第4章 伝説覚醒

第99話 復讐の叫び

 酷い身体ね……。


 シャワーを浴びたアタシ……吉備津香織は薄っすらとした胸元に残る火傷の痕を見て溜息を吐いた。


 武先輩に抱かれる決心をしてから、最近、少しでも痕が良くなっていないのか鏡を見るのが日課だ。


 火傷の痕を見るたびにフラッシュバックする忌まわしい記憶。


 煙草を押し付けながらアタシを犯し、行為が終了した後、下腹部を焼かれた。


 幸いのお陰で下腹部の火傷の痕は目立たないけれど、女性としての尊厳を奪いつくされたあの時の痛みと苦しみ……そして憎悪の念が一日たりともアタシに安息を与えようとしない。


 死のうとしたけれど、澪ちゃんや静江に助けられて死ぬことは出来なかった。


 助けられた後、正直余計な事をされたと思っていた。


 でも、澪ちゃんや静江がアタシの事を親身になって励ましてくれる事と、特にカズ君……アタシがあんな酷い事を言ったにも関わらず、カズ君がカミングアウトしてになってくれたのは精神的に大きな支えになった。


 だから、アタシは逃げない。


 真っすぐ過去と向き合って、必ず乗り越えて見せるんだ。


 その為には……。


 アタシは鏡に映る胸の火傷の痕に手をつき、力を込めた。


「アイツ等……必ずアタシの手で殺してやる!」

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