Fool In

@meguri-nagare

第1話 ぶっちゃけしてないの?

「ねえねえ、、、、、、ぶっちゃけ不倫したことないの?」


またこの質問、、、と思いつつ


「ないよー!!!」


と返す。


友人と久々に会うと大体聞かれるこの手の質問。気心知れてる間柄だからこそ出来るものなのだろうが、、、毎度毎度だといいかげんしつこくも感じる。恐らく、不倫している私の話を聞きたいのだろう。刺激的なゴシップとしてか、はたまた自分もしているから仲間を探しているのかはわからないが。


今日は久々に大学時代の友人とランチをしている。大学時代、なんでも話せた友人の一人の千秋と。千秋は1年程前にいわゆる芸能関係者と結婚、とんとんと可愛い女の子を出産し、今は育休中。旦那さんは収入も良く、お金は大分自由になるようだが、とにかく旦那が忙しく、旦那の仕事関係者も嫌な人が多くて、、、と不満が募っている様子だった。千秋と会うときは大体こんな感じ。近況報告の中に、いいバランスで自慢と愚痴を混ぜつつひたすら話す。そして良い頃合いに、ずばり質問したいことを混ぜる。今回千秋が聞きたいのは不倫についてだったのだ。千秋はいつも私を疑っている。というのも、私は夫である拓に出会うまでそれはそれは奔放な恋愛を楽しんでいた。千秋はそんな私を否定せず、それなりにトラブったり傷ついたときは優しく見守ってくれた。ある意味近いところで男女の面白エピソードが沢山聞けて楽しかった様だが。だからこそいまだにこんなことを聞いてくるのだ。


そんな私は、


「ないない!拓のこともだけど、特にも子供たちのことは裏切りたくないもん。子供が出てきた神聖な産道に今更他の男のなんてこわくてありえない!」


「へえ。人間って変われるもんだね。笑。拓君すごいわあ」


そう。私は昔の奔放な女じゃない。愛する夫に出会って私は変わったの。可愛い子供にも恵まれてる。すごく裕福なわけでもないけど、数年前には所謂1000万プレーヤーにはなってくれていたし収入も毎年上がっている。都内の資産価値の高いエリアにタワマンも買ったし。子供も今のところ順調に育ってくれている。自分も自由なペースで仕事を楽しんでいる。拓の家族もハイスぺックで本当に良くしてくれるし、何より拓は私を本当に愛してくれているし大抵のことは叶えてくれているもの。SEXレスなんて全くない。私は若い頃に楽しむだけ楽しんで、素敵な夫と家庭を築いてすっかり落ち着いたの。はっきり言って不倫なんてする必要ないのよ。


というのを暗ににおわせた。


「じゃあ、またね!今度は他の子も一緒に集まろ!」


そういって千秋と別れた。


帰りに買い物でもしようとデパ地下を回りながら電話をする。


「もしもし。今大学の時の友達とランチ終わったよ。明日一緒に美味しいスイーツ食べたいなと思って今デパ地下をぶらぶらしてるの。楽しみにしててね、、、あき君」


そう。必要はない。でも必要ないからしない訳ではない。


私は前から不倫をしている。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る