スピンオフ話その2-5 変態はなんでこんなにしつこいのか

ー???視点ー


ふははははは!とうとうやってきたぞ、別世界!!


ここで俺様は天下をとり、ハーレムを築くのだ!


見渡した感じ一面砂だらけだが……ここは砂漠の世界なのだろうか?しかし、たまたま≪流星群の奇跡≫に願ったら、たまたま神様の能力が手に入って、たまたま磁場の乱れに巻き込まれたんだが、たまたま上手く逃げてこれたなんて俺様はとんでもなくラッキーボーイだな!


前の世界では俺様は特別過ぎて合わなかったせいで犯罪者になってしまったが……ここなら上手くいく気がするぞ!


なに?俺様の事が気になる?

ふふふ……やはり俺様は罪な男だ。いいだろう、教えてやろうじゃないか。


まず、俺様が前にいた世界は住人の全てが虎柄のパンツを履いている世界だった。もちろん女は虎柄の胸当てをしていて、かなりの薄着だ。重力の関係で少しでも身につける物を軽くしないといけなかったのだが、なぜか虎柄のパンツを履くと過ごしやすくなるというとても変わった世界だったのだ。ずっと謎だったんだがたぶんあの世界の神様がそういう趣向だったようだな。

ん?さすがに頭にツノは生えてないし「だっちゃ☆」とかは言わないぞ?それじゃあーんなワールドになってしまうからな!ふははははは!


なんでそんなこと知ってるのかって……そんなの俺様が転生者だからに決まっているだろう。


じつは俺様には前世の記憶があるのだ。ふふふ……驚いただろう?


俺様はとある事故で死んでしまったのだが、ある時その前世の記憶を思い出し……俺様は自分の使命に気付いたのだ。


“ある女”を探さねばならないと!


だから俺様はあの世界にいる女たちを自分のハーレムにしようとした。

その女はたぶん俺様のように転生しているはずだ。だが、どんな見た目に転生したかとか、記憶があるかわからないからな!世界中の女を俺様の物にしてしまえば必ずあの女もいるはずだ。俺様って天才!


だが、前の世界では失敗してしまった。声をかけた女たちにはことごとく逃げられてしまったのだ。

たぶん、俺様のように素晴らしい男に声をかけられて恥ずかしかったんだな……。俺様のハーレムに入るなんておこがましいと思ったのか全員に断られてしまった。


だが、俺様は女心がわかる男だ。突然の幸運に戸惑い逃げてしまった女たちにチャンスをやらねばと、毎日追いかけ回し家を調べあげポストに入りきらなくなるまでラブレターを送り続け、スリーサイズを調べあげて作った特注の白衣をプレゼントし続けていたら……


1000人の女から訴えられてしまい、逮捕されたのだ。


うーん、なにがいけなかったんだろう?


まぁ、こうやって無事に逃げられたからいいか!俺様はポジティブな男だからな!


え?前世ではどんな事故で死んだのかって?

あぁ実は……俺様はとある大学にこっそり忍び込んではとある女を追いかけていたのだが、あの日その女が授業をサボって忍び込んでいた実験室が突然爆発したのだ。


俺様はその時の衝撃で大怪我をしてしまい入院することになった。

しかし不思議な事に爆発した実験室にあの女はいなかったと言われた。俺様は絶対に誰か中にいたはずだと訴えたが死体どころか誰かがいた痕跡もなかったそうだ。


さらに驚いたのはあの女の事を誰も知らないということだ。俺様は退院後、あの女の痕跡を調べ尽くしたが戸籍すらも消えていて、あの女はいないことになっていたのだ。


世界中であの女のことを覚えているのは俺様だけ。これはまさに運命だと思った。


世界の中心ならぬ、道路の中心であの女への想いを叫んだら暴走トラックに轢かれて死んでしまったが。


まぁ、いいだろう。日本から消え、虎柄パンツの世界にもいなかったようだが、今度こそあの女がいるはずだからな!そんな気がするんだ!


きっと俺様が追いかけて見つけてくれるのを今か今かと待っているはず……。


「ふははははは!待ってろよぉ!」


俺様はこの世界にいるはずの愛しい女の名前を叫んだ。


“結城沙絵”と。







「きさま、あの時のストーカーかぁぁぁぁぁぁ!!!」


ちゅどーーーーん!!


突如砂漠から現れた巨大なロボット。なぜか半分溶けかけているロボットは「しゅごぉぉぉぉ」と叫びながら口からレーザービームを吐き出した。そのレーザービームは変態に直撃するが煙を出し焦げたそれが動いた。


「仕留めたか?!……ちっ、まだ生きてるね」


巨大ロボットの上では白衣をはためかせた人物が分厚い眼鏡を押し上げて舌打ちをしていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る