探偵の仕事は、命懸け!

ヘパ

第1話 探偵の仕事は、命懸け!

 ついに、買った!新しいスマホは、違う!ネットが、サクサク動く!カメラの画質も、いいし!



「ねぇ!今度、ヘパのスマホで、俺の砂の城、撮って!」って、弟のアレスに言われた。


 アレスは、砂の城をつくる天才で。海にいくと、いつも、ガチな砂の城をつくる。


カナヅチのアレスが、海でできる唯一の遊びといえば、砂の城づくり。



「いいよ!動画、撮りまくっちゃおー!」



 まだ夕方だったら、今から行っても、よかったんだけど、もう夜だった。


海、明日、行っちゃう?って、俺が言いかけた時、リビングから、クッションが、ぽーん!って、すっ飛んできた。


「わぁー!」って、アレスが、顔に直撃しそうになったクッションを、寸前で、キャッチする。



 リビングが、めちゃくちゃ、らされてた。まるで、強盗に入られたみたいに。


その強盗は、いとこのトリトンだったけど……。


「あかん!ない!ない!」って、トリトンが、リビングのものを、ひっかきまわして、なにか探してる。


「なにがないの、トッティー?」って、俺は、きいた。


直後、トリトンが、がばっ!と、こっちを、ふり返る。


「どこにもない!俺のスマホ!あかん!困るんやけど!スマホがないと、俺、探偵の仕事、できひんのやけど!」



 俺も、アレスも、いっしょに、探す。


「こう言う時は、電話かけてみるといいんだよ!みつけてくれた人が、でてくれるかも!」って、アレスが、トリトンのスマホに、電話をかけまくってる。



 急に、「今、何時!?」って、俺は、トリトンに、きかれた。


「今……?」って、俺は、スマホの画面をつけた。「えっと……11時。」


「やばい!もう、いかな!密売みつばいの取引、はじまる!俺のスマホになって、アレス!」


トリトンが、アレスをつかんだ。


「スマホになって!?」アレスが、びっくりしてる。


天然のトリトンは、たまに、意味不明な発言をする。


「え、なになに!?いっしょに、来てってこと!?」言ってる間に、アレスが、トリトンに、ひきずられていく。


「あんな。野生の魔物を密売みつばいしてるギャングの取引の現場、動画に撮らなあかんのやけど……俺の代わりに、スマホで撮って!」



 ふたりとも、行っちゃうから、「待ってー!」って、俺も追いかけた。



 トリトンの話だと、魔物だけじゃなくて、ユニコーンとか、ペガサスも、被害にあってるらしい……。



 夜の港は、ギャングのたまり場だった。


俺と、アレスと、トリトンは、コンテナの影に、かくれた。


マンティコアとか、グリフォンとか……いろんなモンスターが、おりに入れられてる……。


そのギャングの悪事を、アレスが、スマホで、しっかり動画に撮った。


その時。俺たちの後頭部に、カツン!って、かたいものが、ぶつかった。銃口だった。


 見張りに、気づかれてしまった俺たちは、両手をあげた状態で、ギャングが群がる場所まで連行された。



 動画を消さないと殺す!って、アレスが言われてる。


いや、消しても殺すでしょ!?絶対!



 アレスが、ギャングの不意をついて、り飛ばした。ノックアウトされたギャングの手から、ピストルが吹っ飛ぶ。


それを、トリトンが、つかんだ。


「動くな!」トリトンが、ピストルを、かまえる。


でも、ギャングたちのピストルも、こっちを向いてる。


ギャングと、とっくみあってるアレスがねらわれてる!


「アレス、危ない!」


俺は、とっさに、時間の魔法をつかった!まにあった!


時間が止まったギャングが、引きがねに指をかけたまま、石像になってる。



 次の瞬間、バン!って、銃声が聞こえた。


銃声が聞こえた瞬間、左胸に衝撃がはしった。目の前が、真っ暗になった。


めちゃくちゃ痛かった。それしか、覚えてない。



 目が覚めた瞬間、「ヘパー!」って、アレスの泣き顔が、とびこんできた。


自分の部屋だった。ベッドで寝てた。


「俺、ギャングと戦ったんだけど……まさか、夢じゃないよね!?」


「夢?」って、トリトンが笑ってる。


「ベットで、目が覚めたら、まぁ、そう思うわな。現実やで。あのあと、やばかった。もう少しで、銃撃戦になるところやったけど。ヘパが魔法つかって、ギャングの時間を止めたんやで、気絶する前に。石像になったギャング、警察がつれてった。おてがらやで、ヒーロー。」


「ほんまに……?ぜんぜん、覚えてないんだけど。」


「ヘパが助けてくれなかったら、俺、撃たれてたよ!ありがとー!」って、アレスに肩を揺すられた。


左胸のとこが、アザになってるみたいで、痛い……。


「どういたしまして。……でも、俺、なんで、生きてんの?俺、撃たれたよね?」


「これが身代わりになってくれた、おかげやんな。」


トリトンに、変わり果てたスマホを見せられて、わぁー!って、俺は、思い出した。


「そっか!シャツの胸ポケットに入れてた、スマホ!」


でも、銃弾を受けたせいで、画面が……。


俺が絶句してたら、トリトンが言った。


「画面、バリバリ。バリフォンやな。」


「うそだろ……。買ったばっかりなんだけど、これ……。」


未練みれんがましいことを言ってたら、「なに言ってんの!」って、アレスに怒られた。


「命が助かっただけでも、よかったんだから!」


「まぁ。究極、そうなんだけどさ。それは、それで。これは、これっていうか……。そういえば、トッティーのスマホ、みつかったの?それ、探さないと。悪い人に取られてたら、大変だよ。」


「あんな。俺の部屋に、あったわ。机に、置いてあったわ。」


きいた瞬間、俺も、アレスも、叫ばずに、いられなかった。


「なんだとー!」



 ちなみに、バリフォンは、自分の魔法で、壊れる前に、時間を戻して直した。


時間の魔法がつかえて、よかったー!

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