第55話 明日。

 セバスを連れて、父の執務室の前に二人で立ち扉をノックすると父上からの返事が返って来た。


「………誰だ!」

「旦那様、ルーク様がお見えでございます」

「そうか、入れ」


 父上からの、入室の許可が下りセバスと二人で執務室に入る。


「父上お忙しい所、失礼します」

「いや、構わんよルークどうした?まぁ、そこに座りなさい」

「では、失礼します」


 進められたソファーに座るとフォルクスがお茶をだしてくれる。


「フォル、ありがとう」


「いえ」と一言答えるとニコリと微笑み後ろに下がる。


「それで……?どうした。あちらの、屋敷やらの建設は終わったのかね?」

「ええ、建物の建ちましたよ先程終わりました。内装云々は、伯父上達に任せますがね。カミル従兄上にも、その辺は了承して貰いました」

「そうか……。よくも、人の息子を利用したものだが。すまんな、ルーク」

「いえ、父上が謝ることではないと思いますがね。フフフ。伯父上達にはしっかりと、貸しを作っておくのも良いのでは?父上」

「ハハハ。貸しか?ルーク」

「ええ、父上。土地に建物ですよ。これ以上、高い貸しは無いかと思いますよ?」

「………そうだな、ならそうするか……。ま、それもエルクと話してだがね。さて、ルークが来たのは明日の打ち合わせか?」

「ええ、時間を伺って無かったと思いましてね」

「時間か……なら10時を目処にするか……」

「分かりました。では、その時間に」

「あぁ、それで良いよ。それと、ダグにも明日来るように伝えてある」

「え、ギルマスですか?」

「あぁ、一応……証人だな」


 な、何の証人?え、証人なんているのか。


「な、何の証人で、呼ぶのですか。お伺いしても宜しいですか?」

「お前が姿を変えてあやつらの、パーティーメンバーだったと。ちゃんと、証言して貰わないとな。惚けられても困るからな」


 ああ、そんなことか……。


「そ、そうですか……?その必要があるのかは、私には分かりませんが。父上のお考えです、お任せ致しますよ。あぁ、それから私の従魔のイールを、連れて入りますが宜しいですか?あれは私と離れると騒ぐので」

「お前……従者に従魔と……忙しいな?そろそろ、何処かのご令嬢でも連れてきて、私に紹介してはくれぬかね?」

「こ、ご令嬢ですか……」


 また話が飛んだなぁ…そんなもんは要らんよ。


「あぁ、エルクとルーク。お前達の後を継ぐものか居ないと、私も安心して隠居が出来ないぞ?」


 要は孫を早く作れと、言うことか……。


「ハハハ。私は無理ですね……。何せ、ご令嬢との接点がまるでないので。その辺はエルク兄上に。お任せしますよ。私は生涯独身ですよ」


 俺は転生者だし……。

 子供にどんな影響が出るのか分からないし。    

 兎に角、女性と話すのはストレスだ。


 かといって、男が好きな訳でもないからな! 絶対それはない!宣言しておくがな!


「はぁ~全く、お前達二人同じ様な事を……」

「で、では、私はこれで失礼します。明日は、宜しくお願い、致しますね父上」

「分かった、では明日な。ルーク」


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