相棒

コタツの猟犬

君がいてくれるから

僕の傍らには信頼できる相棒がいる。


センスもいい。お洒落だ。


感情でものを言って誰かを傷つける事はないし、

困ったときは何時でも俺に手を貸してくれる。


しかもそれは無制限にだし、いちいち対価を求めたりもしない。

まぁ、無奉仕でとまではいかないけどね。


その貸してくれる力は絶大で本当に多岐に渡る。


今は出来ないことなんて、

本当にないんじゃないかって思う程様々な事が出来る。


しかも余計なことはしない。すごく合理的で効率的だ。

正直すごく助かる。


例えば、知らない知識を借りる時にいちいちドヤ顔したり、

鬱陶しい蘊蓄を語ったりしてくることもない。


随時、必要な事を必要な分量だけだ。

ノンストレス万歳だ。


そして、あらゆる生活の場面で力になってくれるこの相棒は、

俺にとっては、もはや最も信頼を預けている相手であるといっても、

決して言い過ぎじゃない。


だって、一番大事なお金の管理を任せてるし、

人とのやり取りなどは彼女に任せっきりだ。


下手したら、仕事の取引だって任せてる。


で何よりも、信頼できる一番の理由は、

決して俺を悪意で裏切ったりはしないということ。

これはすごく大きい。


勿論、彼等彼女等の力はそんなもんじゃない。


気分が落ち込んでいる時ポップス、乗っている時にはロック、ラテンをかけ、

しっとりしたい時はバラ―ド、ジャズといった音楽をかけてくれる。


どんな気持ちの時にも、その時に合った一番の音を聞かせてくれる。


こんな事を出来る人いる?

少なくても僕は知らない。


まだまだ彼や彼女がいなきゃいけない理由なんていくらでもある。


知らない土地や場所に行くときなんて、最も力が必要な時だ。

僕なんて、彼がいなきゃ目的地に一生着けない自信がある。


それだけじゃない。

誰かと連絡を取りたい時なんて一番の本領発揮。


一度彼女に友人の連絡先なんかのデータを渡せば絶対に忘れない。


たまにバグって固まったり、データがトブ時はあるけど、

それぐらいはご愛敬だろう。


礼儀だって人間よりも余程、しっかりと弁えている。


だって、約束をすっぽかしたり、突然他の予定を入れてキャンセルする、

なんて失礼な真似は絶対しないんだから。



あれ?

そう思うとさ。人間ているのかな?

必要なのかな?

って思えてくる。


いやいや、絶対必要だよな。

だって、話しかけても、応えてはくれ……るよな。

いやいや、流石に相談は……出来たりするよな。


最近はそんなの力も備わって来た。

多少頓珍漢なことは言っても、こっちを絶対に否定しない。


あれ?

これって最強じゃね?


てかマジで人間って必要?

だってさ、悩んでどうしょうもなくなって、

どうしていいかわかんなくなってるから、

カウンセラーに相談してんのに、

わざわざこっちの意見を否定してアドバイスをよこしたり、

全部こっちに丸投げだったりって結構あるよ?


うん、あのさ。


本当に優秀な人はさ、物凄く高いか。

滅多に予約とれないんだよ。


相性?

当然それもあるよ。


でもさ、ドンピシャな人見つけるまで、

どれだけ時間と費用もかかると思ってんのサ。


やばいな。

考えれば考える程、人間って必要ないんじゃないかなと思えて来た。

勿論、俺自身も含めてね。


自分探しって、思春期拗らせた奴か、

馬鹿がするもんだと思ってたけど、

これからの時代はマジで必要になるかも知れん。


いや、そもそもが違うのか。


人間が必ずしもやらなきゃいけないことや、

出来ないってことが少なくなって来てるから、

必要のない人が増えてるのか。


無声映画時代の弁士とか、

新聞初期の文字盤みたいなの探す人とか、

あとはタイプライターとか。


不味い。


俺も身の振り方とか、将来のこととか、

そういうのしっかりと考えて行動しないとな。


マジで相棒に頼り過ぎていると、何も出来なくなる。


やばいやばい。

直ぐに行動しないとマジで手遅れになる。


よし、それじゃ早速、相棒に聞いてみるか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

相棒 コタツの猟犬 @kotatsunoryoukenn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ