第13話

「うん、知っとるよ。早川はやかわ夏鈴かりんさんやろ?」


 私は久しぶりにS女に通っている友達と遊んでいる時にふと早川さんの事を聞いてみたら、意外とあっさりと知っている様であった。


「そう、私らの一個上の……」


「一個上やけど、学年は一緒ばい」


「……え?」


 私は友達の口から出た言葉に驚いた。留年してるの?とても頭の良さそうな感じだったし、品行にも問題は無さそうだったから。


「早川さん、本当は学年一個上やけど、高校に入ってすぐに長期入院して、入退院の繰り返しやったけんで、出席日数の関係でね。それに今も入院中なんよ。時々、外出許可貰えるみたいばってん」


 私は早川さんのあの透ける様な白い肌と硝子細工の人形の様な感じがしたのは、長期入院をして外に出る機会がほとんどなかったからだと知った。


 そんな早川さんがなんで貴重な外出許可を使ってまで私の元に?


 彼氏がいると言っていた。


 貴重な外出許可を彼氏に会うために使わず、私に使うなんて……


 本当に彼氏はいるのだろうか……


 私はぐるぐると頭の中に色んな考えが浮かんでは駆け巡る。


 さり気なく早川さんの入院先を聞くと、駅の近くにあるとある医大の名前だった。


 それから私と友達はお喋りをして、買い物などを楽しんだ。その間にも、早川さんの事で頭がいっぱいだったんだけど。


 その日の夜、私は思い切って早川さんにメッセージを送った。


 なかなか返事は来なかった。そして、お風呂から上がった私の携帯に早川さんからの返事が来ていた。


 私は恐る恐る画面を開く。


『今度、会ってお話しをしませんか?』


 その一文と医大の名前と病室の番号が記してあった。私は早川さんに会うこととその日時を返信した。


『ごめんね、ありがとう』


 私はすぐに返ってきた早川さんからの返信を確認すると、そっとメッセージを閉じた。



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