第5話【終戦と闘眼】
処女作です。誤字脱字報告、よろしかったら是非お願いします!
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*午後七時に更新(度々更新日を変更して申し訳ありません。一週間に1~3話投稿する予定でしたが、それも厳しいので、10日ずつ1話投稿しようと思います。最近仕事が忙しいため、更新日を減らさせていただきました。ある程度仕事が落ち着いたら、更新日を明確にし、投稿頻度も増やそうと考えています)
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それから約2時間後、俺たちは辺りに血の大河を作りながらも、ようやく森魔霊の群れとの戦闘の終戦を迎えた。
はぁ、夥しい数の気配は感じていたが、まさか五桁に近い数がいるとは思わなかった。おかげでまだ戦闘経験が足りていない楓と美羽の二人は、途中で気を失って倒れてしまった。
別に怪我を負ったわけではないが、二人とも単純に激しい長時間の戦闘に体力と精神が保たなかったのだろう。まあ、無理もないな。むしろ、当たり前というべきだろう。
森魔霊は一体一体は弱いとはいえ、流石に五桁に近い数を相手に、武術面では素人の域から脱したばかりの初心者が戦い続けられるわけがない。
俺だって、初めての長時間の戦闘では倒れこそしなかったものの、最後あたりは普段よりも数段動きが鈍くなっていたぐらいだ。
それに加えて、二人はもともと約一週間前まではただの女子中学生だったんだ。これまで約一週間、俺が『指導』も併用しながら武術を教えたとはいえ、武術は一朝一夕で身につくものではない。
楓と美羽は、《天職》と《
身体能力こそ一流に近いものの、武術面で一流の領域に達するにはまだまだ時間が足りない。
しかしそんな二人でも今では、人類の限界速力を遥かに超えている黒斬狼よりも強い森魔霊の群れ相手に、一時的とはいえ対等に戦えているのだから、『ステータス』の恩恵とは凄まじいものだ。
俺も多少は援護したが、別にしていなくても数分は二人と黒斬狼主たちだけで戦うことができただろう。
森魔霊単体は黒斬狼よりも僅かに強く、黒斬狼主よりも弱い程度の力しか持たないとはいえ、五桁に近い群れだった。
間違いなく、森魔霊の群れは変化前の世界を蹂躙できるほどの力を持っているのだが......この変化した世界では、やがてこの程度のことは当たり前になるのだろうな。
今回の戦闘で改めて、俺は『ステータス』の恩恵がどれほど大きいのかを実感した。
俺は今の身体に慣れたせいで、『ステータス』に覚醒してからは、その恩恵で筋力と速力においては自身が人の限界を超えていることをすっかり忘れていたようだ。
まあ、とは言っても俺は二人と違って、覚醒してからは『調教術』以外は『ステータス』に変化が生じていないので、二人ほど実感がないのは当然だが。
それでもよくよく考えたら、今の俺ならば『ステータス』に覚醒する前の俺が数人いたとしても、重傷を負わずに勝つことができるだろうな。
つまり、今の俺が本気で力を振るえば、ゲームのようで血生臭いこの世界に変わる前、つまり平穏な世界だった頃の国々ならば一人で勝利できるほどなのか......
全く、本当に『ステータス』とは馬鹿げた力だ。このような強大な力、本当に世界が変わっただけで得られるものなのか?
最早、誰かが文明を壊すためにこの力を授けたという方が納得できる。今の俺ならば、兵器などを使われたとしても、死ぬ未来が一切見えないしな。
今の俺のような強者を大量に作り、文明を壊し、『ステータス』は常識だという洗脳で......いや、それこそ馬鹿げた妄想か。少し疲れているようだ。
しかし、もう今の俺には変化前の世界の武器はほとんど効かないのは事実だ。核兵器並みの兵器を使用してきたとしたら不可能だろうが、並みの重火器など素手で破壊できるだろう。それに、弾丸が飛んでくるのを見ながら躱すことも、そのまま弾丸を素手で捕まえることも可能だろうな。
もう、明らかに人間とは呼べない領域だ。《種族》が
おっと、少し話が逸れてしまったか。まあだから、今回の戦いで楓と美羽が倒れてしまったのは仕方ないのだ。これから長時間の戦闘も慣らしていけばいい。
強大な『ステータス』の恩恵があるのだから、最長でも2ヶ月あれば二人とも一流の領域、半年あれば達人の領域になることもできるだろうしな。戦闘の才能も、二人とも結構ある方だ。
それも、変わってしまう前の世界でも、努力させ続けられればほぼ確実に一流にはなれるほどには才能がある。
それに加えて、幸いではないが世界が変わった影響で、戦闘の機会に困ることなどそうそうなくなったのが良い。今回の長時間の戦闘なんて、そのいい例だ。
紛争地帯でもないのに、2時間以上も続く戦闘なんて、これまでだったなら極稀だからな。
それと、もう一つ俺が驚いたのは、黒斬狼主7匹と黒刃狼3匹についてだ。
正直、こいつらがここまで戦えるとは思わなかった。野生の狼ならばともかく、こいつらは
楓や美羽と同じで、長期間の戦闘は今回が初めてだったはずなのに、最後まで戦闘についてこられるとは思わなかった。
確かに速力については俺よりも圧倒的に速いが、それと体力や精神的な面については関係ないからな。
こいつらを『
これからは楓と美羽の護衛は数匹だけ残して、出来るだけこいつらも戦闘には参加してもらうとしよう。
ああ、それと先ほどここが
楓が盾隷術士へ
美羽が闘隷鑑定士に
といっても、新たに発現したというよりかは、美羽が元々持っていた《
そしてこの
だがその代わりに、戦闘に関することであれば、俺の予想通りならば俺と同等の《天職》の力を発揮出来るほどの強大な力を持っている。
俺の現在の《天職》は侍。世界が変化した日に見た、『ステータス』の説明文にあった文章にはこう記されていた。
《天職》侍・・・戦士の上位職である武士の上位職。前衛職としては万能に近い能力を持ち、氣として妖力を扱うこともできる。様々な分野に精通しており、商売人または芸術家としてもかなりの能力を誇る。一部の《
そう、
そして、俺は戦士と楓と美羽の一つ前の《天職》であった盾士と鑑定士は、おそらく一般人が最初に就く《天職》と同じぐらいの力を持つ《天職》だと予想している。
つまり、おそらく現在、世界のほとんどの人々がついているのが楓と美羽の前の《天職》と同じくらいの力を持つ《天職》だ。
それらの《天職》の等級を仮に一次職だと名付けよう。
そうすると、現在楓と美羽が就いている《天職》である盾隷術士と闘隷鑑定士は二次職となり、俺が現在就いている《天職》の侍は三次職となる。
本来であれば、Lv上げという手間を考えると、一次職と二次職、二次職と三次職にはかなり大きな差があるはずだ。しかし、闘隷鑑定士は他の方面を捨てて、完全に一つのことに特化している。
先ほども述べたように、楓は盾隷術士となり、『盾術』だけでなく、新たな手札として
しかし、美羽は違うのだ。確かに
だが、美羽は、むしろ一次職であった鑑定士の頃と比べ、汎用性という点では、大きく劣っているのだ。では、その分の能力はどこに与えられたのか?
もう、考えるまでもないだろう。
そう、戦闘方面への『鑑定』にその分の能力が注ぎ込まれていると予想できる。そのため、戦闘方面への『鑑定』においては、俺と同じ三次職並の能力を発揮できると俺は予想しているのだ。
......ここまで色々と述べたが、まだこの考えはあくまでも俺の予想にすぎない。予想にしてはまだまだ拙いという他ない状態だ。
一分野に特化している二次職とはいえ、三次職にも一分野に特化している《天職》もあるだろうしな。『闘眼』は二次職の中では最高峰の能力というだけで、三次職と同等の能力を持つかはわからない。
そもそも、俺の二つ前の《天職》である戦士と、楓の前の《天職》である鑑定士が同じ等級の《天職》かわからないのだ。説明文から推察しているだけで、間違っている可能性も十二分にある。
盾士と鑑定士が同じ等級なのは、説明文からしてもほぼ間違いないと思っているけどな。《天職》に発現する基準だと聞こえた才能、技量、経験でも、二人に大きな差はなかったし。
だから、侍と盾隷術士及び闘隷鑑定士の各効果や補正から考えて、侍の方が上位の等級の《天職》であることは間違いないが、この場合二つ以上の等級の差がある可能性があるのだ。
そしたら、俺の侍は四次職以上ということになり、俺の予想は根底から覆る。
まだまだ、この変わった世界に対する情報が俺たちには足りないのだ。......これから、もっと情報を集めなければならないな。
とまあ、色々と脱線して長々と説明したが、結局俺がここを
黒斬狼は共に戦闘を行う仲間だからな、『闘眼』の効果があったようだ。もしくは、元は敵だったからかもしれないが。
そして美羽は、『闘眼』によって現れた半透明状の板にはこう記されてあったと言って、それを写した紙を俺に渡した。
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《種族》黒斬狼・・・25個ある主神級
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この『闘眼』の使用結果から見てわかるように、『鑑定』だった頃と比べて非常に細かい情報まで載っている。
というか、美羽によればこれ以上載っていたようだが、あまり重要ではないので書くのは省略して直接俺たちに話していた。
しかし、能力についてはおそらくわかるだろうと予想してはいたが、まさか黒斬狼の主な戦法や《天職》などまで載るとは思わなかった。
やはり『闘眼』は、楓の『盾魔術』よりもかなり便利で強力な
そして、今回の『闘眼』の使用でわかった最も重要な情報がこの一文だ。
25個ある主神級
この一文には、これまで俺たちが求めてきた現在の居場所について説明された貴重な情報が載っている。
『闘眼』は戦闘方面にしか使用できないが、しかしそれによって、こういった情報も手に入れることができるのは本当に良かった。
汎用性が高いのもいいことだが、これからは戦闘が非常に多くなるだろうから、この方がいいとも言えるだろう。
まあ、おかげでこの場所から脱出して、地上に戻るということがほぼ不可能なのもわかってしまったのだが。
【黒魔乃巨塔】と記されているように、この場所が塔だということは、おそらく第一階層と記されていた、黒斬狼がいた汚らしい土の迷路が最も地上と近かったはずだ。
しかし、この第二階層から元の第一階層に戻ることはできない。俺たちが降りてきた階段は、すでに跡形もなくなくなっているからだ。
そう、なくなっているのだ。いつの間にか消えていた。楓と美羽はもちろん、俺すらも消える気配を感じず、直接見るまで消えていることに気付くことはできなかった。
こんなことならば、黒斬狼への『闘眼』の使用は、黒斬狼主を討伐した直後、第一階層にいるときにすべきだった。
何故かというと、ここが塔であり、俺たちは第一階層にいたはずなのに
つまり、塔だからとこの空間の端部分まで寄って壁を破壊して、脱出することは不可能と考えなければならない。ある程度強くなったら、壁を破壊して出るつもりだったのだが......
ゲームでは
ただ、それまでに一体どれほどの時間がかかるのだろうか。
まだこの
とりあえず、今日は森魔霊の『ステータス』を確認して、明日の予定を決めたらさっさと眠るとしよう。
どうやら俺も、久しぶりの長時間戦闘のせいか、Lvは上がったもののかなり疲労が溜まってしまったようだ。
まあ、森魔霊の群れとの長時間戦闘を行ったのは、黒斬狼主の戦闘が終わってあまり経たずにだから仕方ないか。.....もしかしたら俺も、無意識のうちにこの生活にストレスを感じているのかもしれないな。
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『固有名』
《種族》森魔霊Lv30 《天職》幻魔術士Lv20
性別:雌(8匹) 雄(2匹) 年齢:0
能力値
筋力:E+ 魔力:D+ 速力:D- 妖力:E- 堅力:E 魅力:E
《
遠距離妖魔戦闘系
『幻惑魔術Lv4』『風魔術Lv3』
状態異常耐性系
『精神耐性Lv4』
特殊能力系
『霊体Lv5』『連携Lv5』『隠密Lv4』
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