ウイルスが蔓延している世界の女の子ののお話
わさびきい
第1話
今、私には、好きな人がいる。その子は私の幼なじみ、坂本モカちゃんだ。
可愛いくて、優しい。そんな子だ。
でも、1ヵ月くらい、モカちゃんと面と向かって話せていない。
何故なら、今日本には謎のウイルスUNKナウウイルスが蔓延しているからだ。そのウイルスは感染力がとても強く、感染者の声を聞いただけで感染してしまう。
それだけではなく、空気感染もしてしまう、マスクが全く意味をなさない。それほど感染力が強い。
そして感染すると、視界の右下に数字が現れる。その数字は一日ごとに減って行く。
残り2日で0になってしまう。0になったら何が起こるかわまだわかっていない。
国の対策は、外出禁止令と食料の支給とスマホの支給だ。
なぜ、スマホを支給したかというと。このウイルスは、電子機器を使って会話しても、感染するという鬼畜仕様なのだ。
でも、国から支給されたスマホを使って会話すると感染しないらしい。
これで、私は毎日モカちゃんと会話をしている。
でも、このスマホにも欠点があり、ビデオ通話が出来ないことと一日30分しか使うことが出来ないということだ。
30分以上の会話は技術力的にムリなそうだ。
これが、今私達が置かれている状況だ。
これが半月も続いている。
今日も、モカちゃんと通話する予定だ。隣の家なのに、顔をあわせて話せないのは、少し辛い。
これは、私がモカちゃんが好きすぎるから辛いのかもしれない。
私がモカちゃんを好きになったのは、ある秋の日だった。
***********
私は、中学3年生だった私は、モカちゃんを除く仲良し4人組と遊園地に行く計画を立てていて、私は幹事だった。
私は、遊園地の入場料を電子マネーで回収して、スマホに入れておいた。
遊園地に行く日まであと一週間を切ったある日、私は重大なミスを帰り道に犯してしまった。
その日は、台風がきていて天候がだいぶ悪かった。
私は、帰り道走っていた。もう少しで大雨が降りそうだったのと、早くチケットを買いたかったから私は、走っていた。
私は、ショートカットのために、草原を走っていた。そこで草が濡れていて、足を滑らせバランスを崩してしまった。その時、気が付いてなかったが鞄が少し開いていた。
そして、その隙間からスマホが飛び出してしまった。
私のスマホには鈴がついていて、落とした音で気が付くはずだった。
しかし、ちょうど雷の音が被ってしまい、気が付かず帰ってしまった。
家に着いてから、私はスマホがないことに気が付いた。
外は大雨が降っていた。私は、スマホを探しに行かないで、言い訳を考えていた。
しばらくして、モカちゃんが2階から降りてきた。モカちゃんは、少し体調を崩していたので、私の家にきていた。そして、モカちゃんが私を見て
「キルアちゃん、どうしたの?なにかあったの?モカにできることがあったら助けるよ?」
と言ってくれた。なので私はことの顛末を話した。モカちゃんは私の話を聴き終わったらすぐに。
「ちょっと待っててキルアちゃん、モカちょっと行ってくる。」
と言って、家から飛び出して行った。
10分後、モカちゃんはずぶ濡れで帰ってきた。手には、私のスマホがあった。モカちゃんは体調が悪いのに、スマホを探してくれたのだ。
私は、体調が悪いのにどうしてこんなことしたの、とモカちゃんを叱った。
するとモカちゃんは
「キルアちゃんが困っていたから。ついモカ助けたくなっちゃった。」
このことがあってから、モカちゃんのことが好きになってしまった。
そして、月日は3年たち、今に至る。
この想いは、一生胸の内に閉まって置くことにした。告白してもモカちゃんが迷惑するだけだから。
そろそろ約束の時間だ。私は、支給されたスマホを準備した。そこからはモカちゃんの元気な声が聞こえてきた。
「もしもし!!キルアちゃん元気?モカは元気一
「モカちゃんは、今日も、元気だね。」
「モカは、それくらいしか取り柄がないからね。そういえば、今日20分しか通話できない。10分ママと通話しちゃったから。ごめんね?」
「全然いいよ。そういえば今日朝やってた。ドラマ見た?」
「あれね。モカ、もうあれ見たことあったから……………」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
「うわ、もう時間だ。モカもう少し話したかったのに。」
「モカちゃんそれ毎日言ってる。私も、同じこと思っているけど。明日も今日と同じ時間でいい?」
「モカは、全然いいよ。」
「じゃあ、明日も同じ時間ね。モカちゃん好きだよ。おやすみなさい。」
「モカもキルアちゃんのこと好きだよ。おやすみ~。」
〈通話は終了しました。〉
モカちゃんの好きは友達としてlikeでloveではないんだよね…
私はそんなことを考えながら布団に横になって寝た。
〈次の日の朝〉
私は、11時頃に目が覚めた。私の視界の右下には、〈残り1日〉の文字が浮かんでいた。
つまり、私はUNKナウウイルスに感染したようだ。
あと1日で何が起こるんだろう。やっぱり、死んじゃうのかな。
私はそんなことを考えると無情に怖くなった。
1時間くらい考えて私は、あることを決意した。
それは、モカちゃんへの告白だ。
あと1日で死んでしまうのなら、悔いに残らないようにしたいと考えた結果だった。
私は、支給されたスマホを手に取って。モカちゃんに電話をかけた。
「もしもし。どうしたの?キルアちゃん?まだ約束時間じゃないよ?」
「大事なことを伝えたくて。かけた。」
「え?何?昨日のドラマのネタバレ?止めてよ?まだ見てないんだから。」
「真面目な話だから、ばかにしないで聞いてくれる?」
「うん。わかった。ばかにしないて誓う。モカの命賭ける。」
「ありがとう。私、UNKナウウイルスに感染した。」
「は……………。嘘でしょ…」
「嘘じゃないよ。私の視界の右下に数字見えちゃってるもん。」
「嘘…そんなの嘘…まだエイプリルフールは先だよ。そんな嘘付かないでよ…」
「ごめん。これが現実受け入れて。」
「び、病院には連絡したの?」
「まだ、誰にも言ってない。モカちゃんが最初。病院に言ってもなにもしつくれないから。」
「そうなんだ…」
「で、ここからが本題。」
「まだ…あるの?もうモカお腹いっぱい」
「私、少し変な女の子なんだよね。女の子なのに、女の子のことが好きになっちゃったんだよね。」
「えっと…つまり、キルアちゃんがレズってこと?モカは全然気にしないけど。」
「じゃあさ、モカちゃんを好きって言って来る人が女の子だったらどうする?」
「モカは、全然気にしないけど。」
「そっか…。」
「それで終わり?」
「いいや、ここからが本題、私小鳥遊キルアは、坂本モカちゃんのことが、一人の女の子として好きです。付き合ってください。」
「えっ…つまり、モカのことが好きなの?」
「そういうこと」
「そっか…モカのことが好きなんだ…こんな駄目なモカだけどよろしくお願いします。」
「いいの?」
「うん。モカもキルアちゃんのことが好きだからね。」
「やったぁ。」
私は、時間が許す限りモカちゃんと話した。
「ヤバい、もう時間だよ。モカもう少し話したかった。」
「これが、最後だね。今までありがとう。私の恋はスマホで始まってスマホでおわるんだね。」
「…今から、キルアちゃんの家行っていい?」
「えっ…UNKナウウイルスに感染しちゃうよ。」
「大丈夫。モカキルアちゃんと話せるなら全然大丈夫だよ。」
〈通話が終了しました。〉
数分後、モカちゃんは私の家に来た。
「キルアちゃん遊びにきたよ。」
「モカちゃんはやかったね。」
「すぐに来たからね。ってもうウイルスに感染してる。早くない?」
それから私達は色々なことをした。大人の階段を登ったり、いっしょにドラマを見たりした。
気が付いたら、日にちが変わる10分前になっていた。
私達はベットで手をつないでいた。
「あと10分で終わっちゃうね。」
「うん。」
「モカ、この17年間楽しかった。」
「私も、同じだよ。あともうすぐで死ぬって思うとなんか、嫌だね。」
「うん。」
私達は最後の会話を楽しんだ。
そしてついに右下の数字が0になった……
ウイルスが蔓延している世界の女の子ののお話 わさびきい @Sakari
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