神探偵渡辺貴寛プロフェッショナル

SYストーリー

第1話資産家失踪事件

私は渡辺貴寛わたなべたかひろ。助手の松高寛樹まつたかひろきと共に私立探偵をやっている。今日はどんな依頼がくるのだろう?ピーポンとインターホンが鳴った。


「はい?何かご用ですか?」

「すみません!!夫を探してください!!」と慌てた様子で言ってきた。

「落ち着いてください。今、開けます。」と言ってドアを開けた。40代の女性が立っていた。


「お願いです!!うちの夫を探してください!!」と必死に助けを求めてきた。

「分かりました。どうぞこちらへ。」

貴寛はソファーへ案内した。助手の寛樹は、

「どうぞ、お茶です。」と言ってお出しした。貴寛は、

「それでは何があったか?話を聞かせてください。」と言った。女性は話し始めた。


「はい。私は、田中由美子たなかゆみこと申します。夫は昨夜、ちょっと出かけてくると行ったきり今朝になっても戻って来ないんです。」

「警察にはこのことを言いましたか?」

「言いました!!だけど、脅迫電話も来ていないですしね~と言われたので、ここに相談しに来ました。」

「そうですか・・・。ちなみにご主人は誰かに恨まれることとかありますか?」

「恨まれることはないと思います。もし、恨まれるとしたら私たちの息子たちだと思います。」

「息子さんたちですか・・・?」

「はい。息子たちは、夫が経営している会社で働いているんです。それで会社のことで激しく揉めているんです。」

「なるほど。」

「貴寛さん、田中さんの家に行ってみませんか?」と寛樹が問いかけた。

「そうだな。よろしいですか?田中さん。」

「いいですよ。」


3人は田中の車で向かった。車を走らせて30分、豪邸が見えてきた。玄関の前では、2人の警備員が見張っていた。

「田中さん、お帰りなさいませ。そちらの方は?」

「こちらの方たちは、神探偵の貴寛さんと、助手の寛樹さんですわ。」

「あの有名な!!」

「そんなことないですよ!」と貴寛は照れくさそうに言った。

「さぁ貴寛さん、家の中へ入ってください。」と由美子は言った。貴寛たちは中に入った。

「いや~しかし、立派な家だな~!ご主人は一体何をされているんですか?」と貴寛は問いかけた。

「夫は田中松造たなかまつぞうという会社をいくつも会社を経営している資産家ですわ。息子たちは、夫が経営している会社でそれぞれ働いているの。」

「資産家!なるほど・・・。」

「貴寛さん、ちょっと待っててくださいね。今、呼んできます。」


数分後、由美子が息子たちを連れてきた。

「すみません。息子たちを連れてきました。」

息子は3人いた。長男の田中義之たなかよしゆきは、田中バンタンゲームで働いている。貴寛は、義之に松造と激しく揉めているということを詳しく聞いた。

「義之さん、会社のことで激しく揉めていたと聞きましたが、どんなことで?」

「お前のつくるゲームが悪いから売り上げが落ちているんだよ!と言われ・・・。」

「つい、キレて殺して遺体を何処かに埋めたんですね!」と寛樹がデタラメなことを言った。実は、寛樹は貴寛探偵みたいに推理をしたがる。

「証拠もないのにデタラメなことを言わないでください!ポンコツ!」

「ポンコツだと・・・!!」

「そうだぞ!証拠もないのに犯人扱いはダメだ!しかも殺されているとはまだ決まっていない。次、デタラメなこと言ったらどうなるか分かっているよな・・・。 」と寛樹を睨んだ。

「すみませんでした!!」と殺されると思いながら謝った。


二男の田中茂たなかしげるは、田中アニメーションで働いている。茂も激しく揉めていると聞いている。

「茂さん、あなたも激しく揉めていると聞きましたが、どんなことで?」

「ちょっとした・・・。」

「何ですか?」

「こいつ、会社から金を横領したんだよ。そのことが親父にバレて、大喧嘩というわけさ。」

「兄貴!余計なこと言うなよ!!」

「茂さん、本当ですか?」

「はい・・・、本当です。でも、親父とは1週間ぐらい会っていません!!顔も見たくなかったし・・・。」

「なるほど。」


三男の田中勝たなかまさるは、田中書店で働いている。また、勝も松造と揉めていた。

「勝さんはどんなことで?」

「仕事に気合いが入っていない!と注意されただけですよ。」

「なるほど。3人ともご協力ありがとうございます。」

(三男の勝さんはいいとして・・・。問題は、長男の義之さんと二男の茂さんだな・・・。)

その時、山内警備員やまうちけいびいんが慌てて走ってきた。

「大変です!!田中松造さんが・・・。」


貴寛たちは、急いで現場に行った。

「何処だ!!」と貴寛が声をあげた。

「貴寛さん・・・、上!!」と由美子が言った。

「上だと・・・。」

貴寛は上を見上げて愕然とした。そこには屋根の上で首を吊っている田中松造の姿があったからだ。

「貴方~!!」と由美子は叫んで、助けに行こうとした。

「ダメだ!私が確認してくる。おい、寛樹!お前は警察に連絡してくれ!」

「了解しました!」

貴寛は、屋根に上り確認しに行った。意識はなかった。それどころか貴寛は違和感を覚えた。


「貴寛さん、夫は・・・?」

「残念ながら・・・。」と首を横に振った。由美子は泣いた。

「寛樹、ちょっと来てくれないか?」

貴寛は小声で話し始めた。

「お前は自殺だと思うか?」

「自殺じゃないんですか?!」

「あぁ、あの遺体、自殺しては不自然な所があった・・・。」と耳元で言った。

「なるほど。でも、徹底的な証拠がないじゃないですか?」

「そうなんだよ。犯人の徹底的な証拠があれば・・・。」

「とにかく、警察が来るのを待ちましょう。」

「そうだな!」


10分後、警察が到着した。

「ご苦労様です。松山警部まつやまけいぶ。」

「貴寛探偵、あなたがいると心強い!期待しているよ!」

「はい。殺した犯人を必ず暴いてやる!」

「おーい、遺体を下ろして調べてくれ!」

警官たちは遺体を下ろして、鑑識は現場検証を行った。数分後、現場検証が終わった。

「松山警部、現場検証の結果、死亡したのは3日前・・・。」

「スゴイ!貴寛さんの推理と同じだ!」

「本当なのか?!貴寛探偵。」

「はい。ですが、犯人の徹底的な証拠がありませんので・・・。」

「犯人も分かっているのか~!私だけに教えてくれないか?」

「ダメですよ!まだ、犯人の徹底的な証拠がないですからね・・・。」

「そうか。じゃ、私は3人のアリバイがあるか調べてくるよ。」

(私も・・・。)


貴寛は、遺体を調べに行った。調べていると、小さな欠片をズボンの裾から発見した。

(これは・・・!!やっと見つけたぞ!犯人はあいつしかいない。)

「貴寛さん、どうしましたか?」

「やっと見つけたんだよ!犯人の証拠を・・・な。寛樹、みんなを集めてくれ!」

「分かりました!!」

「あ、寛樹、それと・・・。」

寛樹はみんなを呼びに行った。1人の男性がやってきた。

「あの~、すみません田中松造が亡くなったというのは本当ですか?」

「あなたは・・・?」

「私は・・・。」

「えっ?!何だって?!」と貴寛は驚いた。


数分後、みんなが集まった。

「貴寛探偵、犯人の徹底的な証拠を見つけたって本当か?で、誰なんだ?」と松山警部が言った。

「おいおい、待てよ!!親父は自殺じゃないないのか?!」と長男の義之が言った。

「あぁ、これは自殺に見せかけた殺人事件だよ!!」

「貴寛さん、夫を殺したのは誰なの?!」

「まずは、この犯行は2人いるということ。あともう1つは警備員に見つからないようにすること。犯人は、ちょっと外の見回りに行ってきてと言えた人物・・・。」

「それって・・・。」と警備員たちが言った。

「そう、田中松造さんを殺した犯人は・・・、あんただ!!田中松造の妻である由美子さん!!」

みんなは驚いた。


「ハハハ、冗談はよしてください。貴寛さん。」

「そうだぞ!!貴寛探偵、第一、由美子さんには松造さんを殺す動機が・・・。」

「殺す動機は、これでしょうな・・・。おい、寛樹!!」

「分かりました。」と言って、スマホで何処かに電話した。みんなに聞かせるためにスピーカーにした。

「はい。確かに4日前に、由美子さんが松造さんに1億円以上の保険金を入れております。」

「ありがとうございます。」と電話を切った。


「4日前ということは・・・。」

「そうです。田中松造さんが殺された1日前ということです。」

「確かに、私は1億円以上の保険金を入れました。しかし、昨夜まで夫といました。あなたたちも見たわよね。」と自信満々に言って、警備員2人に問いかけた。

「はい。確かに2人でいるところを見ました!!お前も見たよな?山崎やまざき。」

「はい。見ました!」

「それは、この人かな・・・?出てきてください。」

草むらから男性が出てきた。

「この人だ~!!」と警備員たちは声を揃えて言った。

「親父?!」と、息子たちも声を揃えて驚いた。なぜなら、もの凄く松造と顔が似ていたからだ。


「私は、田中松造の双子の弟、田中聡たなかさとしと申します。」

「弟・・・?」と二男の茂は言った。

「しかも、双子って・・・?」と三男の勝も言った。

「聞いたことねぇーよ!!母さん?!」と長男の義之が言った。

「それは・・・。」

「当たり前だよ。私も初めて会ったからね。私、兄貴と喧嘩していたからね。行きづらかったんだよ。でも、3日前、由美子さんから兄貴が仲直りしたいと言っていると、電話があったんだ。でも、行って見ると兄貴はもう死んでいて、由美子さんに、一緒に遺体を吊り下げるのを手伝わないとお前も殺すと言われたので、一緒にやりました。その後も、田中松造のフリをして、この家に住みました。」と全て自供した。


「終わったわ・・・。」と持っていた銃を頭に突きつけた。

「止めるんだ!!」と貴寛と松山警部は言った。

「母さん、バカなことは止めるんだ!!」と息子たちも言った。

「近づかないで!!近づいたら殺すから!」と銃を向けた。その時、寛樹がもの凄いスピードで格闘技で銃を弾き飛ばした。そう、寛樹は格闘技が強かった。

「おい、ババア!人を殺しておいて、死のうとしてるんじゃねぇ!!」と寛樹は言った。


由美子は殺人容疑で逮捕された。由美子は貴寛に問いかけた。

「貴寛さん、私が怪しいと思ったのはいつですか?」

「あの時ですよ。遺体を見つけた時、あんな高い所にあるのに由美子さんは、すぐ見つけたので怪しいなと思ったんです。」

「あんなことだけで・・・!」

「いいえ、違います。」

遺体のズボンの裾から発見した小さな欠片を見せた。

「これは・・・?」

「ピアスの欠片ですよ。由美子さんもつけてますよね。しかも、ちょっと欠けているピアスを・・・。」

「あっ・・・、本当にすみませんでした。」

「ちゃんと、罪を償ってきてください。」

由美子は、泣きながら連行されて行った。


松造の弟の聡も、死体遺棄の容疑で逮捕された。

「本当にすみませんでした。」と言って、パトカーに乗った。田中茂も会社から、お金を横領した罪で逮捕された。


「貴寛探偵、今回もありがとうございます。」

「よかったです。犯人が捕まって。寛樹もありがとうな!」

「当然のことをしたまでですよ。」と寛樹は照れくさそうに言った。


次は、どんな事件を解決してくれるのでしょう?2人の活躍を見逃すな!!


              ❮続く!!❯

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る