夢の記録

2人目

第4話 7週目

　これは空耳の話

「心臓が動いていません。」

エコーの映像を見ながら、産科医に告げられる。

　確かに、前回の診察の時、一人目の初診時に言われた、

「おめでとうございます！」

との、声かけは無かったな、と思い出す。母子手帳の申請の話もされなかった。

　手術の日程を決め、夫と病院を後にし、帰宅する。

　せめて、夢で逢いたいと願う。そんな夜に限って、夢に出て来てはくれないね。

　そんな歌詞の曲があったっけ。本当にその通りだと思う。

　引っ越しで、忙しない日々の中、どこからか赤ちゃんの泣き声が聴こえてくる。

　過疎化の進む地域、子供のいる家は少なく、それこそ、赤ちゃんがいる家は近所には無かったはず。

(どこかで、お孫さんでも預かってるのかな？)

そう思うも、側で泣いているかのように近くで聴こえる泣き声。家の中を移動しても、近所のお寺の太鼓を打つ音が聞こえている間も、赤ちゃんの泣き声はすぐ側で泣いているかのように聴こえてくる。

　3日後、手術の日を待たずに、二人目は儚くなってしまった。