乙女は『おいも』が好きですよ♪


 洋子様が、ルンルンで修学旅行にいかれ、翌日、私とダイアナ様は『河越』へ遠足なのです。


 帝都から『河越』までは、昔から街道が通っており、最近鉄道も通ったのですが、『河越』までの距離は43キロだそうです。

 この『旧河越街道』には宿場が八つあり、二年生はその四つ目の町で、駅に向かい、『河越』を観光するのです。


 『河越』に向かって途中まで、歩かされたのです。

 帰りは鉄道ですよ♪くたくたで夜道は無理です。


 女学校の体操服、ニッカポッカのような戦前のブルマに身を包み?歩かせるのですよ!

 か弱い乙女になんてことをさせるのですか!


 前世、高校あたりでは耐久レースなんて有るところがあり、30キロぐらい歩かせるところもあるようですので、たまには良いのでしょうが……

 そういえば帝国第一高女でも、五年生の遠足となると、40キロほど歩くそうです……

 事実、今年の五年生は『旧河越街道』を走破するそうなのです。


 でも、途中で茶店なんかがあり、お団子とお茶を頂きました♪

 事前に話しを付けていた様で、おトイレも済ませられました♪


 皆さん、平然と歩かれています……それなりに楽しまれているようです。


 お昼は指定の神社で、お参りをし、休憩所で、お弁当をひろげ、お菓子なんて交換したのですよ♪


 私はヘロヘロです……


「足が痛いですね……」

「本当に……雪乃様、大丈夫ですか?」


「明日になれば、筋肉痛が出そうです」

「この後は駅に行き、鉄道で『河越』までです、ゆっくり出来ますよ」


 ダイアナ様は私に比べれば、比較的元気です。

 やはり、この時代の方は、女性と云えど頑健なのでしょうね。


「ここは洋子様によると、『うなぎ』と『おいも』が美味しいそうよ♪『うなぎ』は難しいかも知れませんが、『おいも』なら食べられそう♪」

「焼き芋ですか?」

「すこし調べたのですよ、『栗よりうまい十三里』ってここのお芋のことらしいのよ♪」


「帝都でも焼き芋は売れていますよね♪この間、小百合さんがお土産で持ってきてくれましたよね♪」

「そうでしたね、美味しかったですものね♪」


 帝都では、特に冬になると、焼き芋が売れるのです♪安いし、腹持ちするしで、誰もが『おいも』が好きなのです♪

 特に女性はね♪甘い物が好きなのですよ♪

 

 ダイアナ様と『おいも』で盛り上がり、何としても、この美味しいといわれる焼き芋を食べようと、川越の町を散策するのです!


「皆さん、大体考えることは分かりますが、買い食いはいけませんよ、はしたないですからね!」

 列車の中で、先生がおっしゃるのですよ……


 ……


「そんなにがっかりしないの!実はね、川越商工会の方々から、川越名物の差し入れがあるのよ、『栗よりうまい十三里』よ!」

 はしたないとは思いますが、歓声が上がりましたね♪


 はやく駅に着かないかしら!走って行くのに!


「先生!どこでいただけるのですか!」

「駅の近くの商工会の事務所で、用意されると聞いているわ、それからね、お上品に食べるのよ」


 やはり乙女は『おいも』が好きなのですね♪皆さん、そわそわしているのですもの♪


 先生に、お上品にと釘を刺されましたが、帝国第一高女の乙女は、姦(かしま)しかったのです!

 後で、こってりと叱られたのは、云うまでもありません。

 

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