第18話 悪栄教の計画



「今回の暴走は悪栄教が絡んでいると睨んでいるのですか?」


「ああ,アースタートルを暴走させた,しかも自我を保った状態で、だ。自然発生の暴走とは格が違うのは明確だろう。」


「でも、100人越えの組織をどうやって…」


「実は司教が強いのは悪魔との契約による力【魔司能力ダークスキル】を使うからだ。個々の力は通常クラスなんだ。」


「ダークスキルを使われる前に倒せば問題ない、ということですか?」


「そうだ。こんなこと信用されないだろうからな,俺たちだけで悪栄教を滅ぼそうと思う。」


「流石は師匠です。多分大丈夫でしょうしね。いきましょうか!」


「ああ,それでは明日出発だ!」


ーその前に僕も参加させてもらいますよ!


白斗の脳内に声が響いたのであった。



ー王国某所ー


そこには5人の男が集まっていた。


「お集まり頂き、ありがとうございます。今回この計画を担当致します、皆様」


そう話したのは【悪栄教・C 伯爵・第62司教リアード・ナベリウス】だった。


「下準備は済ませておいたーーぜ、ナベリウス」


「ありがとうございます。第17司教シャルオス・ミラターボ公爵閣下。」


そこに1人の男が現れた。


「すまない。我は早く帰りたいのだ。早くしてくれぬか,ナベリウス。」


「随分急いでいるな。第68司教フール・エイドラス伯爵。」


「新たな実験をしたくてな。早くいきたいのだ。」


「また新しい土地をみつけーーたのーーか?」


「はい,すぐさまいきたいのだ。」


そこに1人の子供が口を出した。


「それは僕にもくれるのかな?フール?」


「黙れ,餓鬼が。お前にやるものなど微塵もない。」


第94司教カーラム・ファルトバル役人、下の地位の者の方が上より強い,という自論で迷い人の信者を急増させた少年。本当,恐ろしい者だ。


「それよーり、もうひとーりは誰なんだーーな?」


「なんだ,もう1人いたのか、我ら4人で【精霊の宝石】を集めたのかと思ったものだ。」


「あと1人は第69司教ラウダス・ハヌマーン伯爵です。【魔令】が終わるまでお待ちください。」


「すまない。遅れた。」


男が1人現れた。


「なんだ、僕より出来ないなんて上としてどうなのかな?」


「そうだ,早く石を出せ、ハヌマーン。」


「すまない,取れなかった。」


「「何だと?」」「は?」


その場にいた全員から殺意が溢れ出した。


「俺が探していた【地精霊の宝石】は洞窟の奥に存在していたのだが,地面の中に存在していて、取れなかった。ダークスキルは効かず,攻撃も効かなかった。すまない。」


「取れなかったじゃないだろ?」


「お前、だめだわ。」


「お前、司教内の揉め事禁止、という協定がなかったら死んでたぞ?それとも自然災害で死んだ様にされたいか?俺のダークスキルなら可能だぞ?」


「では他の方はハヌマーン司教の穴埋めを、魔令が終わるまで全力でお願いします。」


「わかったーーぜ,」「すぐ行かせてもらうよ。」


「我も行こう。(ふん、そんなもの、参加する気はないがな。我の領地に居続けてやる。)」


こうして,その場にはラウダスとリアードが残った。


「本当にすまない。」


「すまない?その程度で許されると思っているのか?一番怒っているのは俺だぞ?お前を付けていた【王国防衛軍】を俺のダークスキルで皆殺しにしたんだ。代わりの身体を探し,本体を隠してまでこの計画を進めてきたのだぞ。」


「本当に…」


「黙れ、」


ラウダスの体が上に浮いた。


「俺の努力をむだにするな、」


リアードがラウダスを殴りまくった。


「グハッ……グハッ……グハッ……」


「これ以上邪魔をするな。下がれ,」


「ああ、」



「もう失敗は許されないんだ。」



白斗が知らぬうちに計画が進んでいたのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回予告

     第19話「外の世界」


スキル【エイト】が遂に人化になる。

そして,3人は悪栄教を倒すため旅に出る。

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