちゃん、今夜は...思う存分私に甘えてください」

「…はい」

「ふふ、可愛い♪」



ふふ、可愛い♪


「そんなこと、言われたことない」

「じゃ、私だけのしょうちゃんだ。私だけに見せて!私だって独占欲強いんだよ」


繋いだ手をベッドに押し付けたままキスを落とす

そのまま深く、、味わうように

「…ん…あ…ゆき…」

甘い声

「もっと甘えて、どうして欲しい?」

「触って、、キスして、ゆきを感じたい」

首すじに舌を這わせながら、スウェットの下へ手を入れ素肌をなぞる

胸の膨らみに到達すると少し力を加える

「…んっ」

「ここ?」

「…あっ」

その頂きを軽く摘むとピクリと跳ねた

「もっと感じたい?」

上半身を起こし服を脱がせ、自分も脱ぐ

キレイ…呟くと

「そんなことな…」

キスで口を塞ぎ背中を撫で回す

「…んっ」

「背中、弱いよね?」耳元で囁く

背中の愛撫でのけぞったところで

胸にキスを落とす

乳首を口に含み刺激を与える

「…あぁ…」

充分に味わったあと

再び組み敷いて

お腹、脇腹へキスを移動する

「ん…」

時々、力が入る腹筋をなぞる

「あっ…ソコ…ダメ」

骨盤の内側、弱いところを攻めながら

足を広げる

「…ゆ…き」

若干の抵抗を無視して進める

充分に濡れたソコに口づける

突起に舌を絡めると

ビクビクと反応する

「あぁ…んっ…もう...ヤメ..」

顔を上げ、今度は指で秘所を攻めながら

「感じてる?」と聞くと

切ない顔して ん...気持ちい..と漏らす

「可愛い」と声を届けて口づける

「しょーこ、だいすき」と言いながら

指を中へ埋める

「んっ...ずるい..あっ」

ゆっくり動かしながら蕾も刺激する

「可愛いなぁ」

こんな顔、誰にも見せないで...

「...ゆき..キス....して」

深いキスをしながら、徐々に高みへいざなう。



翌朝、目覚めたら

しょうちゃんはいなかった

ランニングシューズがなかったから、走りに行ったのか

元気すぎる…


もう一度寝ようかどうか迷ってたら

玄関の鍵が開く音がして

帰ってきた


「あ、起きてた?」

「外、寒い?」

「ん、ほらっ」

「わっ、冷たっ」

いきなり冷たい手で頬を触ってくる

キスされるかと思ったのに

そのまま見つめるだけなんて

「いじわる?」

「何が?」

「昨夜はあんなに可愛かったのに」

ピクリと反応したくせに

「酔ってて覚えてない」

「絶対うそだ〜」

「シャワーしてくる」

と歩き出す

「じゃ、私も〜」

「え?」

「ダメなの?」

「いいけど〜昨夜のお返しするよ?」

「やっぱ、覚えてんじゃん」




その日、早速、荷造りーーある程度の身の回りのものーーして、しょうちゃんの部屋へ移動した


明日から、勤務先である病院へ通ってみるのだ

しょうちゃんは、何時に帰れるかわからないので車で通勤してるけど、私は夜勤もないし公共交通機関で通う

バスもあるけど本数が少ないので、地下鉄と徒歩の予定だ



「ベッド運ぶまでは、一緒に寝てもいい?」

しょうちゃんのベッドはセミダブルなので、2人でも寝れる


「ずっと一緒でもいいけど?」

しょうちゃんは当然のように言うけど


「寝る時間違うから起こしちゃうよ?病棟に変わったら夜勤もあるし。それに...」

「それに?」

「喧嘩したり...とか?」

「する前提なの?ん〜まぁ、1人の時間も必要か...」

「2人の時間もね」

そっとキスをする

「それは…大事だね」



お試し期間は問題なく過ぎ

今までより30分早く起きれば遅刻することはないと分かった


大きな家具ーーと言ってもそれほど多くはないーーは、業者に運んでもらい

細かいものは自分でちょこちょこ運び

要らないものは処分して

退去の手続きをして


一段落した


「結局、ほとんど手伝えなくて、ごめん」

「いいよ、しょうちゃんが忙しいの分かってるから。あ、今度美樹ちゃん呼んでいい?いろいろ手伝ってもらったお礼もしたいし」

「もちろん、いいよ」


「しょうちゃん」

「ん?」

「今さらだけど…これから、よろしくお願いします」

「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


一瞬、真顔になって

それから笑顔になった

私の大好きな顔だ

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