【休止中】自己至上主義者の世界征服〜我が神才に跪く栄誉を与えよう〜

シュベラ・イスト・ダ・ルォーラー

【迷宮攻略】〜屈服せよ、我が配下となる栄誉を与えよう〜

第1話【非日常と覚醒】

 処女作です。誤字脱字報告、よろしかったら是非お願いします!

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます!!


*小説家になろうでも連載しています。https://ncode.syosetu.com/n7518gv/


*午後七時に更新(度々更新日を変更して申し訳ありません。一週間に1~3話投稿する予定でしたが、それも厳しいので、10日ずつ1話投稿しようと思います。最近仕事が忙しいため、更新日を減らさせていただきました。ある程度仕事が落ち着いたら、更新日を明確にし、投稿頻度も増やそうと考えています)


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 最初、正直何が起きたのか理解できなかった。


 ついさっきまで、いつものように教室で退屈な授業を受けていた。

 真面目にノートを取る者、近くの席の友達と雑談する者、隠れてスマホを弄っている者など様々なクラスメートと教科書を読んでいるだけの教師を視界に収めながら、適当にノートを取っていた。

 ずっと変わらない、平穏で平和な日々を謳歌していた。そのはずだ。


 そんな俺の日常が、瞬き一つする間に書き換えられた。


 改築したばかりで真新しい教室が、汚らしい土色の部屋に様変わりしていた。

 低脳なクラスメートたちの姿も、無能な教師も俺の視界からいなくなっていた。

 唯一変わらないのは、俺自身とその所有物だけ。辺りには、ロッカーにしまっていたはずの予備の服と非常食が転がっていた。


 一体、何が起こってこのような状況になったのか。

 授業中に睡眠薬でも打ち込まれて、この部屋に連れ込まれたのだろうか?

 それとも超大規模な地殻変動でも発生したのか?


 思わずそんな非現実的なことを考えそうになり、自嘲しようとしたが、そもそもこの状況が非現実そのものだったので止めた。

 あまりの酷さのせいか笑いが込み上げてきた。自嘲することも出来ない程には間違いなく最悪な状況だ。早く対策を考えなければならない。


 特に、早急に取り組むべき問題は、先ほどから時折聞こえてくる獣の咆哮だ。

 洞窟のような環境のせいか、咆哮を放つ獣からどれだけ離れているか分からない。

 もしも、この近くに危険な動物がいた場合、かなりヤバイ状況といえる。

 武器でもあったら別だが、さすがに学校にそんなものは持ってきていない。

 まさか野生の獣相手に文房具で戦うことは出来ないだろう。


 とりあえず、軽く近辺を探索してから咆哮とは反対側に逃げるとしよう。

 ある程度離れたら、周りを確認して、すぐには脱出できなさそうであれば野営の準備でもするか。

 その後は、今はGPSもまともに機能していないようだし、とりあえず助けが来るまで隠れ潜んで暮らすしかない。幸い非常食はあるから、多少切り詰めれば数日は持つだろう。


「うわぁぁぁーーーー!!だ、誰か、助けてく...」


 そうやってこれからの計画を考えていたら、すぐ近くから悲鳴が聞こえてきた。

 どうも、俺の予想よりも遥かに状況は悪かったらしい。

 まさか、計画を実行に移す時間もないほどに深刻だとは思わなかった。


 低脳で役立たずの足手纏いクラスメートが、どうやら俺の近くまで逃げてきて食われたらしい。

 曲がり角から、その汚らわしい血が大量に流れてきている。

 ふぅ、流石にここまで近く来れば、何の獣かぐらいは足音と気配の大きさで察しがつく。

 おそらく、一匹の大型の犬か狼だ。群れではないということが救いと見るべきだろうな、酷い話だ。


 兎にも角にも、目の前の曲がり角の先にいる以上、俺の存在も十中八九気付かれている筈だ。

 俺が獣に気付いているのに、獣の嗅覚で気付かないわけはないしな。

 さて、逃げることが不可能ならば戦うしかないが、一体どうすればいいのか。

 現状武器になりそうな物は、鋏と鉄製の30cm定規。一応スマホのフラッシュ機能も牽制には使えるだろうか?

 家にある武具は高望みにしても、机や椅子があるだけで大分楽になりそうだが、無い物ねだりは出来ない。

 とりあえずそれらを急いでポケットにしまい、スマホだけ手に握って曲がり角の方に構える。


 今日は間違えなく俺の人生の中でも最悪の1日だろう。

 まさか俺の愛する平穏な日常がこんな一瞬でなくなるなんて......

 ああ、身体が熱い。怒りの感情が湧くのは久しぶりだな。


「グルルルルゥゥ......」


 そして奴は、心底から震え上がるような威嚇音を発しながら、俺の前に姿を現した。


 黒くて硬い体毛、血のように真っ赤な瞳、鋭く生え揃った爪牙。

 そのどれもが生物を殺すためだけに作られた、獣にとって極上の武器。

 体毛の硬さは自身の負傷を減らし、漆黒に近い黒色は夜に紛れる隠密性を高めるため。

 真っ赤な瞳は、相手に威圧感と恐怖を与え、獲物を闘争心を奪うと共に逃げ難くするため。

 鋭い爪牙は、獲物や敵が硬い肉を持っていても、切り裂き、貫き、噛み砕くため。


 これぞ天性の狩人であると断言できる強さが、身体中の肌で感じられる。

 それは知性を対価に、生身で戦う動物としての強さを捨てた人類にとって、余りにも強大な敵であった。


「ふぅぅ......」


 目を奴から離さず、深呼吸をして震えを抑える。

 まだ動いてはいけない。相手が飛びかかってきて、自ら隙を晒すまで待つ必要がある。

 俺の速度では奴の足元にも及ばない。下手に動けば、あの鋭利な牙によって俺は一瞬で切り裂かれて死ぬだろう。

 だから待つ、待って焦らして完全に隙ができた時に、一気に息の根をとめる。


「グガァアァァ!!」


 少し時間が経ち睨み合いが続くと、狙い通りに奴が苛立って飛びかかって来る。

 奴は現在空中2m地点、予想よりもかなり高い。しかし逆に好都合だ、空中にいるならばまともには動けない筈。

 今しかない......!!


 急いでフラッシュ機能を奴の目に向かって発動し、まずは一時的に視界を奪う。

 それによって奴は悶え苦しみ着地に失敗した。その隙に定規を目に可能な限り深く刺し込み、同様に鋏で首を突き刺す!

 これでとっとと死ねばいいのだが、やはりそう上手くはいかないか。奴が暴れることも考慮して、致命傷にはならない位置から攻撃しているが、流石にこうも必死に暴れられるとかなり痛い。

 まるで天然の刃の如き真っ黒な爪が俺の身体に幾つもの切り傷を作り、絶え間なく血が垂れ流れる。


 でも、痛いからと手を止めるわけにはいかない。ここで止めたら、俺は間違えなく死ぬ。だから俺もより力を込めて定規と鋏を奴の身体に突き刺す。

 只管に力を込める。深く、より深く、確実に殺す必要があるのだ。これからも俺が生きていくために!


 ずっと続くかのようなそんな死闘は、しかしまるで機械のような抑揚のない音声によって強制的に中断させられた。


『黒斬狼を討伐しました。初めての討伐を確認。『ステータス』に覚醒しました。才能、技量、経験を元に《天職》及び《才力スキル》が発現します。』


 機械的な音声が脳内に流れるのと同時に、必死に抵抗していた奴の姿が忽然と消え失せる。奴がいた場所には、いつの間にか黒くて巨大な両手剣ツーハンデッドソードが置かれていた。

 さらに、身体からは今までとは比べ物にならない比べ物にならない強さが湧き出てくる。


 未だに混乱する頭を無理矢理に回転させて考える。

 これは一体どういうことなんだ?ゲームのような出来事が俺の身に次々と起こっている。転移みたいな突然の移動、人など易々と咬み殺せる大狼ーーーー黒斬狼だったか?ーーーーとの遭遇に、死闘中に突如として脳内に直接響き渡る機械的な音声。

 世界がゲームに変わってしまったかのようだ。......そういえば、『ステータス』に覚醒したとも聞こえたが、ゲームではレベルや能力値を確認するあの『ステータス』のことなのだろうか?


 もしもそうなら一度『ステータス』を見てみたい。それに『ステータス』に何か情報が載っている可能性がある。今のところ見当はつかないが、どうにかして見てみる必要があるだろう。

 とりあえず『ステータス』と念じてみるが何も起こらない。ならば声に出して唱える必要があるのだろうか?より強く念じ続けているが、何も起こらないからその可能性は高い。


 これで何も起こらなければ少しだけ虚しくなるような気もするが、やらないよりは良いだろう。ただ、黒斬狼を引き寄せないように出来るだけ小さな声にしておくか。


「『ステータス』」


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『固有名』剣崎けんざき しずく

 《種族》普人族ヒューマンLv1  《天職》侍Lv1

 性別:男      年齢:17


 能力値

 筋力:C- 魔力:E- 速力:D+ 妖力:D- 堅力:D- 魅力:B-


 《才力スキル


 近接物理戦闘系

 『刀剣術Lv6』『騎馬術Lv4』『格闘術Lv4』

 遠距離物理戦闘系

 『投擲術Lv4』

 物理生産系

 『商術Lv3』『家事Lv2』

 身体能力強化系

 『氣纏Lv5』『身体能力強化Lv1』

 特殊能力系

 『勇気ブレイブLv6』『気配感知Lv5』『指導Lv4』


 《固有権才オリジナルスキル


 【天壌の刀勇Lv1】


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 っっ..........!


 まさか、本当に『ステータス』が出現するとは。しかも空中に半透明状の板で出現するとは一体どういう理屈なんだろうか?

 いや、これも脳内に響いた機械的な音声といい、今考えても分かることではない。とりあえず世界の在り方が変わったということだけ覚えておこう。

 それよりも、今はこの『ステータス』の詳細について調べるのが先決だな。

 ゲームをやっている人ならば見覚えはあるし、大体の予想もつくが、それもあくまで推測に過ぎない。パッとみた限り、現状の説明がなさそうなのがとても残念だ。


 しかし、どうやって詳細を調べればいいのか。声に出して一つ一つ調べるには項目が多く感じる。脳内ではなく、触れるように空中に、板状で出現しているから知りたい場所を押せばいいのだろうか?


 ......どうやら正解だったようだ。俺の眼前に詳細な『ステータス』が記された二つ目の半透明状の板が出現した。


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『固有名』・・・己を除く知的生命体から与えられ、一定期間大勢の知的生命体に呼ばれた名前。霊魂を肉体に定着させる役割を果たす。


 《種族》普人族ヒューマン・・・数多の世界で最大の規模を誇る知的生命体。飽くなき欲望を持つが故に驚異的な繁栄を遂げている。様々な進化の可能性を保有する。


 《天職》侍・・・戦士の上位職である武士の上位職。前衛職としては万能に近い能力を持ち、氣として妖力を扱うこともできる。様々な分野に精通しており、商売人または芸術家としてもかなりの能力を誇る。一部の《才力スキル》の成長速度に小補正。筋力と速力に中補正。妖力に小補正。


 性別:男・・・雄。雌と交尾をすることで、一定の確率で子を作ることが出来る。一つの物事への集中に長ける。

 年齢:17・・・卵や母胎などから生まれた時を0歳とし、自身が生誕したときに最も近かった国の一年を基準として数える。


 能力値・・・主に、筋力は攻撃力、魔力は魔力量、速力は俊敏性、妖力は妖氣量、堅力は耐久力、魅力は幸運力に影響する。


 《才力スキル》・・・才能、技量、経験によって決定される特殊能力。主な共通点として、Lvによって物理戦闘系であれば武技アーツの使用が出来るようになり、妖魔戦闘系であれば新たな妖術や魔術を習得する。|才力《スキル》の詳細な効果を見るためには、一定以上の鑑定属性を持つ能力が必要。


 《固有権才オリジナルスキル》・・・霊魂の真核に宿る唯一無二の権限にして才能。この能力を持つものは、その霊魂を奪われることはないため、真の意味での死は迎えず、永久に輪廻転生を繰り返す資格を手に入れる。また、《固有権才オリジナルスキル》を所有する者は、同じく《固有権才オリジナルスキル》を所有する者を殺害時、その《固有権才オリジナルスキル》を奪うことが出来る。


【天壌の刀勇Lv1】・・・天と地を統べ、刀で全てを斬り裂く孤高の英勇。人々に讃えられて英勇になるのではなく、人々に讃えさせて英勇となる。しかし、その力の大半は未だに引き出せていない。魅力に極大補正。『刀剣術』と『勇気ブレイブ』の《才力スキル》を取得し、成長速度を極大補正。


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 なかなか興味深い内容が多い、それに予想よりも詳細に記されている。とはいえ、まだ曖昧な点が多いけどな。


 あと何故最初から《天職》が上位職の侍になっているのだろうか?

 ......ああ、そういえばこれまでの才能、技量、経験によって発現すると聞こえたな。ゲームであれば最初から上位職は不正行為チートに当たるだろうが、これまでの鍛錬の成果だと考えれば妥当か。むしろ、素人と同じ《天職》だったら違和感がするしな。


 他にも個人的には武技アーツなどが気になる。武技アーツとは本当にゲームみたいなシステムだ。

 一定以上の鑑定属性を持つ能力を使わなければ、どのような武技アーツが使えるかも不明なのは少々厄介だが、後で使える技を一通り試せば幾つかは見つかるだろう。

 幸い、俺の流派は他の流派と比べても、桁が違うほどに技の数が格段に多いしな。


 そして最大の注目点はやはり、この《固有権才オリジナルスキル》だ。説明文を見ただけでも他と比べて破格の力を持つことが伝わってくる。もしも意図せず他の《固有権才オリジナルスキル》所有者と遭遇したら、一先ず撤退する必要がありそうだ。

 殺害に成功すれば報酬は大きいようが、他の所有者も【天壌の刀勇】と同程度の《才力スキル》を持つことを考慮すると難易度が高過ぎる。積極的に殺すかどうかはよく考えて行動しないとならないだろう。


 あと、この説明文に書いてある............


 § § §


 そうしてその他の部分の『ステータス』の詳細も全て確認し考察が終了した後、俺はすぐに荷物をまとめて黒斬狼が来た道とは反対側の道を進んだ。荷物の一つとして、あの黒い両手剣ツーハンデッドソードも持っていくことにした。

 もしも先程のような黒斬狼が群れていた場合、次も勝てる確率はかなり低い。しかし、この両手剣ツーハンデッドソードがあれば勝率が大幅に向上する。こと刀剣の扱いに関しては世界一の自負があるからな。だから持っていくのが正解だろう。


 それにこの世界がゲームのようなファンタジーな世界に様変わりした以上、これが魔物モンスターのドロップアイテムである可能性が高い。あくまでゲームの話だが、ドロップアイテムの武器は何かしらの能力を持っていたり、売却できるだけの価値があったりした。

 この非現実とかした現実世界ではどうなのかは分からないが、俺以外の存在もこの土の迷路にいる以上、その者たちにとってこの武器はかなりの価値があるだろう。殆どの者は黒斬狼を倒すことは出来ないだろうしな。


 そんなことを考えながら、俺は警戒しながらも着実に血が染みついた道を進んで行くのだった。


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